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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
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Mの殺意

作者: おにいさん

1

Mは妻を殺めた。

ビジネスホテルで首をつっている、そう連絡が入ったのは、盆を過ぎ、残暑の残る金曜日、診療の最中だった。警察官は妙に低い遠慮がちな声で、妻の死を伝えてきた。

残りのクライエントにセッションの中止を申し出ると、ジャケットを鷲摑みにして、くだんの町までタクシーを飛ばした。

実を言えばそれは必然の、死だった。

Mは死体に会う前から心のアリバイをいくつも作っていた。

ホテルへ到着し、駆け込んで部屋に入ると、身体はすでに降ろされ、手足の先がすっかり白くなり、瞼が水を入れたように膨れていた。

「ご確認、お願いします」

Mは膝を崩し、ナイロンの敷布を握りしめ、紫に変色した索状痕を見つめながら、

「妻です」

といった。

(10時間は経っている)

心の内でMはそう見立てていた。

「検死の後、連絡させていただきます」

おそらく連絡をくれた警察官であろう、男はMを横目に、白くなった顔に大事そうに黒いシーツをかぶせ手を合わせた。

Mは静かに泣いて、

「…ご迷惑おかけします」

と頭を下げた。



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