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転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど!?  作者: 水月華
4章

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お姫様抱っこ再び


「実は社交界でも、その関係者が色々やらかしているらしいんだ。これはへティが寝ている間に聞いたことなんだけれどね」

「そうでしょうね。とっても簡単に想像できますわ」


 むしろ、彼女たちは親に洗脳されたようなものだろう。そう考えると気の毒な気もしてしまうが、それでもパトリシア様やメアリー様を貶したことを許せるわけではない。

 彼女たちがこれから、良い方向に変わってくれることを祈ることしか出来ない。


「へティは優しいね」

「え?」

「彼女たちを救済できないかと、思っているんじゃないかい?」

「……そうですわね。環境が違えば、違う結果になったのではないかと思いましたわ」


 けれどそれはわたくしのすることではない。わたくしは被害者で、彼女たちは加害者。被害者が施しを与えるなど、それこそスタンホープ侯爵家にどのような噂が立つかわからない。

 わたくしが優先するべきは、家と友人。天秤を間違えてはいけない。

 ()()()()()()を救済するのは、優先事項ではない。


「彼女たちだけでなく……親の操り人形のようになっている人たちを、掬い上げられるような政策が必要だと思いました」

「そうか……」

「けれど貴族社会である以上、親も子も家を繁栄させるための役目が重要です。ここを変えるのは困難でしょう」


 それこそ、貴族社会そのものを変えるという話になるでしょう。

 貴族は自身すらも、政略の駒として見る必要があるわ。

 わたくしの気持ちをうまく割り切るまでには、もう少し時間がかかりそうだわ。

 お兄様を見つめて、微笑む。

 

「大丈夫ですわ。わたくしは、スタンホープ侯爵家の長女。私情で動くような浅はかな行動はしません」

「うん。そこは信頼しているよ。じゃあこの話はこれで終わろう」

「そうですわね。お兄様、わたくしの代わりにありがとうございました」

「これくらい、どうってことないさ。トミーにはやり過ぎだと、止められてしまったけれど」

「トミーが遠い目をしていたので、この場合はお兄様が暴走しすぎなのですわ」

「手厳しいなぁ」


 お兄様は困ったように、頬を掻いている。

 うん、今回は見ていないけれど、トミーの時のお兄様はすごかったからね。

 と、話を変えようとお兄様は手を合わせる。


「そうだ、もうすぐ夏休みだね。せっかくだから、領地に戻らないかという話が出ているんだけれど、ヘティはどう思う?」

「領地ですか……そういえば、一度も行ったことがありませんでしたわ」

「そうなんだ。どうしても殿下との交流もあったからね。中々帰る機会がなかったんだ。今年はどうかなって母上が言っていた」

「殿下……」


 その瞬間、急に思い出した。わたくし、本当ならパトリシア様と殿下の仲を応援するつもりだったのだわ。

 すっかり忘れていた。前日まで、というか昨日ね。昨日までそれで頭がいっぱいだったのに。

 それより爆弾持ってきたんだものね。仕方ない……わ。

 え? 仕方ないよね?

 誰に確認しているのかわからないけれど、思わず確認してしまう。


「……ティ、ヘティ?」

「あ、はい! 申し訳ありません。ぼんやりしてしまいましたわ」

「いや、良いんだ。疲れたかい?」

「そうかもしれません」


 ただ思い出して焦っていただけだけれど、悟られたくもないので疲れたことにさせてもらう。

 すいません、お兄様。


「ごめんね。話が長くなってしまった。部屋まで送ろう」

「そこまでしていただかなくても、大丈夫ですわ――」


 言い終わる直前。お兄様がさっと近づいてきて、横抱きに抱えられてしまった。

 お姫様抱っこ再び。


「お、お兄様。流石に歩けますわ。降ろしてください」

「いやぁ、トミーがお姫様抱っこしたと聞いて、羨ましかったんだよ。僕もへティを抱っこしたいなと思って」

「えぇ……」


 もうなんといえば良いやら。

 トミーも成長したと思ったけれど、お兄様かなり体が出来上がっていますわ。

 顔近いし、色気がすごいわ。これはわたくしが知らないだけで、お兄様ってかなりモテているのでは。


「ハハッ。まぁ僕の我儘に付き合っておくれ」


 そうご機嫌に言った。

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