7話 親愛
和風の食事屋だった。
その店内の一角に、木製のテーブルを挟んで向かい合う一組の男女。
男の方は朝霧 潤也、黒髪黒目の少年である。
潤也より年上である女性の方は瑞葉、ウェーブの掛かった茶髪が印象的な潤也の姉貴分だ。
テーブルの上には刺身を中心とし、味噌汁、ご飯、漬物と言ったこの店定番のメニューが二人分並んでいる。
「ふっふっふ、この程度の食事代くらい私が奢ってあげよう。なんなら敬っても構わないよ?」
「さすが大学生、経済力が違うね。素直にありがとう瑞姉!」
「なんなら寮を抜けて家に戻っても構わないんだよー?」
「やっぱり割り勘で良いや」
「そんなに寮から離れたくないの!?」
潤也は苦笑い一つを溢し、刺身を食べる。
口内の身を噛み締める程に増す味わいに頬が緩んだ。
「うん、美味しい」
「だよね、このお店の刺身定食は最高だよってそんな感想は求めてない。家に戻って来ないかと聞いている!」
「ごめん他を当たって」
「他に兄弟いないよ!?」
「そもそも瑞姉 兄弟いないよ」
潤也は瑞葉の弟分ではあっても弟ではない。
戸籍上も血縁上も姉弟と言う枠組みにはなっていない。なんて馬鹿なことを考えながら潤也はお茶を啜った。
姉弟じゃないと表面上で常に意地を張って来た。
何のために、と言われるともうよくわからない。
当時 両親が死んだ潤也は親戚に引き取られた。
そのよく知らない人達が、家族と言う特別な枠組みに入るという事実を受け入れられなかった。
これはその頃の名残、惰性で続けられた遣り取りだ。
コトリ、とお茶を置く。
馬鹿らしい、まず初めに出た感想がそれだった。
何故惰性でこの遣り取りが続けられたのか。その根幹にある、ただ親しい人の死に目に会いたくないと言う想い。それすら気づかず意固地になっているこの潤也は酷く滑稽だった。
夢として二人を眺める第三者、サイカはそう思った。
「さすがだよ潤也、ここまで弟と認めないとはね。この店の刺身定食でも陥落しないなんて予想外だった。これじゃどんな食事なら陥落するのか……懐が寂しくなりそうで今から涙出そう」
「ねぇ瑞姉、餌付け前提で話を進めるのやめよう? 複雑な気分になるから」
「だったらどうしたら潤也を弟と認めさせられるってのよ!」
「少なくとも餌付けじゃ無理だと思うよ」
「とか言いつつ刺身定食を食べてるよね美味しそうに!」
「本当に美味しいよねー。ご馳走様です」
騒がしく会話しながら二人は食事していた。
それを夢と知覚して眺めるサイカは、もう手の届かない光景に一抹の寂しさを憶える。
少し掛け違っていればきっと潤也は瑞葉と姉弟になれた。
元からかなり近しい姉貴分と弟分の関係だったのだから、本当の姉弟同然になるくらい出来た筈なのだ。
お世話になった親戚の人達とも、潤也がもう少し近づこうとしただけで家族に成れただろう。
自覚したから、この記憶は大事に取っておくことにした。
サイカと言う人間は残念ながらもう朝霧 潤也ではない。少なくとも肉体の在り処は決定的に別人だ。
だからあの光景にはもう届かない。サイカの家族が居る以上、あの光景に届かせてはいけない。
未練を自覚し、断ち切った。
家族と呼べるまでにはなってなかったから、断ち切れた。
無意識に心引かれていた、家族になれたかもしれない人達のこと。彼女らをサイカは、この時ようやく思い出にする。
それが良い事だったのかは、わからない。
気が付いた時には、既にサイカは自室のベッドの上にいた。
瑞葉が出て来たあの夢、幸いにも走馬灯の類ではなかったらしい。
まず目が覚めたことに安堵する。
生きている。
若干の気怠さはあるが、体調もおおむね良好だ。
むしろあれだけの怪我が何故か完治していることに疑問を抱くくらいだ。
「お兄ちゃん!」
いきなり横合いから抱きついてくる金髪碧眼の少女。妹のユリスだった。
そして母親のアーシェもベッドの近くで心配そうにサイカを見つめていた。
「お兄ちゃんのバカ! またあたしの知らない所で危ないことしたんだよね! そんなことしちゃダメ!」
「えと、ごめんなさい……?」
別に好きで危ないことしていた訳ではないが、ユリスの勢いに押され反射的に謝っていた。
「今度あたしに内緒で危ないことしたら叩くからね!」
「う、うん、肝に命じとく」
今回の様に危ないことが向こうから来た場合にも叩かれるのだろうか。あとユリスも危ないことしたらダメだと思う。
そんな事を思いながらも、ユリスの剣幕に気圧されて素直に返答する。
なんとなく初めて会った時のことを思い出した。
それにしても今回はユリスも巻き込まれていた筈だが。
「ところでユリスは大丈夫だった?」
「どこにも怪我はないよ。でも酷いよね、あのシアフィールってお姉さん。あたしを気絶させるし、お兄ちゃん山に連れて行くし。相手はヘルハウンドだったんでしょ? そんな危険な魔物の所にお兄ちゃんを連れてくなって感じだよ!」
憤慨するユリスに「でも最後には助けてくれたよ」となんとか宥めようと試みる。
実際シアが居なければサイカはほぼ死んでいた。
何故かは知らないが、ヘルハウンドはサイカに狙いを定めていた。だからもしシアがヘルハウンドの居た山に連れて行かなければこの街が襲われていた可能性がある。だからシアに対する不信感を完全に拭うことは出来なくても、感謝の念は確かにあった。
「ねぇサイカ、どこか体に痛い所はない?」
アーシェの問いに、サイカは確認のため体を僅かに動かす。
「大丈夫そうだね」
「そう、良かった。何か不調が出たらすぐ私に言うのよ?」
「わかった。けど俺って酷い怪我してたと思うけど、どうやって治したの? 母さんの治癒術じゃ完治は出来ない怪我だったよね?」
治癒を専門としていないアーシェが施せる治癒術は高が知れている。
傷の部分的な修復。止血と増血。新陳代謝を促進して怪我の治りを速くする。大まかにはこの三つだ。
アーシェくらいの治癒術の腕では、一日二日で重傷者を完治させることは出来ない。それが出来るのは王宮お抱えの高位治癒魔術師くらいであろう。
「シアフィールの話では、突然幾つもの魔法陣がサイカを包み、体を治していったそうよ」
「……それはつまり、実はシアフィールみたいな固有能力が俺にもあったとか?」
「ではないみたいね」
少し期待したサイカだが、やはりそういう才能には恵まれないらしい。
元より魔法陣が浮かんだ以上は魔術関連である。固有能力が関係する余地がないとは言わないが可能性は低い。
超長距離からの治癒術と言う真実も、本来なら同レベルに低い可能性の筈だが。
「じゃあ俺の体が完治してる理由はわからないんだ」
「そうなるけど、私が視た限りじゃサイカの体は健康よ。実際にサイカも体に変調は感じられないのよね」
「そうだね、体調は特に問題ないよ。答えも出なさそうだし、悩むだけ無駄なのかな」
心配させないよう表面上は取り繕ったが、それでもサイカは考えてしまう。
道化の遺産、とアドリスやシアはそう呼んだ。
その道化と言う誰かが、何らかの方法でサイカの体を治した。或いはサイカの体に元から仕込みをしていた。その可能性は在り得るとサイカは思う。
少なくとも潤也の人格と、体術の技量を埋め込んだのはその道化だろう。現代科学でも無理だろうことをやってのける道化とやらなら、何をやらかしても不思議じゃない。
自分の体が信じられない。
朝霧 潤也の体ではないのはもう良い。だがサイカの体ですらないかもしれないのは怖い。道化の実験体かもと考えると不信感しか湧かない。
そしてよく考えれば、アーシェやユリスに道化の遺産とバレている可能性に思い至った。
仮にバレてなくても、知られれば彼女らの親愛が憎悪に変わりそうで怖くなる。
サイカの中身が潤也であるとバレれば親愛が憎悪に変わる。それには気付いていたし、勘付かれないよう気を付けてもいた。
だがサイカが道化の遺産だと知っている者は一人じゃない。気を付けるにも限界があると思う。
サイカが道化の遺産とバレているのか。
気になってもサイカ自身からは触れられなかった。
それが原因でバレてしまったら元も子もないのだから。
「お兄ちゃん、大丈夫? なんか苦しそうだよ」
ユリスは心底から心配そうな顔をしている。アーシェも同様だ。
そんな彼女らを騙していることに感じるのはいつも通りの浅ましさ。
それでも此処に居続けたいと、そう願ってしまう。
家族と言うのは、サイカにとってとても居心地の良い枠組みなのだ。
「少し考え事してたから表情が硬くなってただけだよ。心配してくれてありがとね」
ユリスの頭を優しく撫でる。
妹はくすぐったそうに笑った。
結局あの後で道化の遺産に関しての話は出て来なかった。
どころかサイカ誘拐の話自体知らないようだった。目撃者もいなければユリスもほとんど記憶がない状態なのだから当然かもしれない。
それはともかく、夢玉の入った未開封の紙袋を片手に孤児院を尋ねる。
現在サイカは孤児院の裏庭、シアがよく武闘をしていたあの場所に足を進めていた。
以前イグルに教えて貰ったシアの部屋に行ったが留守だったためだ。
紆余曲折あったがようやく夢玉を返す時が来たようだ。
これでようやく心安らかになれると思うと心が軽くなる。同時にシアと会いに行くのに心が重くなる。
一度は敵対した仲だ。ヘルハウンドが暴走していた時は共闘したとはいえ、また襲われるのではと言う思いは拭い切れない。
もっと警戒するべきかとも思う。
敵対していたからと言うのは勿論、日常生活でも何気に会う度に殴りかかられている。サイカの体が全自動で躱してくれたため当った試しはないが、警戒して損はないだろう。
日常的に殴られるのを警戒する、そこはかとなく複雑な気分だった。
大きく息を吐き出す。
シアに対しての不信感を完全には拭い去ることが出来ない。
けれどヘルハウンドの時には助けて貰った。
そもそもヘルハウンドを倒した後にサイカは意識を失っている。誘拐するのは容易いだろう状況で、それをせず彼女は家まで届けてくれたのだ。
うん、と一つ頷いた。これで何かされた時は仕方がない。
少なくとも自分の身一つの事柄に置いては、そう納得できる。
それにあまり物騒な考えに傾倒するのも嫌だ。彼女とは普通に接する事が出来ればそれで良いのだ。
普段通り、なんて言えるほど付き合いが長い訳じゃない。
だから有体に言って、友達になりたいと、そう思ったんだろう。
そして丁度 裏庭に着いた。
いつかの時と同様に、シアが馬鹿らしい力強さの武闘を舞っていた。拳を振るえば鈍い風切り音が鳴り、蹴りを放てば空気が震える。
ただいつもよりムラがある様にも感じた。前はもう少し機械的な正確さがあったように思うが、今の方が良くも悪くも感情が乗っている。
サイカは武道の知識に疎い。だが感覚がそう伝えてくるのだ。
「シア」
彼女を呼ぶと、シアは武闘を止めた。
シアの目が声の主へと向く。表情が僅かに硬くなる。
「サイカ、か。何か用でもあった?」
「まぁそうだね。差し当たってはこれ」
夢玉入りの紙袋を指し示しながらシアの方へ歩み寄る。
その様子にシアは眉根を寄せた。
「何それ」
「何それって、夢玉だよ。この前 魔法具専門店で買って、俺に預けて行ったよね」
「あの時のね、でも私は確かサイカにあげてなかった?」
「こんな高価な魔法具、恐れ多くて使えない」
「……そう?」
「うん、シアの金銭感覚は狂ってると思うよ」
「狂ってない失礼な、ただ金が有り余ってただけ!」
それでも無駄な散財はどうかと思う。だが個人の自由なので口には出さなかった。
それに夢玉に興味がないと言えば嘘になる。早く夢玉を返してシアにその効能を聞きたいと言う思惑もサイカにはあったくらいだ。
という訳でシアに夢玉入りの紙袋を手渡す。それを素直に受け取ったシアは、半眼でサイカを見つめた。
「こんな魔法具の事より、サイカには先に聞きたいことがあるんじゃないの?」
空気が僅かに重くなる。
確かに、サイカがシアに問い質したい事柄は多い。
誘拐しようとした詳細。アドリスとの関係。シアの過去。他にも色々と疑問はある。
だが同時に根掘り葉掘り聞く気もなかった。聞かれたくない事柄もありそうだし、だからサイカは簡潔に、必要なことのみを聞くべく口を開く。
「俺を誘拐する予定は?」
「特になし」
「ならもういいや」
その対応にシアが固まった。
頭に手を当てる。大きく息を吸って、吐きだした。
「待って、ちょっと待った。聞きたいことそれだけとかないでしょ、てか私の言葉なんて簡単に信じちゃダメでしょ、あと所詮は予定なんだから変わることもあるかもしれないでしょうが!」
そしていきなり剣幕になった。
「あ、あぁうん、そうだね……? というか、なんかシア性格が変わって……」
「そんなことどうでもいい! どうして誘拐しようとしたとか、道化の遺産に関して良く聞かせろとか、そもそもなんで私がまだ孤児院にいるとか質問すること一杯あるよね!?」
「え、孤児院から出るのか」
驚きながらも寂しそうにそんなことをのたまうサイカを見て、シアは苦虫を噛み潰したような表情になる。
訳がわからない、そんな心境だ。
「サイカはこの孤児院とは親類同然。そんな場所に、私みたいにサイカを誘拐しようとした人間がいると心休まらないんじゃないの?」
シアの言葉にピクリと反応する。
その言葉は間違っていない。
サイカは未だにシアに対して不信感を拭い切れていない。
「私がまだここに居るのはサイカの疑問に答えようと思ってね。被害者のサイカにはその権利があるだろうし。もちろん全部は無理だけどね。ある程度なら答えるよ」
そう言って締め括り、シアは柔らかい微笑みを浮かべた。
「それ以前に、俺を理由に孤児院出るのはやめて欲しい」
そしてサイカの言葉でピシリ、とまた固まった。
そんなシアの反応はなんか新鮮である。もっと動じない性格を想像していたが、今日のシアは思ったより表情豊かだ。
あと予想以上に人が良さそうと言うのも意外だった。
「訳わかんない……あんた私と居て怖いとか思わない訳?」
「えと、正直いつ殴られるかと言う恐怖は少し」
「なんの恐怖よそれは!」
「俺達が会うとシアって最低一回は殴りかかってくるから」
「えぇ? そんなこと…………」
シアが考え始めて数秒、シアの表情が徐々に芳しくなくなっていく。
殴りかかった事実は確固としているので仕方ない。
「ってそんなこと議論したいんじゃなく! 誘拐犯がここにいるのに、なんとも思わないのかって聞いてんの!」
「あ、逃げた」
「逃げてない!」
その言に笑いながら受け流していると、むっとした表情になった。
少しやり過ぎたらしい。ふぅ、と僅かに息を吐いて頭を冷やす。
「確かに思う所がない訳じゃないけどさ。最終的にシアは俺を助けてくれた。ならそれで良いって納得したからさ」
それにせっかく誘拐事件が有耶無耶になったのだ。
ヘルハウンドの来襲により誘拐所じゃなくなった。そもそもユリスはいの一番に洗脳され記憶がない。あの誘拐事件を知っている者など実質サイカとシアとアドリスしかいないのだ。
アドリスが何処に行ったかなどサイカはわからない。だが自分の罪をわざわざ表沙汰にすることはない筈だ。せっかく表沙汰になっていないのだから、わざわざ掘り返すこともないだろう。
「ただ俺が道化の遺産だってことはあまり言触らさないで欲しいかな」
「別にそれくらいは良いけど」
良かった、と安堵の息を吐く。
未だに秘密を曝け出してサイカの家族と向き合う勇気は、今のサイカにはない。
いつかは否応なしにバレることかもしれない。それでも先延ばしにしたいと、サイカは思ってしまうのだ。
そんなことをサイカが考えている間に、シアは呆れ顔を浮かべていた。
「サイカはお人好しだね」
「……いやシアには絶対に敗けると思う」
By Exitra Stage
日が落ち暗く人通りの無い路上で、黒い人影がゆらりと立ち上がる。
赤黒い髪をした三十後半程度の男性。サイカの抜き手を受け、殺された筈のアドリスであった。
酷く疲れた表情をしているが、アドリスは健在そのものだ。どころか血で濡れた痕跡さえない。まるで致傷を受けた事実などなかったと言わんばかりに。
右手中指に収まる黒い指輪をアドリスは見る。黒いモヤが滲み出ていた。
「やはりそう簡単には死なせてくれんか……まぁ解っていたことだが」
掌を握り込んで自嘲する。
この黒い指輪と関わったことを後悔している。だが悲しいかな、もはや取り返しが付かない。それほど神の祝福は絶大だ。生死の垣根すら単なる状態変化と嘲笑う。
人の思想などお構いなしに、いっそ軽率な程に奇跡と呼べる事象を成してしまう。
何より最悪なのは、この世界内在の神霊はまだ及びの付く領域の筈だったこと。少なくとも全能や不条理とは程遠い。それほどの神はもはや現存していない。
外世界より飛来したとされる邪神。200年前の激動の時代、ただ一柱の戯れで世界は滅びかけた。その邪神の残骸が、この黒い指輪だとされている。
考えるのも億劫になり、アドリスは邪神についての思考を放棄する。
こんな出口のない事柄に頭を悩ませるより先に考えなければならないことがあった。
(さしあたっての問題は、軒並み魔術が初期化されてしまったことか。やれやれ、久しぶりの死だけあって今回の損失は大きいな)
中でも惜しいのがシアフィールを縛る魔術と、ついでに精神安定の魔術の重ねがけ分か。せっかく再会して手駒が増えた、その矢先に首輪が外れるとは思わなかった。
彼女はメズラドル国に悪印象を抱いているだろう。それだけ国の暗い部分を見られ過ぎた。正気に戻ったならば今更 引っ張り込むのは骨が折れると推測される。
それに伴い道化の遺産であるサイカも入手が困難になった。
一度の襲撃で警戒される筈だ。それにアドリスはシアフィールに恨まれているだろうし、一方のサイカとは多少の交友があった様だ。彼女が敵に回る要素はそれなりに在る。
道化の遺産は諦めることに決めた。
持って帰れたらメズラドル国に恩を売れるだろうが、無ければ無いで特別困ることはない。
過ぎた強欲は身を滅ぼす。
手を出さない方が良いモノに手を出さないのが賢い生き方だ。
(賢い生き方なんぞ、今更 手遅れだがな)
黒いモヤは途絶えていたが、夜の暗さに一層染まる指輪を眺めた。
この黒い指輪は彼の邪神の名前を取ってこう呼ばれている。
ナイアルラトホテップ、と。
一章完結! ようやくプロローグ的なお話が終わりました。
それにしてもシアのキャラ崩壊具合がなんとも。元から予定していたことではありますが、書いててこれ大丈夫なんだろうかと心配になりました。
そしてクトゥルフ神話が混入。ここまで長かったです。
クトゥルフ神話なら異世界まで来ててもおかしくないと作者は思ってしまうのですよね。