彼女たちとの因果関係?
メアリー様も、声を顰めて話す。
「実は彼女たち、ゲームの配役としてはヘンリエッタ様の取り巻きだったんです」
「まあ」
「けれど、クラスが違うじゃありませんか。いくらなんでもAクラスからFクラスは距離もあるので、そんなに交流を持てるとは思えませんけれど」
パトリシア様が反論する。確かに今のわたくしでは、接点は皆無だ。
もしかして、そのわたくしって。
「いいえ、その時のヘンリエッタ様はFクラスなので、取り巻きとなっていたようです」
「なんですって⁉︎」
「パトリシア様っ。声が大きいですわ」
「コホン……。失礼いたしました」
やっぱり。
と思ったら、パトリシア様には予想外だったようだ。
慌てて嗜めると、咳払いをして誤魔化した。
再び、声を顰めて身を寄せ合う。
「今のヘンリエッタ様からは、想像できませんわね」
「まあ私はもう、世界観が似た全く別の世界と思っていますが」
「それでも、そうやって何かしら関わりが出ますのね」
メアリー様のいう通り、ここは‘’その少女は光となって道を照らす‘’という世界と似ているだけと考えて良さそうだろう。
「まあ、あまり気にしすぎるのも良くありませんし」
「そうですね」
わたくしとメアリー様は頷き合う。なぜ急に彼女たちが絡んできたかの理由づけには、ちょうどいい。
この話は終わりましょう。
「そういえば、もうすぐ夏休みですわね。わたくしたちは領地に帰ろうという話が出ておりますの。お2人は何か予定は立っているのですか?」
「ヘンリエッタ様も領地に帰るのですか?」
なぜか渋い顔をしている、パトリシア様。
なぜそんな顔をしているのかわからずに、首を傾げつつも答える。
「ええ。ここ何年もわたくしなんかは帰っておりませんの。お父様くらいかしら」
「……このことを殿下には?」
「殿下ですか? この後お父様から連絡すると思いますが……。それに昨日話されたので、家族以外に話すタイミングがありませんでしたもの」
「そうですのね」
なんだろう? 表情的に寂しがっているとかでは無さそう。
そうだ。殿下のことで、確認したいんだ。うん、本当、昨日の件のおかげで精神状態が落ち着いているのはよかったわ。
「そういえば、一昨日パトリシア様は、殿下に誘われておりましたわね」
「っ!」
言葉に詰まり、顔を赤らめるパトリシア様。
ああ、そういう反応をするということは、そうなのね。
大丈夫。胸が少し痛むけれど、笑えるわ。
「まあ……。パトリシア様の努力が報われましたのね。嬉しいですわ」
「へ、ヘンリエッタ様っ」
「ふふ。良かったです。あ、わたくしのことを気にする必要はありませんわ。元々わたくしが応援していたのですし、最近の行動も気にしておりません」
「あ、あの」
何か言おうとしているけれど、顔を赤くするばかりで何も言えないらしい。
そうだよね。多分その前に、わたくしを応援するとか言っていたから気にしているのかもしれないけれど、全く必要ないわ。
ああ、でも。やっぱり胸が痛いな。口の端が引き攣りそうなのをなんとか堪えて、にっこり笑う。
その時、授業の開始の鐘がなる。
教師も入ってきたので、自分の席に向かう。
ふと今日は殿下がいないことに気がついた。
ダニエル様はいたけれど、こっちに来なかったわね。もしかしたらいつも殿下と一緒に来るから、タイミングが掴めなかったり……ありそう。
殿下は公務の関係で、いないこともある。珍しいことでもないので、教科書を開いて授業に集中しよう。
けれど、なんだろう。殿下がいなくてホッとしているような、残念なような。
これが恋か。
意外とわたくし、本気で恋してますのね。
叶わないと知っている癖に。それでも自覚してしまった気持ちを止めることは出来ないと。
面倒臭いわね、我ながら。
そう自嘲して、思考を頭から追いやった。
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