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プロローグ
初の連載です。
5話くらいで完結する予定です。
大人たちって、いつもそうだ。
子供は単純だと思っている。
だから、つまらない正論を子供に言い聞かせたがるんだ。
「皆仲良くしなくてはいけないよ」
「他人を思いやる心を忘れずに、親切にしてあげなさい」
「人を差別してはいけないよ」
言っていることが正しいことはわかっている。
けど、僕達だってニコニコと毎日ご機嫌なわけじゃない。
金持ちの子が上等な誕生日プレゼントを自慢したらウザイって思うし、横暴な姉や兄に頭が上がらない姿なんて友達に見られたくない。
ダサイって思われたら死んでしまう。
僕たちは、そういう生き物なんだ。
けど、時々僕たちも忘れてしまうことがある。
「他人に親切にしてあげなさい」っていう大人たちの甘言に乗って、他人の心の柔らかな所にズカズカと入り込んで無神経に踏み荒らしてしまうのだ。
「悪いことをしたら、素直に謝って許してもらいなさい」とも言うけれど、世の中そんな単純じゃない。
1年前に結婚記念日をすっぽかしてしまったお父さんは、未だにお母さんに頭が上がらないのだから。