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月桂妖花絵巻~Laurus nobilisMagic!~  作者: 奈冴あや
第一章
11/16

中段『始まり告げる、太陽の国の段』前編

《お知らせ》

毎週日曜日の午後3時、毎週木曜日の午後7時に一話ずつ投稿していきます。

出来るだけ忘れないように頑張ります。

宜しくお願いします。

太陽が殆ど地平線に沈んだ頃、漸く到着した。


「わぁ……!きれーい!」


国の門である鳥居を潜ると、眩しい光が降り注いだ。

その国は、光に包まれていた。

例えるならば、『太陽』。

提灯が道に沿って、店や家の屋根からぶら下がっており、ぼうっと照る炎は優しさに溢れている。

屋台から漂う肉のジューシーな匂いや、魚の香ばしい香りが食欲を唆る。

人間様達は団子を片手に談笑しており、皆幸せそうだ。


「此処は『ヒノン』。『太陽の国』とも呼ばれている。なかなかに美しいだろう?」


「うん!めっちゃ綺麗!カッコいいっ!」


「うっ……おえ……。主、マジで首握るなっ……しかも酔ったし……おえっ……」


キラスは空嘔を何度か繰り返し、雰囲気をぶち壊しにしている。


「人形のくせに酔うんだな」


「原材料以外は人間と構造変わんねーからな」


キラスが自らの前腕を反対の手で押すと、普通の人間様なら有り得ない向きにぐにゃんと曲がった。


「へぇ、痛みはないんだな。羨ましい。」


「だろ?」


すると、肉と魚の匂いに誘われた私のお腹の虫が、ご飯を催促し始めた。


「ねね、お腹空いた。」


「そうだな。晩飯は宿屋に向かう道中の屋台で食べよう。」


「やったー!ばんごはーん!」




「うまーっ!!」


イカ焼き!美味しい!こんな美味しい料理を食べるのは初めてだ!

今まで食べてきたドッグフードなんて比べ物にならないぐらい!

噛みごたえが程良く、海の香りが口一杯に広がる……!


「いーなー。俺も飯食いてー。」


人形であるキラスは飲食が出来ないようだ。

臓器が無いとか。


「流石島国。海鮮は美味だな。」


同じくイカ焼きを食すサヤ。


「島国?服も着物だし……日本みたい」


「そうだな。私がこの国に来た時も同じこと思った。食べ物に神社に服、ほぼ全てが日本の文化そのものなんだよ。」


目の前に広がっている、活気に満ちた大通りを改めて眺めた。

漂う香ばしい匂いの元は大体焼き魚。湯気が出ている店では味噌汁やお雑煮を作っている。

道行く人間様達は着物を着ており、建築物は殆どが木で造られていた。


「まあ、私達にとっては居やすいから楽なんだけどな。」


「うん。懐かしい感じがする。」


「俺からしたら眩しくて落ち着かないんだがな。」


「黙れ」


「……サヤさん、俺への扱い雑過ぎません?」


サヤに冷ややかな目で睨まれているからか、ブルブル震えている。

キラスが命の危機を感じている中、隣で黙々とイカ焼きを食べる私。何ともよく分からない絵面が出来ていた。




「美味しかったー!」


イカ焼きを4本も平らげた。満腹満腹。


「アヤメ、よくそんなに食べられたな……。」


「コイツの食費だけでえげつない額になりそう……。」


おっと、サヤもキラスも引き気味だ。

まあ良いだろう。満足したし。


「そろそろ宿に向かうか。」


「はーいっ!」


「ういー」


サヤに連れられて、私達は商店街から少し外れた道を歩いていった。

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