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転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど!?  作者: 水月華
4章

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好きで矢面に立っているわけではありません


 翌朝。今日はいい天気だ。雲ひとつない青空が広がっている。

 馬車に揺られながら、そんなことを思った。


「姉上、大丈夫ですか? まだ体調が思わしくないです?」

「あ、ごめんなさい。大丈夫よ、トミー」


 トミーに心配されてしまった。今日は久しぶりに3人で登校しているのに、勿体無いわ。

 昨日の件のおかげというかなんというか、緊張はしていない。なんとなくあったトミーとの距離も、元に戻ったように思う。


「体調に問題ないとはいえ、このところ色々あるから心配だね。今日は教室まで送らせてもらうからね」

「わかりましたわ」


 お兄様が決定事項として、宣言している。

 こう何度も色々あると、そうなってしまうのは仕方がないだろう。

 特にお兄様がいないときに限って色々あるのだから、お兄様の心労は如何ばかりか。


「なんなら、教室までお姫様だっこでも――」

「それ以上言いましたら、お兄様を置いて教室に行きますわよ」

「冗談だって」


 わたくしの心配を返してほしい。

 実の兄とはいえ、昨日も心臓に悪かったのだから。

 やはりイケメンはずるいわ。破壊力がすごいわ。


「僕も隣のクラスですが、やはりこっちに情報来るのに遅れますからね。姉上は学園に入学してから別の意味で目が離せませんよ」

「わたくしが望んでいるわけではないのだけれど……」


 でも本当、まだ入学して半年も経っていないのに色々あり過ぎだわ。

 もしかしたら、乙女ゲームの舞台だからという理由かもしれないけれど。

 それならメアリー様中心じゃ?

 ああ、流石に今日は平和に過ごしたいわ。


 ◇◇◇


 お兄様とトミーが護衛となって、教室に送ってくれる。

 既に教室にいた、メアリー様とパトリシア様が近づいてきた。


「おはようございます。パトリシア様、メアリー様。昨日はご迷惑をおかけしましたわ」

「おはようございます。まあお互い災難でしたわね」

「おはようございます。私、ほとんど何もできなくて……すいません」


 2人も少し疲労が溜まったような表情をしている。無理もないだろう。お偉いさんと話したのだから、いくらなんでも緊張するなとは無理な話だ。


「メアリー様はわたくしがくる前に、彼女たちを嗜めようとしてくれたそうではないですか。感謝しておりますわ」

「ええ。わたくしはほんの少ししか状況を理解しておりませんでしたが、メアリー様が答えてくださいましたわ。おかげで状況も整理できましたし」

「お2人とも……ありがとうございます」


 メアリー様の目が潤んでいる。やはり結構な負担だったようだ。


「それでは、お兄様、トミー。ありがとうございました」

「また昼休みには迎えに来るよ」

「僕も休み時間ごとに、様子見にきますね」

「……はい」


 一瞬、反射的に反抗してしまいそうになったけれど、なんとか飲み込む。

 ここは大人しく従います。


「教室ではわたくしとメアリー様に任せてくださいな」

「が、頑張ります!」

「ふふ。頼もしいな。それじゃあ頼むよ」


 そう言って、お兄様とトミーは自分のクラスに向かっていった。


「……わたくし、守られるばかりではありません?」

「違いますわね。ヘンリエッタ様が矢面に立つから、突っ走らないようにという配慮ですわ」

「これだけは言わせていただきますが、わたくしは好きで矢面に立っているわけではありませんわ」

「ええ。()()はそうですわね。けれどなんの因果かはわかりませんが、ヘンリエッタ様がそういう役目を負っているんですもの。毎回気を揉むこちらの身にもなっていただきたいですわ」

「そんなこと言われましても」


 昨日の朝はあんなにパトリシア様との会話を緊張していたのに、今はいつも通りに会話できている。

 そんなことを思って、心の中で安心した。

 そんな時、メアリー様が声を顰めて言った。


「実は彼女たちのことで、思い出したことがあるのです」

「思い出したこと?」

「はい。前世との話です」

「……詳しく聞かせてください」


 わたくしとパトリシア様はメアリー様の声を聞き取るべく、身を寄せ合った。

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