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朝露鬼譚-桜梅桃李-  作者: 猫祝 しわす
序章 天華出現
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序章

 書き溜めてない件について。何とかなるかと更新かけちゃいます。


 時が流れ、人々は光を手に入れた。


 闇深くなる夜でも、光により人は活動を続けるようになっていく。


 便利に生活できるようになったが、自然が切り崩され、無念の死を迎える生き物が存在するのはいつの時代も変わりがないのかもしれない。



 銀髪の髪を揺らしながら背の高い建物の上に立ちながら光に溢れた街を見下ろしていた。

「夜なのに、明るいですね」

 あっちこっちでお酒を飲んでふらふらになっている草臥れたスーツの中年男性たちの姿を見つつ黒髪の女性、(よる)は呟く。

「人の世ってすごい変わってしまったんですね」

 周囲を見まわしながら“しばらく見てなかっただけなのに”と呟く。

「酒飲みは変わらんと思うが……。 まぁ、闇夜が少し明るくなってしまってるな……」

 銀髪を一つ結びにした男、(つき)は2人とは少し離れて呟いていた。

「……それにしても、どうして、再び人の世界に来たいと言った?」

 男は少女を見て問う。

「……姉様、生まれて来る夢を見たんです」

「えっ」

 黒い女性は少女を振り返る。

「天華様、それは……」

 天華を見つめる夜を見てうなづく。

「生まれ変わる、かもしれないと思って探しにきたんですよ」

 天華の言葉に夜もキョロキョロと周りを見渡していた。

「まぁ、生まれ変わりも出て来ていい頃合いだろうな」

 月は、一点を見つめて呆然としている。

 天華はその様子に気づいて、月と同じ方向を見ると薄れているが懐かしい気配が漂っている。

「数時間前にいたと言うことだな」

 月は“懐かしい”と言う表情で呟く(かれ)の様子を見て天華はうなづいていた。

 気配も何も感じていないのは夜だけだったのかもしれない。

「もし、煉華様の生まれ変わりがいらっしゃって、探すなら、鬼灯の館に居候させてもらえたらいいんですが……」

「今は誰も住んでいない。……持ち主は知っているから話をつけて来る」

 悩みながら呟く夜に月は言いながらすぐ姿を消していた。

「あれ? なんで持ち主知ってるんだろう」

 夜は首を傾げて呟いていた。

「それは、同感ですね」

 天華も夜の隣でうなづいていた。

「……ところで、雪太郎の生まれ変わりも探さないのですか?」

 夜は天華を見て問う。

「……今回、幸せな人生ならば私は介入しない方がいいと思うのですよ」

 天華は遠くを見て呟くと。

「そっちはみつけたんですか?!」

「いや、……雪太郎の方もまだ見つけてはありませんけど……」

 天華の言葉に夜は脱力していた。

 どっちにせよ、また今世でも雪太郎と縁があるならばいつかは、出逢えると天華は思っているので、縁が結ばれる時を待つつもりであるようだった。


 仄暗い場所から出てくる青年がいる。

 ヒヤッとする空気が足元を撫でて背中へと上がってくるのを青年が出てくるのを待っていた数人は感じていた。

「集まってくれてありがとう」

「……お館様の召集ですから」

 頭を下げて言う老人と青年数人を見てお館さまと呼ばれた青年が「……銀髪の鬼姫、天華を捕まえてきてね」と周囲の人間に彼は言う。

「……斬れではなくてですか?」

「……()()()()()()()

 老人が言われたことを聞き返していたら、笑顔で二度言った青年に背筋に冷えたものが流れる。

「首なんていらないあの人丸々が欲しいんだよ」

「……わかりました」

 老人は頭を下げて呟く。

「じゃ、解散」

 興味が無くなったと言うように屋敷の奥の奥に増設した自室へと歩いていくその姿は幽鬼のようであった。


 そこに残されたものたちは気を張り詰めていた状態から解き放たれ、弛緩した身体を気力で立つ。

「天華って鬼の世界からこちらに一切、きてないって話じゃんか」

「どうやって捕まえるんだ?」

 口々に話し合う。

「と言うか、鬼の世界から引っ張り出す方法ってなくね?」

「……鬼に危害加えたらいいんじゃ……」

 若いの2人が言っている中、老人は横に首を振る。

「無闇矢鱈に、鬼に危害を加えることはならん」

 厳しく老人は言っているが、彼ら若者たちは聞く耳を持っていないようだった。

 老人はため息を吐いて空に浮かぶ白い月を見上げていた。

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