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転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど!?  作者: 水月華
第3章

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イベント【魔物襲来】③

118話

 ああ、わたくしはここまでなのか。

 やけにスローモーションの視界の中、思考もクリアになっていた。

 思い浮かべるのは家族のこと、パトリシア様のこと、メアリー様のこと。これが走馬灯なのか。

 ごめんなさい、お父様、お母様。先立つ不幸をお許しください。

 お兄様、トミー、どうかスタンホープ家のことを頼みます。

 パトリシア様、わたくしがいなくなっても他の方と仲良くしてください。

 殿下とダニエル様は、平和な時代を築くことを願っております。

 そしてメアリー様。どうか気に病まないで。強く生きてください。

 ゆっくりと目を閉じたその時。


「ダメェぇぇぇぇ‼︎」


 その声と同時に、閉じた暗い視界が真っ白になる。

 あまりの眩しさに、手でも目を覆った。

 やがてその光が収まる。

 何度か瞬きをして、目が慣れてくると目の前にはメアリー様が。

 そして魔物は1体もいなくなっていた。


「え……?」


 状況が理解できずに、開いた唇からはそんな音が漏れた。

 振り返ったメアリー様と目が合う。お互い呆然と見つめ合っていた。

 と思えば、ぐしゃりと顔を歪ませてメアリー様は抱きついてきた。

 わたくしはまだ、現実感がなくて動けない。


「うっ……うわあああああああんっへ、ヘンリエッタさまあああああ! よかった……っよかったですっ」


 淑女らしさなんてかなぐり捨てて、わたくしに縋り付くメアリー様。


「メアリー嬢……。今のは……魔力暴走ではない。けれど詠唱もなしにあんな……魔術を……」


 いつの間にか近づいてきていた殿下の声に、急に現実感が戻ってきた。

 わたくし、生きているんだ。

 皆、無事なんだ。

 メアリー様の背中に腕を回す。力加減なんてなしに、温かい体を抱きしめた。


「メアリーさま……っよく、よく頑張りましたっ。すごい、すごいですっ」

「ヘンリエッタ様がし、死んじゃうと思ってぇっ。とにかく助けたかったですっがむしゃらに動いたらっできましたぁ」

「ええ、ええ。本当によく頑張ったわ。ごめんなさいね。きついことを言ってしまって」

「いいえっヘンリエッタ様にそんな役目を負わせてしまって、目が覚めたんです! 私こそ、ごめんなさい!」


 2人で謝りあっていると、他の方々も動けるようになったようで近づいてきた。

 パトリシア様も、目が潤んでいる。


「メアリー様……すごいですわ。本当に……。ヘンリエッタ様は無茶をしすぎでしたが……わたくしの寿命が縮まりましたわ」

「ふふふっ。パトリシア様、手厳しいですわ」


 笑い泣きの状態になってしまう。

 トミーはまだ少しふらついているけれど、意識はしっかりしている。


「トミー、大丈夫?」

「それ、僕のセリフですからね。……無事で良かった」


 トミーは泣くのを堪えている。

 ダニエル様は、顔色は悪いけど少し微笑んでいる。


「ダニエル様、先ほどの魔術すごかったですわ。土属性って隕石も落とせるのですね」

「その後の貴女の魔術の方が凄かったですよ。私もまだまだですね」


 そして殿下に視線を向ける。ちなみにメアリー様はまだ私に縋りついて、大泣きしている。


「殿下、頭をお怪我しましたが、ふらつくことはありませんか?」

「……はあ。私は大丈夫だ。君のおかげで吹っ飛んだよ。それにヘンリエッタ嬢も怪我をしているだろう」


 わたくしの心配を他所に、大きくため息をついた殿下に言われた。その言葉とともに右腕に痛みが走る。


「イッ……‼︎」

「ヘンリエッタ様⁉︎」


 その声に驚いたのか、メアリー様が離れる。

 見ると、右腕の制服は真っ赤に染まっている。

 興奮状態にあったせいか、痛覚に鈍くなっていたようだ。

 殿下が近寄ってきて、なぜか横抱きに抱えられた。


「で、殿下⁉︎ 殿下も怪我をしているのですから、降ろしてください!」

「見た目が派手なだけで、そこまで深い怪我ではないから大丈夫だ」

「そういう問題ではありませんわ! それに足は怪我していませんから歩けます」


 わたくしの訴えを黙殺して、殿下は歩き出す。


「とりあえず、ここから出よう。忙しくなるな」


 本来であれば、ダニエル様もパトリシア様も止めるのに。

 なぜか殿下は誰にも止められなかった。


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