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言語を作り始めた  作者: f
言語① Glósora
16/19

名作翻訳してみた 「そうか、そうか、つまり君はそういうやつなんだな」


 これまでアクセントについて全然触れてこなかったですね(普通に忘れてた&どう説明すればいいか分からんかった)。

 日本のようにアクセント(強弱)がなくピッチ(高低)だけの言語もありますが、この言語にはアクセントがあります。

 基本的にアキュートが付いているとこか、でなければ後ろから2番目パエウルティマの音節に来ることが多いです。


 なんとなく文法ができてきたところで、これが機能するかどうか、有名な作品を翻訳して確かめてみます。



★ “Die Nachtpfauenauge“

 So, so, also so einer bist du.


 まずはヘルマン・ヘッセの『クジャクヤママユ』より、みんな大好きなエーミールの台詞。

 ドイツ語原文を見ると「そうか、そうか、つまり君はそういうやつなんだな」が、音の印象にかなり忠実な翻訳だと言うことが分かりますね。

 ここの “einer” は英語の “one of those” 的なニュアンスです(たぶん)。


Lor, lor, fulár älleya (séa keríre) té urot.


Lor ロ↑ァ それで(接続詞)

fulár フラ↑ル つまり(接続副詞)

ällei + eya エ↑リェヤ 不特定多数の一人、もの(名詞・主格)

séa セ↑ア 〜の(前置詞・与格支配)

keríre ケリ↑ル それら(指示代名詞複数・与格)

té テ 君(名詞・主格)

urot ウロ↑ト ある(二人称単数・現在形)




★ “Song“

Go and catch a falling star,

Get with child a mandrake root,

Tell me where all past years are,

Or who cleft the devil's foot,

Teach me to hear mermaids singing,

Or to keep off envy's stinging,

And find

What wind

Serves to advance an honest mind.



行け、流れ星を捕まえよ

マンドラゴラの根を孕ませよ

言ってくれ、過ぎ去った日はどこへ行ったのか

あるいは誰が悪魔の足を裂いたかを

教えてくれ、人魚の歌の聴き方を

あるいは悪意の棘の避け方を

そうすれば

どんな風が

正直な心を育てるか分かるだろう

 ジョン・ダン『ソング』


 エリザベス朝の詩人ジョン・ダンの作品の一部。『魔法使いハウルと火の悪魔』などでも引用されるとても有名な詩です。



« Našta »

Danté ói'h kohárté Nayrói ikhármii,

Bárh'te Kollói hartz Lotzér Jeroskik,

Išmté eía hérk urü Orerío dj'herkíchiir noskó,

Ín húi dj'véinóch'f Fetkói Swithosk,

Šáté eía gartz el'nakó Réymói Réišetik,

Ín el'roróša sen Dáztimói Lavimik,

Ó el'vanitok

Háš Láu

Drifd méidim Donášói thömee.


Našta ナ↑シュタ 詩(名詞・主格)

Danté ダ↑ンテー 行く(動詞・命令形)

ói'h オ↑ィ 〜と、そして(接続詞)

kohárté コハ↑ルテー 捕まえる(動詞・命令形)

Nayrói ナイロ↑イ 星(名詞・対格)

ikhármii イハ↑ルミー 落ちている(形容詞・対格)

Bárh'te バ↑ルテ 孕む(動詞・命令形)

Kollói コリォ↑イ 子ども(名詞・対格)

hartz ハ↑ㇽツ させる(助動詞)

Lotzér ロツェ↑ル 根(名詞・与格)

Jeroskik ジェロスキ↑ク マンドレイク(名詞・属格)

Išmté イ↑シュムテー 語る(命令形)

eía エ↑イア 私(名詞・与格)

hérk ヘ↑ㇽク どこ?(疑問詞)

urü ウリュー ある(三人称単数・現在)

Orerío オレリ↑オ 年(名詞複数・主格)

dj'herkíchiir ヂヘアキ↑チーア 過ぎ去った(形容詞・主格)

noskó ノ↑スコー すべての(副詞)

Ín イ↑ーン もしくは(接続詞)

húi フィ 誰?(疑問詞)

dj'véinóch'f ヂヴェイノ↑チフ 裂く(三人称単数・過去完了)

Fetkói フェトコ↑イ 足(名詞・対格)

Swithósk スィソ↑スク 悪魔・闇で囁く者(名詞・与格)

Šáté シャ↑テー 教える(命令形)

eía エ↑イア 私(名詞・与格)

el'nakó エルナ↑コー 聞く(一人称単数・未来形)

gartz ガ↑ㇽツ できる(助動詞)

Réymói レィモ↑イ 歌(名詞・対格)

Réišetik レイシェティ↑ク 人魚・海で歌う者(名詞・属格)

Ín イ↑ーン もしくは(接続詞)

el'roróša エㇽロロ↑ーシャ 離れる(一人称単数・未完了)

sen セン 〜から(前置詞・与格・対格支配)

Dázt + im-ói  ダーツィモ↑イ 刺すこと(名詞・対格)

Lavimik アヴィミ↑ク 悪(名詞・属格)

Ó オー 〜と(接続詞、oi'h の略)

el'vanitok エルヴァニト↑ク 見つける(二人称単数・未来形)

Háš ハ↑ーシュ 何?(疑問詞)

Láu ラ↑ーゥ 風(名詞・主格)

Drifd ドリ↑ーフト 役に立つ(三人称単数・現在)

méidimér メイディメ↑ール 進めること、促進すること(名詞・与格)

Donašói ドナ↑ショイ 心(名詞・対格)

thömee スメ↑ー 誠実な(形容詞・対格)



 とにかく単語が足りない&文法の課題が山積み……。

 英語の to do は「目的動詞+artz 」もしくは「名詞化した動詞(与格)」どちらも使えることにしようかな…。

 また、五巻が -d で終わる動詞の二人単数・三人称単数は-dt, -df でなく -td, -fd の方が言いやすいと気付きました。これは不規則動詞になるのか…?

 あとここに来て属格 -ik の時のアクセントは最後(ウルティマ)最後から二番目(パエウルティマ)か迷い始めました(二人称単数 -ot もだな…?)。

 まあこの言語をどこかで音読する日はそうそう来ないので、色々文章書いてみてから考えます。決まる日は来るのか。




★ ”Ibis”

Utque mei versus aliquantum noctis habebunt,

sic vitae series tota sit atra tuae.


私の詩は大いなる闇をまとうことになるが、

そのようにお前の人生も暗くなれ

 オウィディウス「イービス(鴇)」


 ラテン語です。それだけで厨二病はテンション上がりますね。


« Thomá »

Ói'h Našterío ek el'kadü Yazói filgii,

Lor Zemšin simár ték el'urote hartz vw'oniir.


Thomá ソマ↑ー トキ(名詞・主格)

Ói'h オ↑ーィ そして(接続詞)

Našterío ナシュテ↑リオ 詩(複数・主格)

ek エ↑ク 私(名詞・属格)

el'kadóü カドゥ↑ー 持つ(三人称複数・未来形)

Yazói ヤツォイ 夜、闇(名詞・対格)

filgii フィルギー いくらかの(副詞・対格)

Lor ローァ それで(接続詞)

simár シマール 絶対的な、すべての(副詞・主格)

Zemšn ゼムシン 人生(名詞・主格)

ték テーク 君(名詞・属格)

el'urote エルローテ ある(二人称単数・未来形命令)

hartz ハルツ 〜させる(助動詞)

vw'oniir ヴィオニール 暗い(形容詞・比較級)=より暗い


 あまりラテン語分かってないですが、こんな感じじゃないですかね。我ながら雑になるの早い。




★ “Faust”

——— Werd ich zum Augenblicke sagen:

Verweile doch! du bist so schön!

Dann magst du mich in Fesseln schlagen,

Dann will ich gern zugrunde gehn!


 ──もし俺が刹那に向かって

止まれ!お前はあまりにも美しい!

と言うことができたなら、お前は俺を好きに料理するがいい、

俺は喜んで滅んでゆく!

 ヨハン・ヴォルフガンク・フォン・ゲーテ『ファウスト』


 この作品で一番格好良い台詞だと個人的に思っています。「過ぎ去って行く刹那」に「(それでも)とどまれ!」というニュアンスが好きなのですが、日本語にするのが難しい感じがします。高橋義孝先生の翻訳が好きです(上の訳はほぼ引用)。



——— Ront el'bašó hár Aronšatkia:

Efdzát urázte! Urot káin líoniir!

Yek el'tverót hartz eói,

Yek el'danó finiir hár Balotér!


Ront ロ↑ント もし(接続詞)

el'bašó エルバショ↑ー 言う(一人称単数・未来形)

hár ハル 〜に(接続詞・与格支配)

Aronšatkia アロンシャ↑ーキア 瞬間(名詞・与格)

Efdzát エフヂャ↑ート それでも(接続詞)

urázte ウラ↑ーツテ 静止する(動詞・命令形)

Urot ウロ↑ート ある(二人称単数・現在形)

káin カ↑イン とても(副詞)

líoniir リオニ↑ーア 美しい(形容詞・主格)

Yek イェーク その時(副詞)

el'tverót エルトヴェロ↑ート 縛る、自由を奪う(二人称単数・未来形)

hartz ハ↑ㇽツ 〜させる(助動詞)

eói エオ↑イ 私(名詞・対格)

Yek イェ↑ーク その時(副詞)

el'danó エルダノ↑ー 行く(一人称単数・未来形)

finiir フィニ↑ーア 嬉しい、喜んで(形容詞・主格)

hár ハル 〜に(接続詞・与格支配)

Balotér バロテ↑ール 破滅(名詞・与格)



 hartz の使い方が多岐に渡りすぎてきたような気がしなくもない……。

 ※以前例に出した süliir は「均整のある美しさ」、 líoniir はもっとざっくりした「美しい」です。



★ “Hamlet”

To be, or not to be, that is the question:


 最後にシェイクスピアの『ハムレット』。

 生きるべきか死ぬべきか?


Úr, ín úr nartze, ki urot Lalüm:


Úr ウル 動詞「ある」の語幹

ín イ↑ーン もしくは(接続詞)

úr ウル 動詞「ある」の語幹

nartze ナ↑ルツェ 〜しない

ki キ これ(指示代名詞・主格)

urof ウロ↑フ ある(三人称単数・現在形)

Lalüm ラリュ↑ム 問い(名詞・主格)




 五つほど翻訳しましたが、このくらいの長さの文章ならなんとかなりそうです。たぶん。


次回は挨拶文的なものをやろうと思います。

言語というか世界観的な話になってきます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] すごいなぁ・・・。 ご自分で言語を構築しちゃうところがヤバイです♪ ぼくは、「超多言語学習者」ではありますが、しょせんは、どこまでいったって、 「他人が分析・解析」してくれた、既成の…
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