ようやく学園に行けるようになりました
第4章スタートです!
そろそろ物語も佳境に入る(つもり)ですので、最後まで付き合っていただけたら幸いです♪
殿下との話の後は、家族にも謝罪をした。
皆ようやくわかってくれたか、とほっとした様子を見せていた。
わたくしの行動が間違っていたとは言わないけれど、どうかもっと自分のことを大切にして欲しいと懇願された。
お父様は特に葛藤されていたようだ。わたくしの行動は殿下を守るためであって、侯爵家当主としては誇りに思うことだ。けれど家族を溺愛するお父様にとっては、許容出来ることではなかったと。
お兄様はその考えに納得できていなかったらしく、お父様に反論していた。命を最優先にしないで、何を優先にするのかと。シスコンのお兄様らしいけれど、いずれ当主となるのなら、乗り越えなければいけない壁なのだろう。……お兄様にとって、とても辛い試練になりそうだわ。
トミーはわたくしが反省したのを見て、
「僕が反省させたかったのに」
と膨れっ面になっていた。その発言は怪しいので、遠慮させていただきます。
そしてお母様は、
「結婚すれば、家を守ることが使命となるからへティが危険なことをしなくて済むわ。魔術師は危険な任務もあることだし、考え直してくれないかしら」
なんて言い始めてしまった。
悲報。お母様が味方で無くなってしまった件。なんということでしょう。
とりあえず返事は保留にさせてもらった。大きなことがあったばかりなので、本当に将来のことを考えている余裕がなかったんです。本当です。
◇◇◇
魔物襲撃事件から1ヶ月が経った。
事件の首謀者は、殿下の婚約者候補の1人の家だった。わたくしと同じ侯爵家。動機は自分の娘が殿下の気を引けずにいた為、痺れを切らしたということらしい。それならば婚約者候補の最有力候補のわたくしとパトリシア様を亡き者にすれば、自分の娘が選ばれると思ったらしい。
その娘も殿下に選ばれるためならと、学園で得た情報を父親に流していたらしい。
そして賄賂を使い、教員への連絡係を買収し連絡を遅らせるようにしたということだ。
肝心の魔物をどうやって用意したというと、闇商人を利用したらしい。
闇商人は趣味の悪い貴族が、魔物を欲しがるということで度々魔物を売っていたそうだ。しかし商人だけで魔物を何体も、それも生きたまま集めるというのは考えづらいということで、さらに繋がりがないか調べている。こちらの方はまだまだ調査がかかりそうということだ。
わたくしの方はというとようやくお母様の体調も戻り、学園に行っても良いと許可が降りた。
今日からようやく登校できる。お兄様と、トミーと馬車に乗り込む。
「いいかい、へティ。何か危険を感じたらすぐに逃げるんだよ。トミーもだ。僕のところに来なさい。いいね?」
「お兄様、落ち着いてくださいまし。先の事件から、学園の警備が厳重になったのでしょう? そんな危険なことはありませんわ」
「断言はできないだろう。あの時だって、警備はあったんだから。もう僕の知らないところで危険な目に遭って欲しくないんだよ」
「姉上、兄上の心労も理解してあげてください。確かに生徒会長の兄上のところは割と安全でしょう。僕が連れて行きますから」
「ああ。頼んだよ、トミー」
「もう……」
そして学園に着いたら着いたで、クラスメイトから次々心配されてしまう。そうよね。同じ現場にいたパトリシア様とメアリー様はとっくに登校しているのに、わたくしだけずっと休んでいたのだもの。そうわかっていてもお腹いっぱいです。
パトリシア様が助けてくれなければ、あまりの勢いに飲まれるところだった。
助けてくれたついでに、メアリー様も加えた3人で授業まで教室から避難することにした。
向かった先は、メアリー様と初めて会話した噴水だ。ベンチに3人で腰掛ける。
「ありがとうございます。流石に人の波に溺れるかと思いましたわ」
「ヘンリエッタ様が珍しい……と言いたいところですが、あの勢いは流石に溺れますわね」
「パトリシア様、カッコよかったです」
そんな会話をするが、どこかパトリシア様の空気が固い。あと、メアリー様もソワソワしているみたい。
「お2人とも、何かあったのですか? いつもと様子が違いますが……」
「……ええ。ねぇ、ヘンリエッタ様。今日の放課後、わたくしの邸に来ていただけませんこと?」
「今日ですか?」
「ええ」
そのあまりにもいつもと違う様子に、気がついたらわたくしは頷いていた。
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