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第三話 前哨戦

戦闘描写って難しい…。

第三話 前哨戦


 戦闘直前で世界はコマ送りに変わった。

 体内のモードは戦闘用に切り替わる。


 現われた魔獣は全部で三体。

戦闘は、宣言通りに控えて一切動かないシュウを背後に始まった。

 ただ一言に魔獣と言っても色々な種類がいる。邪気を受けた動物の種類によってタイプも違うという。

 三体の内、二体は野犬、一体は狐が魔獣化したものらしい。元が野犬だ狐だと侮ると酷い目にあう。大抵魔獣化を起こすと、サイズそのものが巨大化する。この三体もそれぞれ虎くらいのサイズになっていた。そして、魔獣化しているという一番の証拠はその紅く染まった瞳。

 三体同時につっこんで来られたら厄介だ。

  まず銃使って、先頭の一体の両側二体に動きを押さえるべく射撃。

 グガァァァッ!!

 響き渡る咆哮、威嚇射撃で撃った弾が右側の野犬タイプの肢を撃ち抜く。と、同時に引き抜いた破魔刀でまっすぐ突っ込んで来た先頭の一体の牙をガヂィンッ!と受け止める。

「……んにゃろっ!」

組み合い、動きを止めた一瞬に右足で腹部に蹴りを叩きこむ。

「ッギャンッ!!」

 その一体をはじき飛ばしておいて、威嚇射撃でも無事だった狐タイプの魔獣が飛び込んで来るのに対し身構える。右足を後ろに引いて、ぎりぎりまで腰を落とす。狙いはその魔中が飛び掛ろうと大きく身体を伸ばした瞬間。


―――今っ!


 大きく踏みこむ。

伸ばしてくる爪の下をかいくぐって、腹部の辺りに滑りこみ。


一閃!


重い手応え。

刃の深いところに響いた衝撃。

背後で響いた咆哮。


やばい。

致命傷じゃない。

でも振り返る余裕はない。

威嚇射撃で肢を撃ち抜いている魔獣に向かう。

今度はしくじらない。


 とびかかろうとするその一瞬前に剣を振りかざす。

 狙いは心臓。

 躊躇いなく突き刺して。

 あたりをつんざくような断末魔。

 びくびく痙攣する体躯を蹴るようにして剣を引き抜く。


 振り返らないまま、前方に片手をつくようにして、跳びながら反転。

さっきまで立っていた場所に腹部を蹴ってはじき飛ばしておいた魔獣が爪を振り下ろすのをしっかりと見ながら銃を引き抜く。

狙いは眉間。

外さないで、正確に。


 ガゥンッッ!


たった一発の銃声で、倒して。

 最後の獲物を目で探して、見つけた瞬間飛び出していた。頭の中が真っ白になっていたんだと思う。幼い十かそこらの無防備な子供に飛びかかろうとする魔獣を見て。

 間に滑り込んで牙を剣で受け止める。

 ぎりぎりとせめぎあう後ろで驚いたような、呆れたような声がした。

「何、してるの………?」

―――何って。

 心の中のなんだか妙に冷静な部分で呟きを返した瞬間思い出す。

―――あ、こいつ魔族だった!

うわ、バカだ俺!こんなことしなくてもこいつは全然。


「仕方ないなァ……」


全然、平気。


意味のないコト。

の筈、だったんだけど。


―――え?

 呟くような声が、何かの痛みを堪えてる声だと思った。

 痛みを堪えて、それでもどこかで嬉しく思ってる、ような。

背後でシュウが何かの術を唱える気配がした、瞬間、魔獣が跳び退き、地面をのたうち始めた。

「…とどめ」

 端的にそう促す声に従わない理由などなく。

 暴れて跳ねあがる前肢を受け流し、心臓に剣をつきたてる。

 びくんびくんっと全身を痙攣させて、息絶える魔獣。

 それを用心深く確認。




 安全を確かめて、ふぅっと深く息をつく。

 そして、背後のシュウを振り返った。

 シュウは逢った直後みたいな無表情のままだった。

「ご苦労様」

「………おう」

さっきの声の理由を聞いてみたかったけど、そんな親しいみたいな繋がりもないから何も言わない。シュウも何事もなかったみたいに言って、歩き出す。

 自分の横を通りすぎていく小さな頭を見下ろして、目で追いながら振り返ると、なんにもかまわずに歩いて行く後ろ姿があった。

「お、おい……」

 どこに行くんだって聞きかけて、そうだこいつは邪気放つ植物を目指してるんだと思いなおした瞬間、とてつもなく嫌なことをシュウが言った。

「でも終わりじゃないよ」

「ああん?」

「樹の邪気あるけど、それ以外でも動いてるのがいる。魔獣はまだ残ってる」

「げぇっ!!まじかよ」




 心底、こんな仕事受けるんじゃなかったと思った。




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