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もう疲れたよパトラッシュ

朝、ここで目が覚めたことに後悔をする。まだ長い悪夢から醒めない気分だ。これ、この世界は、全部、僕の妄想だ。ここでキスしたってセックスしたって、ただ夢精するだけで終わる。そうだよね?やけにリアルすぎて嫌になるよ。その心音まで響いて聞こえる。


「セレーナ、おはよ」


「んー……はっ!!カルマ、くんが何で、ここに?」


昨日のこと、たぶん夢だと思われた。僕にとっては、夢であって欲しかった。


「一人じゃ寂しくって……」


甘えたセリフ。ブス同士のカップルを見て、アウトオブ眼中にしたいような心持ち。客観的に自己嫌悪。あー、気持ち悪い。けれど、僕が彼女の頬を撫でると、花が咲いたように彼女は可愛らしく微笑む。


「カルマくんって意外と子供っぽいね!」


「まだ17だもん」


「へえ、私よりも年下なんだ。もっと上かと思った」


「何それ、老けてるって意味?」


「違うよ。しっかりしてそうってこと」


しっかりしてる、真面目、大人びた。僕はこの修飾語が好きではない。僕の本質とは違うからだ。だけど、この枠に嵌められて出られない僕は、否定する権利もないのかもね。


「僕はまだ、子供でいたい……」



ドラゴンは赤ちゃんが人形遊びをするかのように俺を掴んでは投げ飛ばす。もうすぐで口に含まれそうだ。


「ルナ、Switchしろ」


「俺は、痛みには鈍感なんだよ……」


どーせ、サンと入れ替わったところで、次はサンがこの痛みを引き受けるだけだ。ドラゴンへの対抗策なんか持っていないんだから、痛みを引き受けるのは俺で良い。


「じゃあ、喰われろ」


「は?とうとう頭がイカれたか??」


「お前のがイカれてんだよ」


思考が低下していく。痛みには強いだろ?俺の精神力舐めんじゃねーよ。ガブリッ。ドラゴンの大きな犬歯で胴体を噛まれた。

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