方言
同じ言語でも地域によって方言があるのって良いよね。
ということで、東西南北で方言を作ります。
※ここで使う記号は現実での音価というよりこの言語における音価として使っています。
西: k や g が拗音化
r, rh は軽い巻き舌(あまり区別がない)
h が弱くなる ( ' )
ch → s 、 dj → z
š はほぼ s
þ, ð はそのまま (th, zh)
子音の後、n の前の m は v の発音に近い
wi → i
南: k や r でも kh や rh のように喉を鳴らす
s は常に š
f はほぼ v
ch は h に近い
tz → k
þ → t 、 ð → d
e は a 寄り (æ)
ウムラウトしない
y → ih, hi
東:文頭以外の l は u に近い ( ł )
r は弱い
tz- は dzj- に近い
tu は tz
v は w に近い
þ → s ð → z
アクセントのない a 、二重母音の a は o 寄り (å)
あまり拗音化しない
f は p に移行中 ( ph )
ウムラウトは長音になる
北: r は強い巻き舌 ( rr で表記)
h は硬く kh に近い ('h)
j → dj
þ, ð はやや t, d 寄り
i → y 、e は ye 寄り
sk は š
これから文章をたくさん書く過程で増えていきそうな……。地域にもよるので、南の生まれなら絶対にこう!ということではないです。
とりあえず、これを踏まえて比較してみます。
(ローマ字は発音上の表記)
●挨拶
★Króvaftzi! クロヴァフツィ こんにちは
西:Kruvafsi! クルーヴァフシ
南:Khrhóvakki! フローヴァッキ
東:Krowáhdzj! クローワㇷヂ
北:Krróvaftzi! クㇽローヴァフツィ
違いを出したいので厳密にルール通りにはしませんでした。いやそんな変わらんな。
★Seméni セメーニ さようなら
西:Seméni. セメーニ
南:Šæmæni. シャマーニ
東:Seméni セメーニ
北:Syemyény. シェミエーニィ
これはもっと別のワード作っても良いかもしれん。
★Höi uróša? フイ ウローシャ? 元気?
西:'Öi urósa? ウイ ウローサ?
南:Hói urhóša ホイ ウㇽホーシャ?
東:Hói urošå? ホイ ウロショ?
北:'Höi urroša? フイ ウㇽローシャ?
★El'ronanó (artz) tía エルロナノー (アㇽツ) ティア ありがとう/ごめんなさい
西:El'ronanó tía. エルロナノー ティア
南:El'rhonanó tía. エルホナノー ティア
東:Eł'ronáno tíå エゥㇿナーノ ティオ
北:Yel'rronanó tya. イェルㇽロナノー ティヤ
この言語では「ありがとう」と「ごめんなさい」が同じで「あなたが私に与えたもの/私があなたからから奪ったものに、私は報いるでしょう」という意味。
Litaró tía! (君に感謝している)とか Trarúrte eía! (私を許して)とかをつけることは多いです。
★あなたはどの神殿の出身ですか?
Háin urof Temnai, artzúr dj'zemantích' Tizhói?
ハイン ウローフ テムナイ、 アㇽツール ヂェマンティーチ ティゾイ?
西:'Ain urof Tevnai, artzúr zi'zemantísi Tizhói?
アイン ウローフ テヴナイ、 アㇽツール ジェマンティーシ ティゾイ?
南:Hain urhov Tæmnai, arhkúrh dj'zæmantích' Tidói?
ハイン ウㇽホーフ タムナイ、 アㇽクーㇽフ ヂャマンティーチ ティドイ?
東:Håin uroph Temnåi, årdzjúr dj'zemåntích' Tizói?
ホイン ウㇿフ テムノイ、 オㇽヅーㇽ ヂェモンティーチ ティゾイ?
北:'Hain urrof Tyemnay, arrtzúrr dj'jemantych' Tydóy?
ハイン ウㇽローフ ティエムナイィ、 アルツール ヂジェマンティーチ ティドイ?
●本編のために作った詩の翻訳。
東風とともに お前はやってきた
(Dj'turelch't oés Láer Argók)
大地は目覚め 花々は咲き乱れた
(Múrhtka novarch'f ó Innerío imnüch')
月の秘密を お前は学んだ
(Dj'natuselch't séa Megáer Yerok)
星が落ち 花々は燃えた
(Nayra demnch'f ó Innerío tav'rüch')
輝く灰の上で お前は眠った……
(Dj'vrölch't h'és Mévwi fikee)
なお、この続きは考えていない。
★東風とともに お前はやってきた
Dj'turelch't oés Láer Argók
ヂトゥレールチト オエス ラエーㇽ アルゴク
西:Zi'turels't-oés Láer-Argiok
ジトゥレルシトエース ラエーラルジョク
南:Dj'turhælh't-oæš Larh-Arhgokh
ヂトゥㇽヘルㇶトエシュ ラーㇵルゴフ
東:Dj'turełch't-oes Lör-Årgok
ヂツレゥチトエス ルーロㇽゴク
北:Dj'turryelch't-oyes Layerr-Arrgok
ヂトゥㇽリェルチトイェース ライェラㇽルゴク
★大地は目覚め 花々は咲き乱れた
Múrhtka novarch'f ó Innerío imnüch'
ムルトカ ノヴァーㇽチフ オー イニェリオ イㇺニューチ
西:Múrtkia novarsi'f-ó Innérío ivnüsi'
ムルトキャ ノヴァルシーフォ イニェリオ イヴニューシ
南:Murhtkha novarh'v-ó Innærhío imnuh'
ムㇽフトハ ノヴァルㇷヴォ イナㇽヒオ イムヌーヒ
東:Murthkå nowárch'ph-ó Innerio imnúch'
ムㇽトコ ノワㇽチーフォ イネㇼオ イㇺヌーチ
北:Murrtka novarrch'f-ó Ynnyeryó ymnüch'
ムㇽルトカ ノヴァㇽルチーフォ イニェリョー イムニューチ
★月の秘密を お前は学んだ
Dj'natuselch't séa Megáer Yerok
ヂナトゥセルチト セア メガエーㇽ イェロク
西:Zi'natuselsi't séa Megiaer Yerok
ジナトゥセルシト セア メギャエーㇽ イェロク
南:Dj'natušelh't šéa Megharh Iherhokh
ヂナトゥシェルㇶト シェア メグハーㇽ イヘロフ
東:Dj'nåtzsełch't séå Megör Yerok
ヂノツセゥチト セオ メグーㇽ イェㇿク
北:Dj'natuselch't syea Myegayerr Yerrok
ヂナトゥセルチト シェーア ミェガイェール イェㇽローク
★星が落ち 花々は燃えた
Nayra demnch'f ó Innerío tav'rüch'
ナイラ デムンチフ オ イニェリオ タヴリューチ
西:Naira densi'f-ó Innerío tav'rüsi
ナイラ デンシーフォ イニェリオ タヴリューシ
南:Nahirha dæmnh'v-ó Innærhío tav'rhu'h
ナヒㇽハ ダムンㇶヴォ イナㇽヒオ タヴルㇷヒ
東:Nåyrå demnch'ph-ó Innerío tåw'rúch'
ノイロ デムンチーフォ イネㇼオ トウㇽーチ
北:Nayrra dyemnch'fó Ynnyerryó tav'rrüch'
ナイㇽラ ディエムンチーフォ イニェリョー タヴㇽリューチ
★輝く灰の上で お前は眠った
Dj'vrölch't h'és Mévwi fikee
ヂヴルールチト フエス メヴイ フィケー
西:Zi'vrölsi't 'és Méví fikiee
ジヴルールシテス メヴィ フィキェー
南:Dj'vrholh't h'æš Mævwi vikhæ
ヂヴㇽホールㇶト ハシュ マヴイ ヴィクㇵー
東:Dj'wrółch't hes Méwi phikee
ヂウロゥチト ヘス メウィ フィケー
北:Dj'vrrölch't fés Myevwi fikyee
ヂヴㇽルールチト フェス ミャヴイ フィキェー
後々に様々な問題が出てきそうな予感がしますが、とりあえずこの感じでいきます。
ここまで作った感想としては、屈折語としてもかなり印欧語っぽい感じになったなと思いました(まあある程度勉強したのが印欧語だけだから当然)。今回はかなり適当に作ってしまいましたが、ナチュラルな屈折語にするためにはもっとルールがかっちりしてると良いのかな。
あと冠詞を作ろうか結構悩んだのですが、これ以上格変化に対応出来なさそうだったのでやめました。あった方が便利な気はするのだが……。
これからもブラッシュアップはしていきますが、どんどん細かすぎて伝わらないやつになっていくはずなので、ひとまずこのエッセイはこれで完結とします。もしかしたら『第二章:人魚語』みたいなのが始まるかもしれませんが、その前にもう少し色々な言語に触れておきたい……。
今まで言語制作に二の足を踏んでいましたが、大まかな文法ならだいたい2週間でできるということが分かったのは良い収穫でした(13連勤しながらなので、週休2日ならもっとサクッと出来るのでは?)。
あとはとにかく単語を増やすことですね……(現時点で700単語しかない)。
ファンタジー本編は完結してから投稿する予定でしたが、この言語の世界観を説明するためだけに『灰色の書』最初の2章だけ投稿しておきます。ただ、とにかく完結しない作者なのでこの続きが日の目を見る日が来るか分かりません。
とんでもなく趣味に振り切ったエッセイなので、ここまでちゃんと読んだ人が存在するのか分かりませんが、お読みいただきありがとうございました。
こんなに適当にやって「言語作ってみた」って言ってるやついないと思う。