表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
月桂妖花絵巻~Laurus nobilisMagic!~  作者: 奈冴あや
第一章
13/16

中段『始まり告げる、太陽の国の段』中編2

ミートゥ・コアが割れた先には、数十分前に見た宿の空間。

どうやら戻ってこれたみたいだ。


「……で、さっきのは何だったんだ?あそこはどこなんだ?」


「ミートゥ・コアだ。コルリが私達転移者を騙す為の空間。」


「へぇ、ミートゥ・コア……。」


どうしてそんなにコルリ様を信じられないのだろうか。

まあ…気にしないでおこう。

そう考えを切り上げ、夢の中へダイブした。




1日目。

さっさとミッションをこなして奥義を手に入れたいところだが、装備もない状態だと簡単に死にかねない。死なないが。

なのでお小遣いを稼いで装備を揃えることにした。

1番金稼ぎしやすいのは、ヒノン大国の城下町にある冒険者ギルドで登録してクエストを受ける事らしい。

ご主人様がよく見ていた異世界もののアニメのような展開だ。


「よっ」


「よっ、サヤ!と、見ない面が二人居るが……冒険者登録しにきたのか?」


ガラガラ声で強面の迫力あるおじさん。

風船のように膨らんだ筋肉や頬に出来た傷が彼の強さを示している。


「え、えと、はいっ。そうです!」


「そうかぁ!オレはアジュガだ!宜しく頼む!」


「私はアヤメ!宜しくおじさん!」


「アジュガだ!」


「おじさん!」


「…ぐすん」


サヤがおじさ…アジュガさんの背中を摩って慰めているのは気のせい。


「…じゃあステータスを見せてもらうぞ」


彼は【情報開示インフォ・ディスクロージャー】と唱えた。

文字がつらつらと書かれた一つの水色の板が目の前に現れる。



名前:葺草アヤメ

種族:人間

年齢:15歳

職業:《傀儡師(パペットマスター)

スキル:【散花(スツール・スキャッタ)

装備:

通り名:

契約:キラス・ローリエ・ベイリーフ



どうやら、私の情報が載せられているようだ。

内容はよく分からないが。


「は!?傀儡師(パペットマスター)…!?おいおい、こんな職業滅多にいないぞ!!

冒険者だと二人目だな!!」


こうやって驚かれるの気分良いな。楽しい。

しかし、もう一人いるのか。いつか会ってみたいな。


「ガーッハッハッハ!!レア職業に出会すなんて俺も運が良いのかもしれねぇ!

じゃ、このカードに魔力を流し込むんだ。深呼吸をして手を翳しながら力を込めると出来るぞ!」


真ん中に大きく『33』と書かれた白いカードが目の前に置かれた。

言われた手順を踏んだら、意外と簡単に魔力を流し込めた。

もしかしたら私に才能があるのかもしれない。どや。


「…この世界じゃ魔力流すくらいは魔力保持者なら当たり前に出来るからな?」


サヤさんは何故私の思考を読み取れるのだろうか。思わず戦慄を覚えてしまう。


「よし、完了だ!

最後に、冒険者について説明するぞ!」


要約すると。

魔物(モンスター)にはランク付けがされており、G、F、E、D、C、B、A、Sの順番となっている。

先程邂逅した豚人族(オーク)鳥女(ハルピュイア)はEランクで、3人で相手すれば少し苦戦するぐらいらしい。多分強い。


同じく冒険者にもランク付けがされており、『33』からスタートで1番上が『1』だ。

33と32ではまだ魔物を狩るクエストはこなす事が出来ず、薬草摘みや町の人助けのみだ。


また、クエストでの死傷は冒険者ギルドは一切責任を持たない。

ここは、死なないからあまり気にする必要はなさそうだ。


「質問はあるか?」


「今のところはなさげ!大丈夫!」


「おう!無茶はするな!くれぐれも気を付けろよ!!わかったか?」


「わかった!おじさん!」


「………。よし!行ってこい!頑張れよ!!」


その間はなんだ。おじさん呼びがそんなに嫌か。


兎に角、宿代と食費を自分で払う為、33ランクで受けられる薬草(20個)摘みを受け、冒険者ギルドを出た。



まずは最低限の装備を調達する為に、城下町の装備屋へ向かう。

因みに、サヤの懐から出してくれるらしい。勿論後払いだが。

私が今着ている服は結構気に入っているので、ゴツゴツした防具は買わないでおく。

他に身に付けられるのはアクセサリーだろう。

そう考えた私は、手に取った花冠のステータスを覗いてみる。


《名称:蓮華草の花冠

特性:『心が和らぐ』

概要:蓮華草、野路菊、菖蒲の造花で作られた花冠。

効果:装備している者が大ダメージを受けた時、5%の確率で代わりに身を守る。》


へぇー。アクセサリーに効果とか付与されてるのか。結構便利だ。

見た目もかわいいしこれにしよう。


「俺はこれが欲しい」


《名前:サンシュユの髪飾り

特性:『力を授ける』

概要:サンシュユ、ローリエ、スパラキシスの造花で作られた髪飾り。

効果:攻撃をする度、5%の確率で全能力を10分間だけ5高める。重複可能。》


試しに着けてみると、サンシュユの花の花葉色(はなばいろ)が丁字色の髪に良く映える。


「蓮華草の花冠が250アウズ、サンシュユの髪飾りが150アウズ、併せて400アウズです。」


「あ…あうず?あうずって何?」


「お金の単位だ。日本円に換算すると、1アウズで10円。

つまり、100アウズで1000円。」


なるほど。サヤは詳しくて助かる。


「金、ちゃんと後で返せよ?」


「もち!!」


「俺知ってる。こんな事言う奴は絶対返さない」


「同感」


「二人とも信じてぇ!!」


……他人(ひと)の金で買う装備は最高に輝いてるね!!


「とりあえずはこれで充分そうだな。」


「だね。よし、行こう!」


蓮華草の花冠を頭に乗せ、装備屋を後にした。

感想、ポイントくださると奈冴のモチベが上がります。

お願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ