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転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど!?  作者: 水月華
4章

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パトリシア様とメアリー様が変ですわ


 もう一つ変わったことがある。

 ここはわたくしの予感が、当たったということだ。

 そう、昼食の席に殿下とダニエル様が加わることになったのだ。

 王族と、公爵家の2家、侯爵家。そして光属性として覚醒し、注目を浴びるメアリー様。うん、ロイヤルにも程がある。

 わざわざ目立たない席で昼食を摂って居たのに、もう注目が凄い。さすがに視線がうるさい。

 いえ、この際お2人が加わったことは歓迎するのですが。

 それとこれとは別です。とにかく視線がうるさい。けれど淑女たるもの、そんなことを周りに悟らせてはいけない。

 幼い頃から教育を受けているので、朝飯前なのだ。それは、メアリー様もだった。元々優秀な方なのも加えて、周りにいる人たち(特にパトリシア様)の影響で自然と立ち振る舞いが洗練されている。

 さらに以前は隠しきれなかった奇行も、さすがに周りの目を気にしてやらないようにしている。ダニエル様への対応もだいぶ落ち着きが出ている。

 全く人目のないところだと出ているので、本当に頑張って抑えているのだと思う。

 そんな超ロイヤル席で、思い思いの昼食を食べる。

 時に談笑を挟みながら進む、和やかな時間。

 そんな空間に突然、殿下の困惑したような声が上がった。


「……さすがにそこまで見つめられると、気になるんだけどな? どうしたんだい、メアリー嬢」

「えっ」


 問いかけられたメアリー様は、驚いた声を上げた。わたくしは見ていなかったけれど、おそらくバレないように見ていたのかな。


「い、いえ。なんでもありません」

「なんでもないって言えない熱量を受けたんだけれど」


 あわあわしだすメアリー様を、殿下は苦笑しながら見ている。


「あと、パトリシア嬢も隠しきれていないからね。私の顔に何かついているのかい?」

「なっなぜバレて……! うゔんっ気のせいですわ。おほほほほ」

「……パトリシア嬢、ごまかすならもう少し上手くできるだろう?」

「うっ」


 お2人は何をしているのかしら。メアリー様はともかく、パトリシア様まで。

 殿下のいう通り、パトリシア様はそういったことの躱し方も普通に上手だ。なのに、この素人丸出し感。殿下にそういったことは見抜かれるけれど、それを差し引いてもぎこちない。

 釣られるように2人を見ると、ヘラッと笑うだけで何も言わない。

 なんだろう、嫌な予感がするのは。自分で言うのもなんだけれど、こう言う時の勘は大抵外さない。


「……お2人とも、何か良からぬことを企んでいますわね?」

「ま、まあ。ヘンリエッタ様ったら、急に何をおっしゃいますの?」

「そう、そうですよ。別に企んでなどいませんよ」

「……まずはわたくしと目を合わせてから、その言葉をもう一度言っていただきたいですわね」


 明らかにしどろもどろな2人。怪しい。すごく怪しい。

 じーっと圧をかけながら2人を見つめる。

 そして逸される視線。

 仕方ない。これはお2人が悪いわ。


「まあ、それではわたくしの気のせいでしょう。ええ、お2人の視線が左右に揺れ動いているのは見えてませんとも」

「「うっ」」

「あら、パトリシア様。手を握ったり閉じたりしていますわね。ふふふ、昔からの癖ですわねぇ。大体焦ったりしていますとその仕草をしていますものね」

「ーーっ」

「メアリー様、喉元に手をおやりになって……。ふふふ、何を不安になっていますの?」

「えっとぉ、その」

「わたくしに隠し事をしようなんて、10年早いですわよ? うふふ」

「まあまあ、ヘンリエッタ嬢。私は大丈夫だよ」


 殿下に宥められてしまった。被害? を受けたのは殿下だし、しょうがない。


「殿下がそうおっしゃるのなら、わたくしは何も言いませんわ」

「いや、気にはなっているけれど。とりあえず圧がすごいよ」

「そうでしょうか?」


 そんな会話をしている中、蚊帳の外になってしまった男性陣はヒソヒソ話す。


「……ヘンリエッタ嬢は以前にもまして、気迫がすごいですね。邸でもあんな感じなのですか?」

「いやぁ。昔から怒らせると怖いよ? じわじわ追い詰めるあの感じは味わいたくないよね。確かに圧のかけ方が前よりすごくなってるし」

「それ、兄上がいいます? 僕は兄上も怒らせてはいけない人になっているんですが」

「……トミー、私はスタンホープ兄弟を敵に回したくないですね。貴方も爆弾ですからね?」

「え? まあそうですね」


 否定しないトミーに、ダニエル様はため息をついた。

 そんな会話はわたくしには届いていなかったけれど。

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