お兄様とのお話です
夕食後、お兄様の部屋へ向かった。お兄様は自分がわたくしの部屋に行くと言っていたけれど、どうやら確認することがあるらしい。
特にこの後用事もないので、わたくしが向かうことになった。
お兄様の部屋の扉をノックする。すぐに返事が返ってきたので、入室した。
「やあ、悪いねヘティ」
「問題ありませんわ。それで、まずは結果から教えていただけますか?」
「もちろんだ。その前に、長くなるからソファにどうぞ。お茶も準備してある」
「ありがとうございます」
向かい合わせにソファに座る。わたくしもお兄様も、お茶にすぐに手を伸ばさずに話に入った。
「まずは結果ということだね。まあ結果だけいうと、彼女たちは退学になったよ。もう手続きは終わっている」
「早いですわね」
「それほど今回のことは重く見ているということだね。ちなみにその場にパトリシア嬢もいたよ」
「まあ、パトリシア様が」
「後メアリー嬢も」
「大丈夫でしたか?」
主にメンタル的な意味で。お偉いさんばかりだから、気後れしてそう。
「ああ。メアリー嬢、かなり変わったよね。聞かれたことには、堂々と答えていたよ。へティが来る前の話もしてくれた」
「そうなんですの。ちなみに、わたくしが教室に行く前はどんな感じだったのですか?」
「うん、本当に拗らせたというかね。急に入ってきたかと思えば、‘’自分達はヘンリエッタ様の覚えめでたい、特別な人間‘’だと。‘’パトリシア様なんかよりずっと素晴らしい方だ‘’とね」
「あ、はい」
朝のことを思い出して、イラッとしてしまう。
そもそもその時、初対面以前の話なのによくもまあ、そんな大ボラが吹けるものね。
「もちろん、クラスの皆は信じなかったよ。そりゃそうだよね。今までのクラスでのへティとパトリシア嬢を見ていれば、当然の話だ」
「ええ。その通りですわ」
「それに2人と仲の良いメアリー嬢が、困惑していたから余計だったそうだよ」
「まあ、それで?」
「なんとかして、クラスから追い出そうとしたんだけれどね。‘’自分達に楯突いたら、ヘンリエッタ様が黙っていない‘’と脅しをかけて」
「……彼女たち、頭を調べた方がよろしいのでは?」
思わずお兄様の話を折ってしまう。いや、本当。酷過ぎて思わず声に出てしまった。
お兄様も、呆れの表情をして頷く。
「まあ、それはもう少し置いといて。メアリー嬢がね、ちゃんと反論したんだよ。‘’あなた方の話を聞いたことがないのですが‘’と。そしたら、なんと言ったと思う? ‘’貴方のような平民に、ヘンリエッタ様が話すわけがないでしょう‘’ってさ」
「あ?」
「おっと、ついに令嬢がどっか行ってしまった」
お兄様は揶揄うようにいうけれど、それは仕方ない。
なぜだ? メアリー嬢と仲良いのもクラスでは周知の事実。なぜそう思えるんだ?
「少しズレるけれど、この間の魔物襲撃事件。あれ、一部のクラスには少しぼかして伝わっているんだ。だから、メアリー嬢のことは知らなかったんだろうね。光属性の魔術の使い手が覚醒したということは、伝わっていたようだけれど」
「……その一部のクラスって、もしかして」
「そう、成績に問題のある生徒が集められるFクラスだよ」
なるほど。魔術学園は成績で、クラス分けがされている。教える内容もクラスによって変わっているのだそうだ。
わたくしやトミーがいる特進クラスと、特に優秀ではないけれど問題のないクラス、そして問題のあるクラスと大きく分かれている。特進クラスがAとB。普通クラスがCとDそしてE。最低クラスがFということだ。
Fクラスとは教室自体が離れているため、関わり合いが皆無だけれどたまに噂が聞こえてくる。
あまり気にしていないので、入ってくる情報は少ないけれど。
「まあ、彼女たちは親に唆されたらしいね。自分達の能力なら認められるはずで、へティに取り入ることができるとね」
「治療が必要なのは親ですか」
「まあ妄想癖が強いのは、否定しようがないよね」
お兄様は額に手を当てて、ため息を吐いた。あらやだイケメン。疲れたせいか、そんなふうに思考を飛ばした。
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