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未完成な君へ。  作者: 海月
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短めですが、戦闘回は次回ということで、切らせていただきます。

他人を真似ばかりしてきた彼女には、果たして他人で構成されてないものがあるのでしょうか。貴方の意見は貴方の物ですか?それとも、誰かからの受け売りでしょうか?

早歩きで帰宅中ナウ。まあ、ここも家…ではあるんだけどさ。

それにしても少し雲が出始めたね。昼間は結構晴れてたけどこりゃ雨が降るな。急ごうかな。


私の思考はいつもモノローグ気味というか、地の文というか。誰かと対話してるようで、その実誰とも会話していないような話し方で私の頭は回っている。そんな言い方したら友達少ない奴みたいじゃん!


誰に言うのか分からないけど、自分に言い聞かせるような気持ちで今の状況を説明しよう。


私はAとBに裏切り者がいるって言われて、その後Dと話して、裏切り者は実は研究者が催眠や洗脳みたいに皆の中の誰かを操って出来ていると予想した。


ちなみに、裏切り者がいるっていうのはQの予言で……。


ん?何かがおかしくないか?

「Qの予言に……予言だよな……だとしたら?」


予言とは、ある物事についてその実現に先立ち『あらかじめ言明すること』だとwikip○diaさんも確か言ってたはず。そんな気がする。


つまり実現に先立たなくてはならないはずだ。

そりゃあ予言だもの。未来のことを言ってるはずだ。

でも裏切り者がいるのだとしたら現在の話で……?頭がこんがらがってきたな。


つまり、裏切り者は未来にでき、未来に存在している、ということかな。今裏切り者はいない、と。


とどのつまり裏切り者を作るやつが未来にいるわけだ。

んーむ。襲撃かな?だとしたら私がここにいるのは宜しくないのでは?私は皆を護れない。つまり、ヤバい。

息がつまり、一瞬にして背筋が冷える。

沸騰しているように頭が熱くなる。


「っ!ヤバい早く帰らなきゃ!」

走れ。早く。それが私の最善手だ。


そんな私を見下すようにポツリポツリと雨が降り始める。


下を向きながら走る。悔しさを置き去りにするかのように。でも、私の中で悔しさも私への憤りも増え続けていくばかりだ。


私ならばとっくに気づくことができたはずだ、という傲慢というよりは自信に基づいた自尊心__結果としてそれは今回のような最低なミスを引き起こした傲慢さへと変貌したが__が崩れていく音がする。


何よりも施設の皆の戦力を削ってしまい、これで誰かが死ぬようなことが無くて欲しいと、それもAに頼りすぎない形で生きていて欲しいと浅はかながら願ってしまいたくなる。


願っても叶わない夢は山ほどあって、だから願ってもどうにもならないと、私は諦めたはずなのに。願ってやらない、自分の手で掴み取ってやると息込んだはずなのに。


「はぁ…はぁ…」

息がどんどん荒くなる。


もっと速くと私は体に命令するも、焦りからか私の体は言うことを聞かない。頼むからもっと速く動け、と命令する内にどんどん遅くなっているように感じる。世界の時が徐々に広がるような感覚を覚える。


そんななか、一部分だけ無駄に冷静な私の頭は最も最悪な未来ばかりを瞼に写そうとしてくる。


もし、()()()が死んでいたら__?

そう思う度に目の前が暗くなっていく。

足取りが覚束なくなっていく。


ああ、嫌だ。誰も失いたくはない。ようやく離れなくて済むと思ったのに。

心がきゅっと締め付けられて、苦しくて、苦しくて、私の中で激情が暴れまわっているのが分かる。


だからこそ、気づかなかったのだろう。

私はふと何かにぶつかった。反動でよろめき倒れる。


前を見ると、目付きの悪いヤンキーのような男となぜか巫女姿の眼鏡をかけた男がいた。


「おめぇがCだなぁ?」

「貴女にはなんの恨みもつらみもありませんが、此方の都合で殺させていただきます」


……え?彼らは何を言ってるんだ?そもそも誰だ?冷静さを欠いた私にはそんな疑問ばかりがふつふつと浮かび上がる。


「おらぁ!」

危ない。反射的に私は避ける。そこで私は今更ながら気づいた。ああ、こいつらは敵なのか。


思考がゆっくりと安定してくる。それは急すぎて、()()()()()()()()()()()()()()であった。

とにかくこいつらは殺さなきゃ。私のために。あいつのために。


―――――――――――――――――――――


私には才能がない。異常と思われる能力は無いのだ。ただ人より分析と観察が得意なだけ。だから、私は才能が開花する私の後輩たち(第二世代・第三世代)を遠くから見つめるだけしか、手伝って送り出すことしか出来ないと思っていた。


ある知り合いの研究者が言っていた。才能は己が心の芯となるものに由来する、と。()()()()が如何にあろうと芯がないと才能は発揮されないし、ぎゃくに才能因子が少なかろうと、芯が在れば才能は開花するのだ、と。


いつも空っぽだった私には芯が無かった。だから、何も目覚めることもなく、私は『()()()()()()()()()()』の蔑称を思うがままにしていた。


服従している訳ではない、逆らうことが愚かしいだけだ、と。

もう、抵抗することが疲れたのだ、と。

そう言い訳をしていながら、実際のところ、悔しさも憤りも通り越し、自らに失望していた。

それを目の当たりにしないようにカッコつけておきながら。


私はただの出来損ないの操り人形そのものであった。


――――――――――――――――――――――


以下、人物と才能表。


目付きの悪いヤンキーのような男

本名:楊寺 喜一

大した意味を持たないキャラクターのようで実は裏設定がしっかりある。拳で闘うので血のついた包帯が手に巻かれている。


巫女姿の眼鏡をかけた男

本名:佐久間 稿

不審者。通報待った無し。キリッとしてる分女装姿に謎の違和感がある。なお、戦闘回ではギャグマンにはならず、むしろ、なぜか強者感が出る。こいつも裏設定あり。服の中に札を山ほど隠し持っている。


因みに、Cの考察ですが、間違っています。予言だからといって、現在の人間が出てこないなんてことがあろうか、いやない。といった始末なので、奇跡的になんか合ってたみたいな感じです。

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