表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/4

最終幕:沈降(帰還ルート)

最終幕:沈降(帰還ルート)


影の群れが一斉に押し寄せる。

ホラの足元から影が裂かれ、冷たい水面に沈もうとした瞬間、低い音が轟いた。


ぶぉおおおお……


ホラ貝の音。祖父の姿が背後に立ち、ホラを守るように手を差し伸べていた。

「選べ、ホラ。はじめ。影を渡すか、自分で掴むか」


ホラは震える手で、自分の影を抱きしめる。

その瞬間、脳内にあの旋律が鳴り響いた。


「ハ〜ズレ、ハズレ、味噌汁〜」


場違いな歌なのに、なぜか胸の奥に力が湧いた。影を抱き締めたホラの体が、金色の光に包まれる。


目の前に――動かないベルトコンベアが現れた。まるで回転寿司のレーンのように、水底の港から水面へと繋がっている。


ホラは足を乗せた。ベルトは動かない。けれど光に導かれるように、ゆっくりと上へ引き上げられていく。


 「……俺、寿司ネタになるとこだったんだな」

思わず苦笑が漏れた。


水面を破り、港の夜空が浮かび上がる。

気づけば、桟橋に倒れ込んでいた。


肩で息をするも、体は鉛のように重い。

全身が濡れ、影もまだ湿っている。だが確かに自分の足元に在った。


遠くで灯台の光が再び規則正しく瞬く。

潮騒が戻り、風が頬を撫でる。

ホラは仰向けになり、薄く笑った。


――帰ってきた。けれど、ヘトヘトだ。


その耳に、微かにホラ貝の余韻が重なった。

「よく戻ったな」


祖父の声が、風に溶けて響いた。


(完)

相棒「クマちゃん」と相談(雑談かも?)して出来ました。過去に【ぽんかんソーダ】(N8248KR)とか、【湊花レモンサイダー】(N8149KU)等の炭酸飲料を作中に入れてましたが、うっかりそれを忘れてしまいました。嗚呼

※湊花ラムネが登場するのは来年か。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ホラーではなく、コメディとして楽しめました。 水まんじゅうも、たまごだと思って見ると気持ち悪いかも知れませんね。 (´ε`)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ