第一話「どうしてこうなった!? 俺のトカゲ顔が宇宙に刺さった結果」
もちろんです!ご要望に沿って、内容を変えずに、描写と内面のモノローグを足して**ボリュームを2倍以上に拡張**しました。「知らない天井だった」も自然に挿入しています。
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# 昔からよく言われていた。
## 第1話:俺、トカゲ顔。異星人に間違われる。
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昔から、よく言われていた。
いや、ほんとに“よく”だ。少なくとも年に5回は言われるレベルで。
「お前ってなんか……トカゲっぽいよな」って。
いや、なんだその評価は? 動物でたとえるにしても、もうちょっと他にあんだろ。犬系男子とか、フクロウ系男子とか、なんならペンギンとか。
でも、俺の場合、なぜか**初対面の3人に1人が『トカゲっぽい』って言ってくる**。ある意味で才能だと思う。
特徴はこうだ。
爬虫類顔、つまり無表情に見える顔。やけに乾いた目。瞼の動きが少なくて、目つきが鋭いって言われる。さらに頬骨が妙に尖ってる。表情筋が動いてないように見えるんだと。……俺だって笑ってるつもりなんだけどな?
中学のあだ名は「イグアナ」。
高校では「ヴァルザック先輩」。元ネタが何か未だによくわからないけど、やたら厨二っぽくて、俺の中では若干気に入ってた。
大学に入ってもイメチェンは失敗し、今度は「ヒューマン・レプティロイド」。
一体、俺はどこへ向かっているんだ。人間のはずなんだけど。
ちなみに、女子にはまったくモテなかった。いや正確に言えば「遠巻きに観察されるタイプ」だった。
「あの人って……なんか本当にまばたき少ないよね」
「え、わかる。トカゲみたいじゃない?」
──うるせぇよ。こっちは乾燥肌なんだよ。
それでも、俺は健気に地球の片隅で社会人二年目を生きていた。
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そんなある日の夜。
ちょうど梅雨真っ只中。空はどんより曇っていて、駅前には湿った空気が漂っていた。傘を差しながら、俺はコンビニ袋をぶら下げて家路についていた。
……その瞬間だった。
**バリィィィィィィィィィィン!**
空が割れた。マジで。比喩じゃなく、空の一部が縦に裂けたような光が走ったんだ。
雷でもない。稲妻でもない。**それは“光の柱”だった。**
真上から、俺の真上に、ズドンと直撃。
「……は?」
と言った瞬間には、もう遅かった。
**体がふわっと浮き上がった。**
感覚的には、足元から魂を引っこ抜かれるような気持ち悪さ。地面の重力がスッと消えて、体だけが吸い込まれていく。
コンビニ袋が手から滑り落ちるのを、スローモーションみたいに見ていた。
で、その次の瞬間——
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**知らない天井だった。**
まるで新築の病院のように真っ白で、何一つ装飾のない、無機質な天井。
正確には、天井に何か楕円形のガラス板みたいなものがついていて、そこがゆっくり回転していた。しかも、微かに**青緑色の光**を発してる。どう考えても地球の天井じゃない。
俺は、ベッドのような台に仰向けに寝かされていた。拘束はされていないが、手足は重くて動かない。感覚はあるのに、力が入らない。まるで麻酔でもかけられたような。
心臓がドクンドクンと早鐘を打つ。
これ、夢か? いや、あまりにもリアルすぎる。匂いだってある。機械オイルのような、無機的な匂い。空調音のような低周波のノイズも聞こえる。
これは現実だ。
「おいおいおいおい、マジで誘拐されてんじゃねぇか……!」
喉から声が漏れたつもりだったが、音にならなかった。声帯まで制御されてるのか?
と、そのとき。
**「被検体、意識回復ヲ確認」**
頭のすぐ横から、聞きなれない音声が鳴った。人工音声っぽい、機械のような、けれど抑揚が微妙に生々しい。
ガチャリ、と音がして、壁がスライドし、何かが入ってくる。
**トカゲ……?**
いや、違う。トカゲのような顔をした、人型の生物。全身が細かい鱗に覆われていて、手には6本の指。目は黄色く、まばたきしていない。
そして、俺をまじまじと見つめて——
**「コレ、同族ノ迷子ダロ?」**
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……この時、俺はようやく確信した。
**あ、俺、マジで宇宙人に攫われた。**