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「ねぇ、いまのノート貸してくんない?」
午前の授業終わり、後ろの席の女子に言われた。
最近ちょっと気になっている子だ。
「さっきうたた寝しちゃって。」
「いいけど。はい。」
「ありがと!」
彼女は受け取ると、パラパラとめくり今日のページを開く。
自分のノート見られるのって、なんか照れる。
「ホントは君の後ろ姿に見惚れてたって言ったら、信じる?」
「えっ?」
思わず彼女の顔を見ると、
イタズラっ子のような瞳が笑顔を携えながらこちらを見ていた。
「冗談だよ?」
ビックリした。
「今日中に返すね〜」
その日は後の授業のことをよく覚えてない。
ずっと見られてるかもしれないと思うと、色んなことがそぞろになった。
ノートはHR前に帰ってきた。
最後のページに鉛筆で『ありがとう』って書いてあった。
ちょっとだけ顔が熱くなった。
こんな女の子いたら好きだなぁ。