トミーはどうしてるかしら
「ちょっと……お2人とも、何とか言ってくださらないと困りますわ。……恥ずかしいことを言いた自覚はあるのですから」
パトリシア様の言葉に、メアリー様と揃って我に帰った。
「はっ……申し訳ありません。パトリシア様があまりにも可愛らしかったので、天使かと錯覚しておりましたわ」
「私もです」
「……えっと、喜べば良いのかしら?」
「「最高の褒め言葉です」」
パトリシア様は何とも言えない表情をしている。
「パトリシア様、わたくしとても嬉しいですわ。友人もとても素晴らしい関係ですが、ライバルも素晴らしい関係だと思いますの」
「……それなら良いですわ」
肝心のわたくしはどうしたら良いか、これっぽちもわからないのだけれど。
もっと話したいことはあったけれど(主に2人が)、だいぶ時間が経ってしまったのでまた後日となった。
明日も学園があるので、メアリー様はディグビー公爵家の馬車で寮に戻るそうだ。
パトリシア様はわたくしもと言ってくださったけれど、ちょうどお兄様が学園から帰る途中で迎えにきてくれた。
「パトリシア嬢、いつもへティがお世話になっているね。ありがとう」
「いいえ、わたくしの方がお世話になっているのですわ。……本当に素敵な妹君をお持ちで」
「そう言ってくれると嬉しいよ。けれどパトリシア嬢も、とても素敵だと思う。もっと自信を持って」
「はい」
そんなやりとりをした後、別れを告げて邸に戻った。
◇◇◇
邸に戻った後、疲れは感じていたけれどもう一つしたいことがあった。
トミーの部屋に向かい、扉をノックする。
入室の許可を貰えたので入った。
「姉上。どうしたのですか?」
「少し話したいことがあって。今大丈夫かしら?」
「僕は大丈夫ですが……。パトリシア嬢とメアリー嬢と話していたのですよね? お疲れなのではないですか?」
「否定はしなけれど、今話したいと思ったの」
そういうとトミーは、ソファに促してくれた。
従者にお茶を用意するように頼んでいる。やがて出されたのは、ハーブティだった。
「ディナーの前ですし、疲れをとるハーブティです」
「まあ、ありがとう」
早速お茶を飲む。スッキリしていて、とても良い香りだ。
「それでどうしたのですか?」
「わたくし、トミーに謝りたかったの。魔物襲撃事件の前に、お出かけの約束をしていたでしょう? ずっと延期してしまってごめんなさい」
「……ああ。その件ですか。いえ、あの状態ではままならなかったでしょう。仕方ありません」
そうは言いつつも、トミーの顔が暗くなったのを見逃すはずがない。
「けれど、とても楽しみにしていたでしょう? わたくしもトミーがわたくしのために計画を立ててくれていたのは嬉しいもの。それなのに2ヶ月近くも反故にしてしまって……。せめて一言言うべきだったのに、それすらもしなくてごめんなさい」
「……」
「トミーが良ければ改めて、日程を調整したいのだけど……」
トミーが話さなくなってしまったのに、焦りを感じる。怒っているわけではなさそうだけれど、我慢しているような。
「やはり、今更かしら……」
不安になってきてそう言うと、トミーは目を合わせてくれた。
「いえ、姉上は何も悪くありません。……僕の心境が変わってしまったというか」
「……っ! もしかして、わたくしとのお出かけが嫌になってしまったの?」
「そう言う訳ではないです。……あの事件で考え方が変わったといいますか。その……」
言いづらそうにするトミー。
わたくしに関係はあるけれど、わたくしに言いたくないのかしら。
「わたくしに言えないことなら仕方ないわ。けれど覚えておいて欲しいの。わたくしはトミーとお出かけしたいわ。そうね……お父様もお兄様も少し頼りにならないから、お母様だったら良い案が浮かぶと思うの」
そういうと、トミーは少し呆れた表情をした。
「父上と兄上が聞いたら泣いてしまいそうですね。僕も姉上が嫌いになったとかでは決してないです。ただ、少し待ってください。気持ちの整理がつくまで」
パトリシア様と似た状態だ。もどかしいけれど、きっとわたくしではダメなのだ。
わたくしにできることは待つことだけ。
「ええ、待っているわ」
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