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赤い旗は血を求める

リアル都合で更新できなかったので、今年中に寝かせていた分はあっぷしてしまうつもりです。

誤字脱字があれば指摘お願いします。

ウランウベの郊外にあるグリゴリー・セミョーノフが率いる第3軍の本拠地では息を荒立たせていた。


「まだか、まだ敵の本隊を見つけられないのか?」

「残念ながら、敵の出撃についての情報が入って以来発見の報告は行われておりません」

「忌々しい」

セミョーノフが苛立たせるのも当然といえた。

敵の進軍にいち早く対応できたのは、ソビエト内に潜伏させたスパイのおかげだった。

敵の進軍報告があってから、すぐに中央に情報が挙がったのは良しとすべきだが

偵察機があがったのは報告から既に5時間経過していたこともあってか敵の位置はいまだ不明だった。


そして今日も敵を発見しようと偵察を兼ねた戦闘機隊がチタから飛び立ち

防衛線であるウランウデからイルクーツクまでを各方向に向けて飛行していた。


「ですが閣下、第3機甲師団はウランウベの郊外で縦深陣を待機していますし。

 第5機甲師団は湖に沿って北上し敵の襲撃に備えています。

 さらに我々は最新の装備を与えられているのですから、何も恐れる必要は無いのではないでしょうか?」

「馬鹿者!将校が油断をしてどうする」

情報将校が将軍をなだめようとして発言した事が、より一層セミューノフの癇癪に触れて

激しい怒声が情報将校にぶつけられた。

「良いか、我々は勝たねばならん。

 確かに最新の兵器が与えられてはいるが、錬度はどうだ?実戦は初めてだろう?

 そんな中で敵の奇襲を受けてみろ、すぐに浮き足立ち陣は崩壊するぞ。

 そうなれば人口100万のザイカル州が赤軍のものになるのだ」

「はっ、申し訳ありません」


情報将校への指導がひと通り終わった頃、通信兵が慌しく入室してきた。


「失礼します。

 106小隊から入電、敵航空隊を発見。援軍を求む、以上です」

「よし、すぐに待機中の中隊を増援に出してやれ。

 それで敵の航空隊はどの辺りだ」

「湖の南10kmです」」

「ならば、敵の攻撃も近いかも知れんな。

 至急、全部隊に臨戦態勢をとらせろ、あと陣の50km前方に歩兵斥候をだせ」

「はっ」

そういって通信兵は足早に部屋を出て行った。


少し時間を遡ると、106小隊は割り当てられた偵察区域を飛行していた。

「おい、イワン。

 血に餓えた熊を見つけたか?」

「いや、あいつら俺達を疲れさせるために進撃したふりでもしてるんじゃねーか?」

「そうだったとしたら、俺達はなんのために飛んでいるんだか……。

 それにしてもこの新型はいいな。ほんの少しの改修だって言っていたけど

 会話ができるんだからすげえよ」

「だよな!

 今までは手ぶりとか信号弾だったからな、あれじゃ新兵なんて見逃すぜ」


「おいイワン、イゴール、私語はつつしめ!

 ……それとお客さん達が来たようだぞ、本隊に連絡はしたが敵機が下方1時方向に見える。

 さてお望みの航空戦だ、隊列を絶対に崩さずについてこい」


そう言って、チェーホフ率いるRF-1の編隊3機はI-15、I-16の編隊20機に荒鷲の如く上方から襲いかかった。

I-15はソビエト製の複葉戦闘機でソビエト軍にとってはまだ新型の戦闘機であった。


RF-1が通りすぎた後、I-15、I-16の編隊から数機がきりもみしながら落ちて行った。

ここにいたって、ソビエト側の航空隊は敵襲を悟ったが連度不足のせいだろう、

RF-1の痛撃を避けるためにそれぞれが勝手に動き始めていた。


「おい、イワン遅れているぞ。

 一撃離脱に徹しろ、この数だと格闘戦は無理だ」

隊列の先頭で機銃の雨を降らせながら、チェーホフは部下を叱咤した。


「はっ」

イワンからの通信が届くが、それを耳にしている余裕はチェーホフにもなかった。

奇襲ということもあって敵も慌てているが、冷静になれば数ではかなり劣勢だ。

(いつもの偵察任務と同じように突撃したのは間違いだっただろうか?)


そんな事を考えていると、通信機からよく聞きなれた声が聞こえはじめた。

「おい、チェーコフ。

 お前らばっかりいい格好するんじゃねえよ!

 お前たち、まだ獲物はあるからあいつらから奪い取れ!!」


中隊長であるゲランが貴下の部隊を連れてきてくれたのだった。

その事に気がつくと既に敵の編隊に第二の猛禽の群れが突入していた。


この航空戦闘での双方の被害は、ソビエト側全機喪失、ロシア側2機中破というものだったが

双方における戦訓を得るということでは十分であった。


RF-1の防御用装甲板についてはパイロットや整備士からも重いなどの理由から疑問視され続けていたが、

ロシア側の戦闘機が実際に被弾し、もし装甲板がなかったらパイロットも機体も基地に戻れなかっただろうと

被害報告書がまとめられると、その一点だけでもその装備の重要性が認識され、

兵士の上層部に対しての評価も上がるのだがそれはもう少しあとの事になる。


初の本格的な航空戦から遅れること半日、ウランウベの郊外ではグリゴリー・セミョーノフ率いる

第3師団が敵軍を待ち構えていた。

その内訳は、3個戦車連隊、3個砲兵連体、3個歩兵連隊、1個工兵大隊からなる陸上戦部隊であり、

これに航空3個連隊を合わせて師団としていた。


「閣下、敵が我が方の50kmまで接近してきました。

 編成はFT型戦車200両、その他歩兵およそ8個連隊との事です」


「なんだと!

 後方の第8師団を呼び戻せ、それと航空隊に全力支援させるんだ」

「はっ」

慌しく飛び交う指示が出ると共に、通信兵が通信をするカタカタという音と情報将校らの怒号が

基地内をさらに混沌へと向かわせていった。


そして遂にグリゴリー・セミョーノフから戦闘開始の命令が下された。


敵の正面にいる戦車の中では敵の散発的な銃弾を浴びながらボンゴ少佐以下命令を待っていた。

「ボンゴ少佐、我々はまだ撃ってはいけないんですか?

 あいつらもう撃ってきてますよ」


「いや、たった今命令が出た。

 撤甲弾装填!!」


「装填完了」


「うてぇ!!」


「戦車隊、前進」


最初の先頭はお互いにお互いの力量を図る為のものとなった。

この時のソビエト側の戦車軍団はルノーFTと人が所狭しと並んでいたのだが

ロシア側の前衛を務めるRMT-1が砲撃を加えると、ルノーFTからは火を吹かず

その後方にいた歩兵の周囲で爆発が起こっていた。


「少佐、これはひょっとして」

「ああ、おそらく俺らが練習用に使っていた装甲板のあれと同じだろうな……薄すぎるんだ」

「イサーク、砲兵隊と本隊にこの事を連絡してやってくれ

 それと、榴弾に切り替える」

「「了解しました」」


ロシア側の戦車兵はすぐに原因を敵戦車の装甲が薄すぎるためだとして、砲弾を榴弾に切り替えて砲撃を行うと同時に

後方の砲兵科にもそのように連絡を入れた。

ソビエト側は悲惨なありさまで、頼りの戦車が敵の弾よけにもならないことがわかり

兵士が浮足立ち、それを政治将校が脅して敵に突撃させるというなんともいえない混乱に陥ってしまった。


だが、その混乱が意外な展開を生むことになった。

敵の戦車と兵士のあまりの多さにいくらRMT-1から砲撃を行っても、敵の前進がとまらず遂には塹壕戦となっていた。


「何なんだこいつらは!」

「次弾装填完了」

「うてぇ!」


ボンゴの戦車から撃ちだされた砲弾は敵戦車に命中し周辺の敵歩兵も道連れに激しく爆発した。

だがそれでも敵の進軍は止まらず、徐々にボンゴたちの戦車へと近づき機銃で排除しなければ

ならない距離まで接近を許してしまっていた。


「おい、イサーク。

 本隊に連絡して、敵の戦車隊が止まらないと伝えるんだ」

「了解」


「少佐、下がりましょう!

 敵歩兵が目の前まで来ています」


「駄目だ。ここで我々が下がれば敵戦車を入れることになる。

 機銃掃射でなんとしても敵歩兵を止めろ」


「イサーク、歩兵隊に支援要請をしろ!

 このままでは長く持たないと伝えるんだ!!」


「ひぃ……ぐぇ」


「あ、こら吐くな!

 ……どけ俺が変わる」

余りにも近くで敵兵が死んでいく様子を機銃で見続けた兵士に代わって、ボンゴ自身が機銃を操作し

敵兵を撃ち殺していく。


「少佐、本隊から上空支援が始まるので一時後退をするようにとの事です」


「わかった、後退する。味方歩兵を轢かないように注意しろ」

「無茶いわないでください、後退を開始します」


操縦士からの泣き言など気にせずに戦車隊は徐々に後退を始めると、打ち合わせていたかのように

空からRF-1とRS-1の群れが敵軍に襲い掛かった。


編隊を組んだRS-1から投下された50kg爆弾は、落下すると複数の敵戦車と歩兵をなぎ倒し。

RF-1からの機銃掃射で大多数の歩兵や戦車がその動きを止め倒れていった。


「少佐、本隊からの命令です。

 航空隊の攻撃終了と同時に戦車隊、歩兵戦車と共同で迂回し敵後方を蹂躙せよ。

 以上です」

「わかった。

 弾と燃料はまだあるのか?」

「充分とはいえませんが、なんとか」

「少佐、出撃指示が来ました」

「わかった、出るぞ」


そのやり取りは同じ頃すべての戦車隊の中で同じように行われ、最大速度で突進を開始したRMT-1は

敵の残存戦車を蹴散らしつつ迂回し、敵後方にいた政治将校達を含めた部隊が全滅するまで

辺りに砲弾の雨を降らせ続けた。



この戦闘からロシア側は当初の予想より多くの歩兵と砲兵そして戦車を失い。

その後も、ソビエトの戦闘のやり方に恐怖を覚えた将兵が続出し今後の対ソビエト戦について改めて考えさせられる事となった。





バイカル湖攻防戦が行われていた同時刻、アムール州を防衛する第2軍団最大の拠点オクレマ基地でも動きが慌しくなっていた。

「偵察機からの連絡はまだ来ないのか?」

いらだたしげに確認を取るのは、第2軍団の総指揮をとるトゥハチェフスキー将軍だったが、

その周辺には情報将校や各兵科の指揮官が集まって事の次第を見守っていた。


「はい、残念ながら偵察に出た斥候からの連絡もまだありません」


「うーむ。

 定時連絡もないとなると、撃墜された可能性は否定できないか」

「残念ながら」


「我が方の位置はすでに敵に知られている以上、あまり時間も掛けられんな。

 情報将校、すまないが後方の第1軍団に現状報告してくれ。

 あと30分待って敵が発見できない場合は、偵察の為に戦車隊を前線に押し出す」


「了解しました」


そういって情報将校が部屋を出ようとしたとき、扉が開き連絡兵が部屋に入ってきた。

「あ、申し訳ありません」

「かまわん、どうかしたのか?」


「はい、偵察機から敵発見の報告が入りました。

 敵は、ミールヌイ方面から我が方の50km先まで既に接近しています。

 それと、航空機の大編隊が接近中との通信が別で入っていますが、通信がすぐに切れた為位置は不明です」


「そのことは、軍本部に伝えたか?」

情報将校は、確かめるように若い通信兵に問いかけた。


「はい、指示通りすべての情報は本部にも通信しております」

「そうか、持ち場にもどりなさい」

「はっ、失礼します」

若い通信兵がそのまま、急ぎ足で部屋をあとにした。


「どういたしますか?」

「どうもこうもない、全航空隊を出撃させろ、各地上部隊は対空戦闘準備だ。

 それと、敵の陸上部隊が同時攻撃を仕掛けてくることが考えられる、戦車隊を前に出して応戦準備に掛かれ」


「「「「はっ」」」」

トゥハチェフスキー将軍の号令が掛かると、ほかの指揮官達は雪崩のように部屋をでていった。


「長い1日になりそうだな」

最後にトゥハチェフスキーがそう呟いたのを聞いたのは、従兵だけだった。


敵の発見はぎりぎりのものだった、これを発見しそこなえば敵はゆうゆうと第2軍団へと攻撃を行い

奇襲を受けた第2軍団には継戦能力が残るか危ぶまれる所だった。


そして、後方の航空基地からは次々と制空戦闘機RF-1、攻撃機RS-1が大編隊を組んで出撃し

基地に残ったのは偵察から戻り補給を受けている機体と、基地防衛の為の制空戦闘機だけだった。


飛び立った航空隊はおよそ80機、その大半は制空戦闘機だったがRS-1も含まれており、

RS-1でもI-15、I-16の相手は可能だと判断され出撃していたのだった。


航空隊が、地上部隊の上空に差し掛かったとき敵の航空隊がゴマ粒のような大きさで見え始めていた。


「各制空隊、編隊を崩すな敵航空隊に突撃する。

 攻撃隊はここに残って撃ちもらしたやつらを防いでくれ」


そう204制空隊の隊長機から指示が出ると、各隊から了解したという声が無線を通して聞こえてきた。

ついで、隊長機が機首を上げて高度を稼ぐ為に上昇を始めると、RF-1で編成された制空隊50機余りが

綺麗に上昇をはじめ、残されたRS-1の30機は陸上部隊の上空で旋回を始めた。


ゴマ粒のようだったものが徐々に大きくなるにつれて、その機体が識別できるようになると

敵の数がおおよそではあるが、わかるようになった。


「隊長、これは多すぎませんか?」

「そうだな、とりあえず高度はこっちのほうが高い急降下で敵を捻り潰すぞ」

「了解」


敵の機種はあいかわらず、I-15、I-16だったがその数は100機を越えており、

機体には爆弾が吊り下げられていることが確認できていた。

そこに、50機のRF-1が急降下で突撃を開始した。


RF-1を迎撃しようと編隊を組みながら上昇した敵航空隊とすれ違うと、敵味方ともに多数の機体が落ちていった。

そんな戦闘機同士のが激しい空戦を繰り広げている中、いくらかの敵航空機はRS-1が待ち構える地上部隊へと接近していった。



「対空戦闘用意!」

そう、将校が大声を張り上げると設置されていた幾つもの対空砲が天を睨み、「まだかまだか」とその砲身から

砲弾を放つ時を待っていた。


「放てぇ」

その言葉を聞いたかのように、敵航空機が上空に差し掛かると待機していたRS-1が襲い掛かり投弾をさせまいと襲い掛かる。

また、地上からも幾つもの火線が放たれ敵に襲い掛かった。


敵航空隊も果敢に投弾を試みたが、その奮戦むなしく落ちていきついには全滅した。


この初戦に行われた航空戦での味方被害は、戦車1両大破、対空砲3基大破、航空機5機未帰還、16機中破といったものだった。

ともあれ敵航空隊の大半を退けた味方航空隊は、一路補給の為に基地へと帰還していき、入れ替わるように数機のRF-1が上空支援についた。



上空が片付き一息ついたところで、陸では再び緊迫した雰囲気になりつつあった。


「敵戦車接近、T27、T26の混成部隊です」

トゥハチェフスキーはその報告を聞き、ソビエトにいたときに見たそれら戦車を思い出していた。


「それで歩兵は?」


「斥候にだした部隊からは何の報告もありません」


「そうか、下がって持ち場に戻りたまえ」

敬礼を済ませた連絡兵は部屋をあとにした。


「どうおもう?」


トゥハチェフスキーから問われた情報将校は渋面をつくり、自らの考えを口に出した。


「敵もこちらに戦車があることは承知の上でしょう。

 だからこそ、初戦で航空機による攻撃を行ったのでしょうが、それが失敗した以上敵も戦車を投入した戦闘を覚悟したのではないでしょうか?」


「そうだな、だが歩兵がいないと言うのはどういうことだろうか?

 わしならば戦車が敵陣に切り込んだ後に、歩兵を投入し戦車部隊が開けた穴を保持させるが……」


「敵の意図は分かりませんが、戦車が向かってきていることは事実ですので対応をすぐに行う必要があります。

 それに、敵の奇襲を警戒するのであれば斥候を増やしてみるのはいかがでしょうか?」


「そうだな、第2機甲師団を敵進行方向に展開させ敵戦車を駆逐させよう。

 それと、第7師団には念のため周辺警戒をさせてくれ。

 ……ああ、航空隊にも再出撃を指示してくれ」


「了解しました」

そう言って、情報将校が部屋をでるとトゥハチェフスキーは駒の置かれた地図を眺めて溜息をついた。



第2師団では指示を受けて慌しく兵士達が動き回っていたが、しばらくすると重々しい音と共に防御陣地化した基地を離れ

敵の戦車部隊を迎撃する為に出撃していった。


この師団の戦車は他の師団同様に3個連隊、108両が配備されておりその主力はRMT-1であるが、その他にも歩兵戦車と

分類されているRPV-1や多数のトラックが配備されており本格的な機甲師団としての様相を呈していた。


そんな第2師団が戦地に到着したのは、昼をまわり日が傾きかけた時間だった。


どちらとも無く戦闘は始まり、楔型陣形で敵に突入しようとした第2師団の201、202、203戦車連隊は、

敵のT26から放たれた砲弾によって幾つかのRMT-1がその正面装甲を破られ撃破されてしまった。


各連隊からも攻撃を行い敵のT26がブリキのように吹き飛んでいくが、浮き足立ってしまい効果的に敵を駆逐できないでいた。


また、T27はRMT-1に果敢に挑みキャタピラを切り各坐させると、次の車両を攻撃するという連携さえもみせていた。

それらは、RPV-1によって徐々に駆逐されていったが徐々に第2師団の戦車部隊は追い込まれていった。


航空隊の方でも思いがけない事態になっていた。

護衛を勤める制空戦闘機をつけずに出撃した20機のRS-1は、戦闘区域に向かう途中で敵航空隊と遭遇し対空戦闘に入っていたのだった。

当然ながら、機体から爆弾はその場で投下し、離脱を試みているのだがなかなか振り切れないでいた。


制空戦闘機をつけなかったことには、様々な理由があるのだが100機を超える航空隊を撃破したあとでもあり

油断が生んだ結果でもあった。


航空隊の支援が得られないまま、第2師団は数にものを言わせる形で敵を追い込んでいった。

敵が後退をはじめそれを追撃しようとした時、味方後方から見慣れない戦車が襲い掛かってきた。


それらの正体は後に判明するのだが、ドイツ製1号戦車と2号戦車だった。


正体不明の戦車部隊は、第2師団の後方をかく乱するだけすると快速を生かして逃げさってしまった。

あとに残ったのは、踏み潰された司令部と残骸となったトラックや補給物資の山だった。


生き残った、最上位士官が第2軍団に連絡を取り状況を説明すると第9師団の一部部隊が夜半になって到着し、

機密となっている戦車の回収や爆破などが行われ基地に帰還することになった。


ここに、第2軍団の誇る機甲師団は機能停止状態になり、残された運用可能な師団は歩兵を中心とした第9師団と航空部隊だけとなった。

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