硝子の声で鳴く楽器
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
チェンバロの演奏を拝聴した、幻想奇譚。
奏でる声は御伽噺、または繊細なステンドグラス。
幼少期の頃に耳にした事がある、硝子の声で鳴く楽器。ずっと、ずっと探し続けているのです。高い声はポルトガルギターの様に、低い声はエレキギターの様に、その声で鳴く楽器は果たして何というお名前なのでしょう? それに気が付いたのは、とある演奏会に訪れた時の話。
ホールに腰掛けて、目の前に置いてある楽器に目を奪われました。まるでピアノの様な楽器。えぇ、遠目から拝見させて戴くと、紛うことなくグランドピアノなのです。違いと言えば塗装が黒ではない所。金の装飾と曲がりくねった猫足、それぐらいしか違いが分かりません。
けれども本日の演奏項目には『チェンバロ』と書かれているのです。そして下には作曲、バッハの文字。バロック時代に使用されていた楽器なのかも知れません。
ふとその様な事を考えていると、チャイムの音色。懐かしき、学校を思わせるレトロな音。もう開幕のお時間です。
奏者の方が一礼をし、指を置いた途端、世界が変わるのを感じました。
ロココな東屋、沢山の真っ赤な薔薇が植えられた美しい庭。朝露がとろり溢れ落ちる、そんな庭先で紅茶と紅茶を嗜む様な。
思わず引き込まれたその後に一度瞬きを。目の前にあるのはあの、ピアノと表現した美しい楽器が鎮座しております。奏者の方の指が揺れる度に、繊細で、硝子のような声で真っ直ぐに伸びた音色が、紡がれて行くのです。
高い音はステンドグラスに描かれた薔薇のように、触れたら容易く割れてしまいそうな。けれども低い音は重厚感のある、沈み込むエレキギターの様な。この一つの楽器は高低で様々な色を見せて下さいます。
一曲目が終了し、お次の曲。同じくバッハの曲。しかし前回とは異なり短調の様です。華やかで気高い音の羅列の後ろに、悲壮感を閉じ込めた様な曲。瞬きの間に世界が変わるのを感じます。
青白い光が灯るロココの寝室。そこに女性が一人静かに涙を零しているような。当然の事ながら、全く違う曲で御座います。けれども世界観をこの楽器一つだけで物語って、語りかけて来るのです。
そうして、私が長らく探し続けていた音の正体が、漸く理解出来たのです。貴方様……でしたのですね。硝子の声で鳴く楽器、ステンドグラスの音を出す楽器、チェンバロ。しかと胸に秘め、また拝聴したいと存じます。
薔薇園の東屋でチェンバロ聴きながら、御伽噺読みたいです。
ケーキ食べたいですし、紅茶飲みたいです。
それぐらい完成された世界観を構築出来ると思ってます。
生で演奏聞いた事が無かったので、聞いてきました。
やっぱり御伽的でしたし、優美なステンドグラスの音でした。
帰ったらもう一度履修します。
ちなみに、音楽の先生から
短調は『なんか悲しい』と思ったらそうだから!!
本当は違うけど、それくらいで良いと思う!!
※作者はその時、小学生でした。
と教えられたので、悲しい歌は全部短調だと思ってます。
追伸
幻想奇譚の更新時間、固定の方がいいでしょうか?
前は意識してました。んー、でも今回は難しいので、このお時間。
次回はどうなるかな。なんて。