カプラテスト
先程から滴る血液に絆創膏。ルナが好きな幼稚なデザインなものを貼った。ヴァンパイアの唾液には血液を止まらなくさせる作用がある。
「どうしたの?」
彼女は不思議そうに聞いてくる。
「俺は人間は食べない主義だ。というか、邪魔だから帰れ」
ルナが食欲と性欲に溺れそうなところ俺が絶望に溺れさせたのだ。この甘ったるい匂い。一緒になどいられるはずがない。カップラーメン三分耐久でどれだけ待てない大人がいると思っているんだ。
セレーナがいなくなった。
「何で!?私はヴァンパイアさんと、一緒にいたいのっ!!」
いた。次いでに、ヴァンパイアまで見つけた。
「カルマくん、どーすんの?」
「ん?最初から殺すって決まってんじゃん」
「セレーナちゃん、悲しむよ?」
いや、悲しむはずもない。だって、
「女は自分を振った男を貶す、世の常でしょ?」
まあ、振られたからって僕のことを好きじゃなくなる女なんて、僕の方から願い下げだけどね。指先の一点に魔力を込めて、弾丸を撃つように火の玉を放った。けれど、ヴァンパイアはセレーナの影に隠れて、僕の攻撃を避けた。
「姑息な!」
ミレが牙を剥く。ジュリはというと、今頃、部屋のベッドの上で気ままに寝ているだろう。彼女は自由人だ。ヴァンパイアがセレーナを盾にして、僕達から逃げていく。
僕はその足首に魔術で蔦を絡ませる。そんな蔦は簡単に切られるだろう。だが、その蔦は切った瞬間、棘をお前のその足首に突き刺すだろう。……ギミック付きの魔術だったが、それを見破ったのか、ただ純粋に蔦が切れなかったのか、ヴァンパイアは蔦に絡まったままだった。
「何で、逃げないの?殺されたいの??」
「カルマくんっ!ああ、やっぱ、カルマくんだあ♡」
見て!このボロボロのナイフ!!こんなんじゃ切れないよお。ってずっとヘラヘラと笑っているヴァンパイアを見ていると、昔死んだペットが夢に出てきた気分になる。




