有象無象
いつもそう、いつものことさ。
いつもそう、いつものことさ。
寝ても覚めても、覚めても寝ても。
見ても聞いても、聞いても見ても。
いつもそう、いつだってそう。
解ったようで解らない。
迷ったようで迷わない。
選んだようで選ばれない。
見つけたようで見えてない。
聞こえたようで聞いてない。
やけに焦げた朝食を頬張り、喉元過ぎた後悔を押し流す。
いやに焦る今日を振り返り、弄んだ昨日を思い出す。
今日もそう、いつだってそう。
解ったようで解ってない。
迷ったようで迷えない。
健やかな営みを目の当たりにして、そうなりたいと祈るだけ。
清らかな企みを掻い摘まんで、そうしたいと書き綴るだけ。
見つけたようで見ていない。
聞いてたようで聞こえてない。
過大評価の夢の中、希少価値の命は飼い慣らされる。
過大評価の命の価値は、有象無象の夢に食い荒らされる。
知ってたようで知りもしない。
知ってたくせに知ろうとしない。
なんて素敵な今日でしょう、祈りに応える時ならば。
なんて尊い昨日でしょう、想いに添う時ならば。
いつもそう、いつもそう。
選んでみても選ばれない。
望んでみても望まれない。
こんな祈りに取り憑かれているならば。
こんな想いにすがりついているならば。
有象無象の明日になれば、もうよそう。