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EVERY STEP  作者: awa
48/68

SCENE 47 * JENNIE * With Jack

 リビングから自室へと戻ったジェニーは、呆然としたまま、明かりもつけずにソファに腰をおろした。

 パパとライアンのお父さんが知り合い。

 マイキーも知り合い。

 パパたちの会社がライアンの家のガレージを建てる。

 なんだか、話が唐突すぎてよくわからない。

 レナになんて言えばいいの?

 ジャックになんて言えばいいの?

 二人はきっと、いい気はしないだろう。

 これはいやがること?

 立場が逆だったら?

 レナとジャックの家族が知り合いなら──すごいと思う。世間は狭いのだと。けれど、レナやジャックは──。

 テーブルの上で携帯電話が鳴り、ジェニーははっとした。ジャックから電話だ。少々戸惑う気持ちがあったが、応じないわけにはいかない。声も聞きたい。そう思い、電話に出た。

 「はい」

 「今大丈夫?」

 彼はライアンから聞いたかしらと思いながら、彼女はソファに背をあずけた。

 「ええ。おかえりなさい」

 「君にそう言われるの、すごく嬉しい」

 ジャックの声は、とても好きだ。大好きだ。聞いていると落ち着く。安心する。「本当は、直接言いたい」すごい本音が。

 「──うん。直接言われたい。玄関で」

 ドキドキする。「ええ。あなたがベルを鳴らして、私がドアを開ける。“おかえりなさい”って言うの」会いたい。

 「うん。抱きしめる。十分くらいは離れられない気がする」

 ジェニーは笑った。「そうね。リビング? とかに戻る時間ももったいないかもしれない。あなたに抱きしめられると、離れたくなくなるの。ほんとに」言わなければいけないと、わかっているのに。

 「それは、僕も同じ。毎日、夜が長い。十数時間が待ちきれない」

 「ほんとに──ウェルス・パディよりは近いんだけど、それでもやっぱり遠い気がする。バスで五分の距離すら長く感じる」

 そうは言っても、自分たちはまだ近いほうだ。マリーとギャヴィンはもっと遠い。アニタとタイラーはそれ以上。

 「うん」ジャックは静かに答えた。「早く大人になりたい。そしたら一緒に住める。休みの日はずっと一緒にいられる」

 彼女の心臓が揺れた。嬉しい。「そうね。だけど仕事に行くのもイヤになるわ、きっと」

 彼が笑う。「それは言えてる。毎朝泣く泣く出勤だ。ダメ人間になりそう」

 彼女も笑った。「どうすればいいのかな。離れてたくなくて一緒に住むのに、一緒に住んでもやっぱり離れたくなくて、ダメな人になっちゃうの」

 「自宅でできる仕事がもっとあればいいんだけどね。でも君はどっちかっていうと外で活動するタイプだよね」

 「どうかしら」一応の目標はある。でもまだ言えない。「私は外も中も好きなの。一日中家にいることだってできるし、一日中外で遊ぶこともできる」

 「あ、そうか。図書館も好きだもんね。ああ、仕事してる時の君の顔も見てみたいな」

 「仕事に支障が出るからダメ。クビになっちゃう」

 「だよね。三ヶ月以上経つのに、毎日気持ちが大きくなるばっかり。どうなるのかわかんない。ちょっと怖い」

 それは、ジェニーも一緒だった。「私も。でもイヤじゃない。確かに怖いけど、嬉しくもある。あなたはいつも同じように感じてくれてる。それがわかるたびにすごく嬉しくなるの」

 「僕も。──ライアンのこと、聞いた?」

 心臓が締めつけられる思いがし、一瞬、唇を固くむすんだ。やはり知っていた。

 「──ええ。パパと彼のお父さんが知り合いで、ガレージを建てるって。しかもウィリアムも手伝うわ。ウィルが大晦日にライアンに会ったって言ったら、パパがじゃあ手伝ってみるかって。ウィルは私のこと気遣って悩んだみたいだけど、私が行ってって言ったの。ウィルはパパたちの会社に入ろうとしてるから」

 「そっか。できたら君も見に行く?」

 「まさか」

 「興味ない? お兄さんがはじめて手伝う仕事って」

 「見ても私、今は建築のことなんてぜんぜんわからないもの。写真なら見せてもらえるし──それにウィルが話してくれる気がする。しかも毎日」

 ジャックが笑う。「そう。レナには話した?」

 「ううん。私は話を聞いたばかりだったし──すぐにでも言うべきだったのかもしれないけど、あなたやレナがどう思うかがわからなくて、なんだか──」

 ジェニーは言葉を続けられなかった。意外で、驚きはあったものの、悪いことではない。むしろ嬉しい。けれどその嬉しさを、変にとられてしまうと──。

 「うん。正直ライアンから聞いて、ちょっとへこんだ。意外なところで接点があったから。でも考えたら、君のほうがもっと複雑なんだよね」

 「そう。複雑」ジャックやレナのをことを考えれば、素直に喜べない。

 「ごめん。なんか気遣わせて。でももう大丈夫だから。少なくともこっちは」

 「私こそごめんなさい」左手でうつむく頭を抱え、目を閉じた。泣きそうだ。「話を聞いて、すぐにあなたに電話すればよかったのかもしれないけど、電話もらってからもそうだけど、どう言えばいいのかわからなかったの。なんだか──」

 ジェニーは、ジャックの気持ちがない相手には嫉妬しない。なので仮にジャックとレナの親が知り合いだとしても、きっと妬いたりはしない。やはりすごいと思うだろう。けれど──。

 ジャックが切りだす。「──ジェニー。五分でいい。家、出られない?」

 彼女は目を開き、顔を上げた。

 「十五分じゃだめ?」胸が苦しい。「コンビニに行くって言えば、十五分くらいは大丈夫」会いたい。

 「じゃあ十五分。離れたくなくなるだろうけど、それよりも会いたい」

 「私も会いたい」

 「近くまで行ったら電話する」

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