エピローグ
その日、結婚して十年という時間が経ってしまったけれど、わたしとアルトラーディは、本当の夫婦となったの。
甘くて、熱くて、激しい夜の出来事にわたしは、翻弄されてしまったわ……。
色々な意味で大きくなったアルトラーディは……。
ごほんっ!
とにかく、わたしとアルトラーディが本当の夫婦になれたのは、全てアルトラーディのお陰なのよ。
アルトラーディが諦めずにわたしに想いを伝えてくれたから、行動で示してくれたから、わたしを許してくれたから、だから今のわたしたちがいるのよ。
今まで気持ちを押し込めていた反動なのか、あの日からアルトラーディが輝いて見えて、すべてが格好よく見えて仕方がなかったわ。
そんなわたしをアルトラーディが嬉しそうに見つめて、そんなわたしとアルトラーディをニコニコと見つめる家臣のみんな……。
すごく恥ずかしいと思うけど、みんなに喜ばれていることも嬉しくて、アルトラーディと一緒に居られることが幸せで……。
ずっと否定していた自分を今なら受け入れられそうな気がするの。
年上だとか、不幸の元凶だとか、約束を破ったとか。
そんなこと関係ないって言ってくれたアルトラーディが、これは二人が結ばれるために必要なことだったって、そう言ってくれたから。
わたしを許して受け入れてくれたから、わたしを諦めないでくれたから。
だから、今度はわたしがアルトラーディをもっと幸せにしてあげると思ったけど、途中で違うと気が付いたの。
一人では駄目なのだと。
わたしとアルトラーディは、二人で幸せにならないといけないのよ。
だけど、近い将来二人じゃなくて、三人で幸せを分かち合うことになるのね。
そう思ったわたしは、少しだけ大きくなっていたお腹に手を当てた。
そうすると、嬉しそうなアルトラーディがお腹に頬ずりをするの。
「早く会いたいね。元気な子だったらどちらでもいいけど、出来ればギネヴィア似の男の子がいいな」
「あら? わたし似の女の子じゃなくて?」
「女の子だと、いつか嫁に行ってしまいじゃないか。そんなの俺は耐えられない……」
「まって、泣かないで! まだ生まれてもいないのに今からそんなんじゃ……」
「うっぅうう……」
「もう。仕方のない人ね」
「想像するだけでも耐えられない!! 可愛い娘がどこの馬の骨ともわからない男を連れてきたら……。…………す……殺す!!」
「ふふ。考えすぎよ」
「嫌だ! 嫁になんて行かないでくれーーー!!」
気の早いアルトラーディの想いが通じたのか、生まれたのはアルトラーディ似の男の子だった。
だけど、それはそれでアルトラーディの新たな悩みの種となったのよね。
「ギネヴィア~~。息子は可愛い! だが、もし男の子の定番のアレを言われても絶対に、絶対に返事をしては駄目だからな!!」
「アレ?」
「そうだ! 大きくなったらお母様と結婚するってやつだ! ダンの息子が奥方に言っていたアレだ!!」
そう言われたわたしは、昔そんなことがあったことを思い出していた。
そして、必死な様子のアルトラーディが可愛くてついつい笑ってしまったのよ。
「くすくすっ」
「!! 俺は本気でお願いしているんだ!」
「はい。大丈夫よ」
そう言ったわたしはアルトラーディを手招いていた。
生まれたばかりの可愛い息子をベッドに寝かせたわたしは、招き寄せたアルトラーディを抱きしめて、その頬にキスをした。
「大丈夫よ。わたしが愛しているのはアルトラーディだけよ」
そう言ってから、形のいい唇にキスをする。
アルトラーディは、わたしにキスを返しながら約束してくれたわ。
「ああ。俺もギネヴィアだけだ。ギネヴィアを愛している。これからも、死んでも、生まれ変わっても、ギネヴィアと恋をして愛するよ」
「はい。わたしもです。アルトラーディ。愛しい人」
『旦那様の様子がおかしいのでそろそろ離婚を切り出されるみたいです。』 おわり
最後までお付き合いいただきありがとうございました。




