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転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど!?  作者: 水月華
4章

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サンドバッグになる覚悟はできておりまして?

かなりヘンリエッタが荒ぶっています


 さて。今わたくしはお兄様と別れて、教室の前にいます。

 心臓がドキドキ音を立てていますわ。今までこんなことなかったのに、自分の小心者っぷりに驚いておりますの。

 けれどここで帰れば、家族から怪しまれることは確実。失敗は許されません。


(わたくしは淑女、淑女、淑女……)


 必死に心の中で念仏を唱えて、大きく深呼吸する。

 意を決して、中に入った。

 なぜか教室に入った瞬間、注目を浴びる。

 まさか、昨日のことがもう知れ渡って……⁉︎

 と思ったのも束の間。

 あまり交流のない方々から囲まれた。その表情は、尊敬に満ちている。


「おはようございます、スタンホープ侯爵令嬢」

「テストの結果、拝見しましたわ! 首位獲得おめでとうございます」

「まあ、皆様。ありがとうございます」


 あ、そっちか。そうだよね。よかったぁ。

 テストのことは再び、銀河の彼方に行ってしまっていたわ。

 取り囲まれたのに納得はしたものの、次の言葉で奈落に落とされることになる。


「やはり、殿下の婚約者にはスタンホープ侯爵令嬢がふさわしいですわ!」

「ディグビー公爵令嬢も、頑張っておられましたけれど5位ですもの。スタンホープ侯爵令嬢とは差が開いています!」

「……」


 わたくしの様子が変わったことに、取り囲んでいる人(アホども)は気がつかない。

 視界の端で、真っ青なメアリー様を見つけた。オロオロしているのが目に見えてわかる。

 メアリー様は後でフォローするとして、今はこの脳内お花畑(バカども)もなんとかしましょうか。

 わたくしは顎に指を添えて、思案するような表情を作る。


「あら、おかしいですわね。確かにわたくしが首位でしたけれど……女性の中で次に高得点を叩き出したのは、パトリシア様でしたわよね?」

「ええ、そうですわねっ」

「では、あなた方は?」

「え?」


 わたくしの質問が理解できないのか、首を傾げる令嬢。あれ、そういえばこの人って特進クラスの生徒じゃないような。

 ああ、そうだ。よく見たら、同じ特進クラスの生徒も顔を青くしているわ。

 流石に優秀な方々だから、わたくしの様子が変わったことに気がついているようだわ。


「そもそも、あなた方。特進クラスの生徒ではありませんわね? 我が物顔で教室を占拠してますけれど、わたくしの知らない間にクラス替えでもあったのかしら?」

「それは……」

「ああ! それにあなた方をわたくし、存じ上げませんわね! 同じクラスであれば、流石に顔は皆様知っていますもの」


 取り巻いている人たちの一部は、なんとなくよくない方向へ行っていることに気がつき始めている。


「で? 質問の続きですわ。貴女、テストは何位でしたの?」


 適当な令嬢をさして、問う。その令嬢は顔を真っ赤にして、無言になってしまった。

 その姿が答えだ。


「まあ、答えられないということは、上位50名()()()入っておられないのかしら。それなのに、我がナトゥーラ王国筆頭貴族であるディグビー公爵家に喧嘩を売ってますの?」

「あっ」

「学園では平等であるとはいえ……そもそも人を貶めるなんて、貴族の風上にも置けませんわね」


 笑みを消して、冷たい目で見つめる。それだけで、何人かは怯んだようだ。

 みっともな。これだけで怯えるなら、そもそも喧嘩売って来んなよ。

 けれど、自分の立場を理解できていないお馬鹿さんが勇敢、いや、無謀にも声を張り上げる。


「スタンホープ侯爵令嬢! 聞いてくださいませ! わたくしたちは、殿下の婚約者はスタンホープ侯爵令嬢がお似合いだと心から思っております!」

「それで?」

「ディグビー公爵令嬢()()()()()()、スタンホープ侯爵令嬢のバックアップに就きたいと考えております! 聡明な貴女なら、わたくしの意を汲んでくださると信じていますわ!」


 目の前が真っ赤に染まる。

 こいつ、正真正銘の馬鹿だわ。わたくしにそんなことを言って、タダで済むと思っているのかしら。

 いいえ、だから馬鹿なのだわ。わたくしとパトリシア様の関係を知っていたら、こんなこと考えもしないはずだもの。

 正直、昨日からのことで、ストレスフルなのよわたくし。寝不足だし、頭も重いし。なんなら情緒不安定だし。

 口調が荒れるだけ、可愛いものだと思って欲しいわ。

 礼儀のなっていないものに、礼儀を重んじる必要はないわね。

 せっかくだし、八つ当たりのサンドバックになっていただきましょう。

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