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転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど!?  作者: 水月華
4章

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"改革"の意味とは


 その初めて薄寒い笑顔のまま、お父様は続ける。


「確かに学園は平等だ。家格に関係なく、皆が同じように教育を受けられるように陛下は願って改革した。確かに初めの頃は、高位貴族の出しゃばりを警戒した。どうしても、私たちは人の動かし方を熟知しているからね。下位貴族や平民の人たちよりは自分の優位になるように動こうとする。今までの貴族の生き方としても、至極当然のことだ」


 そうだわ。改革というのは、今までの生き方を変えることと等しい。それは生まれながらの‘’常識‘’が、変わっていくことと同じ。

 今まで大きな反発もなく、ゆっくりと変わってきているのは陛下の献身の賜物。

 それでも。染み付いた常識はどうしても、わたくしたちを縛り付ける。


「けれども最近、どうも履き違えている人たちが多くてね。特に、マナーのなっていない一部の下位貴族だ。平民の人たちは、それこそ‘’貴族に逆らわない‘’と染み付いているから、彼らの方がよっぽどマナーがなっているよ。そう、下位貴族の一部が‘’我こそ、王国を統べるのに相応しい‘’と暴走しているようだ」

「……はい?」


 お父様が何言っているのか、理解できなかった。

 そこで、お父様はクスリと笑う。あ、オーラが少し戻ってきたわ。まだ完全に戻ってはいないけれど。


「まあ、統べるというと王位を簒奪するという話になるから、誇張した表現だけれど。もう少し言い換えると、‘’古臭い伝統に縛られる貴族より新しい風を吹かせられる我々を重用すべきだ‘’らしいね」

「あぁ……? なるほど……? しかし、高位貴族が古臭いと決めつけるのも、古臭いですわね?」

「その通りだ。自分達こそが、硬い頭になっているとも気がついていない」


 やはり、改革というのは1から10までなんの問題もなくとはいきませんのね。なんだか、歴史上の統治者って本当に努力されていたのだわ。

 そんなことを考えていると。


「あなた。話がズレていますわ。今はへティたちの話でしょう? 政治の話はまたの機会にしてくださいな」

「ああ、申し訳ない。ついね」


 こんがらがり始めた思考を、お母様が引き戻す。

 お父様は咳払いして、再び話し始めた。


「まあ、つまりだ。今回のことはそういった考えの派閥が暴走した結果だよ。言葉を選ばすに言えば、へティを利用してパトリシア嬢もろとも引きずり落とそうとしたわけだ。あまりに杜撰な計画だったから、してやられたわけだけれど。はっはっは」

「はあ……」


 ああ、なるほど。ようやく見えてきた。

 つまり、わたくしを使ってまずはパトリシア様を、婚約者の座から引き摺り下ろす。そしてわたくしにはおだてて、甘い蜜を存分に吸ったところでポイ。

 そして自分達が王族の親類になると。

 うん、上昇志向が強いのはいいことなのだろうけれど、あまりにもお粗末だわ。

 もう少し頭を使わないと、謀略に長けた筆頭貴族を出し抜くなんて出来ないのに。


「それで彼女たちの話に戻るけれど。彼女たちの今の所の処遇は退学だね。流石に学園長も問題視してくれている。陛下も新たな問題点ということで、また対策を考えてくださるようだ」

「まあ」

「へティはどう思う?」


 彼女たちの処遇か。

 わたくしは考えながら、口を開いた。

 

「わたくし個人の考えとしては、厳しすぎるとは思いますわ。広い目で見れば、子供同士の喧嘩ですし」

「ほう」

「けれど、今回の件ではわたくしは巻き込まれたに過ぎません。本当の被害者はパトリシア様ですわ。あの時のことを思い出しますと、パトリシア様が心配ですもの」

「「……」」


 お父様もお母様も黙り込んでしまう。

 どうしたのだろうと、2人を見つめると突然揃って笑い出した。


「な、なんでしょう? わたくし、そんなにおかしいなことを言いましたか?」

「いいえ、ちがうのよへティ。ふふ、本当にあなたたちは、お互いが大好きなのね」

「はい?」


 ここでお父様が教えてくれた。


「パトリシア嬢も全く同じことを言っていたからね。‘’ディグビー公爵家として、どのような罰にするかは考えております。しかしヘンリエッタ様が被害者ですので、ヘンリエッタ様を1番に考えてください‘’と言っていたよ」


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