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異常だからできたこと

ドラゴンの前に仁王立ちで両手を広げる。


「Challenge ──痛快無避──」


「変態」


ガブッ!!!頭からかぶりつかれた。胴体に風穴が開く。大量の血液が流れ落ちる。全身に流れるチカチカと痺れるような快楽に身をよじった。


「あははっ!!最っ高に気持ち良いいいい!!!!」


ビュルルっと白濁乳の体液を出すよりも数百倍、数千倍気持ちのいいそれで俺の脳みそは溶けだしてしまいそうだ。


Challenge ──痛快無避── とは、攻撃を避けることなく我が身全て受け止めた時初めて、痛感がそのまま快感へと変わる魔術である。ただし、負傷レベルは変わらない。そのため、カウンターが得意なタイプが覚えることが多い。


「こんなの覚えても無駄な魔術だよ。攻撃なんて本能的に避けようとするのが正常だ」


「だから、異常な俺がいるんだよ」


ってニカッと笑う、思い出のような夢を見た。


「Gifted ──腥血蠱毒(せいけつこどく)──」


グサグサグサッ!!ドラゴンの体内に流れ込んだ血液が何本もの矢になって、内側からドラゴンの肉を引き裂いていく。ドラゴンが痛烈な叫び声をあげる。口端からこぼれ落ちた。折れた羽がクッションになった。


「シノ、シノ……シノ!!!」


カルマくんが泣いている。俺のことを呼んでいる。ああ、慰めなきゃ。その涙を拭って。


「……え?どしたのぉ?」


ダメだ、腕すら持ち上がんない。


「シノ、僕からの命令だ」


「ん?」


「生きろ。僕のために生きろ。……死ぬんじゃねぇ」


カルマくんに身体を抱き寄せられてる。俺の赤いのが彼の手を汚している。その指の隙間からこぼれ落ちた赤いのと彼の涙は連動している。不甲斐なさで彼は泣いていた。でも俺は嬉し泣きしかできなかった。


「こんな泣かせられちゃ死ねないよ」


俺の身体にぽっかりと開いた風穴はじわじわと塞がっていった。

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