中段 『小鳥囀る、神秘の森の段』中編2
おお!何という偶然!
異世界に転移して最初に出逢ったのが元・地球人の方で助かった。
ワールド・Lの人間様だったら、この世界の知識とか全くないから話が噛み合っていなかったと思う。
「そっか。じゃあ貴女も神隠しに遭ったの?」
「まあそんなとこかな。……それと、貴女って呼ばれるの違和感あるからサヤって呼んで。私は『木舞村サヤ』。」
「分かった!私の名前は『葺草アヤメ』!サヤ、宜しくね!」
「おう。宜しく。」
素っ気なく返された。テレビ見てる時のご主人様みたいだ。
「それで……話逸れまくったんだけど、この世界の説明するわ。
ここから国まで時間が掛かるから、歩きながら話すことになるけど」
「分かった!サヤありがとう!」
「そこまで率直にお礼を言われると、なんて返せば……」
「ん……?顔赤いよ?熱出てる?」
「違うっ!顔赤くない!ほら行くぞ!」
「え…ええ……?」
サヤ、何故キレてるんだ……?
「青龍から大体聞いているだろうが、この世界は地球とは違う。」
涼しい風を感じながら森を進む。
今ではふらつかずにちゃんと歩けている。良かった。
「えっと、確か魔法?があるとかなんとか。」
「そうそう。それ以外にも、地球にはない、さっきの彼奴みたいな生物ーーー魔物が居たり、其奴等が異常に凶暴だったり。嗚呼、それと電気が通ってない。」
へえ、あれは“魔物”って言うのか。
「わぁ、電気が通ってないんだ……。生活大変じゃない?」
「んー。魔法とか魔道具使ってるからそうでもないかも。」
「まどうぐ……?」
「ん、知らなかったか。魔道具はーーー」
「うぎゃああああああ!!!!!!」
突如、背後から悲鳴が上がった。