与えられた道
「残念だけどそうなってしまうね。君に卒業資格は与えられない」
「じゃあ、俺はこれからどうすればいいんですか…」
初等部、中等部、高等部に関わらず、卒業資格を貰えない場合は、国を防衛する《聖十字騎士団》に入団することは許されない。
「ずっと夢だったんだ…騎士団に入るって…」
騎士団員には一人につき一体、聖鎧が与えられる。騎士団は聖鎧を纏って魔鎧を倒すこと以外にも仕事はあるが、アレムはずっと聖鎧を纏うことに憧れていた。
いや、憧れていたというのは違うか。
「親御さんに連絡しなければならないな。少し待っていなさい」
「…両親は、二年前に…」
「…そうか、すまなかったね…では今すぐ手続きをさせてもらおう。ついて来たまえ」
呆然としたままふらふらとした足取りで、校長室の奥へ進む校長の後に続いた。
「デイン・ジオース・リスタ、我が思う場所への道を」
呪文に呼応し、校長室の最奥の壁に光の扉が現れた。たしかこれは転位魔法の一つだったはずだ。
「この扉、どこに?」
そう校長に聞いたが、校長は振り返らず扉に手をかけたまま答えた。
「特務部隊の本部だ」
「っ!?フェン…リル…?いや、まさか…」
フェンリル、それは両親が生きていた時に研究員として所属していた組合の名前だったはず。それが、そんな物騒なものだったとは。
(父さんと母さんは、そこで、何をしていたんだ?)