第四話 「一人の生存者」
リーナが目を覚ましたのは気を失ってからどのくらい経ってからだろうか。
目が覚めると異様に身体が軽く、気分もいい。理由は不明だが気を失う前までのシンドイ気持ちがなくなったのはありがたい。
身体を起こすと目の前には冒険者たちが血まみれで倒れているのが視界に入った。
「ヒッ⁉︎....あ、ネクロが倒したんだっけ。そういえばネクロ....は.....」
そう言いながら辺りをキョロキョロしていると少し後ろの方でネクロが倒れていた。
なぜか竜の状態で。
記憶を遡ってみるとネクロは確かに人の姿へと変わったはずなんだけど、気のせい....なのかな?
とりあえずネクロに近づくために起き上がる。
「へへ、やったぞ!ついに最期のモンスターを倒したぞっ!」
そう男の声が聞こえた。
顔を上げると倒れているネクロの上にぼろぼろの甲冑を着た紅い刃の剣を持った男がその剣を掲げて笑っている。
その男の甲冑からはかなりの血が溢れている。
そうその男はネクロと戦っていた冒険者パーティの1人だった。
「はぁ....はぁ...犠牲は大きかったが、はぁ....こいつを殺せて...ようやく....ようやく最難関のダンジョンを攻略したぞぉっ‼︎」
ズシャッっとその紅い歯の剣をネクロのお腹に刺す。
そして剣を抜きまた突き刺す。それを繰り返す。
「ひひ、ははは....あーはっはっはっはっ‼︎この野郎!この野郎!てめえのせいで仲間が、エリーザが死んだじゃねえか。俺はまだ一回もあいつとやってねえんだぞ!ふざけんな!」
そんな事を言いながら剣を刺すのを止めない。
それを数十か数百ほど続けたくらいで男は剣を刺すのを止めた。
「はぁ、はぁ、はぁ....これぐらいにしておかねえと、こいつの素材が駄目になったら戦争の役に立たなくなったら困るしな。ふぅー」
男は剣を鞘に納め、ひと息吐く。
「あー、エリーザ以外の....いやどうせ死んでんだし、エリーザのも売るか。国王とかにはモンスター共に食われたとでも言っておくか」
そう独り言を呟いて死んでいる仲間の方へ足を引きずりながら歩く。
「あ?」
「.....」
そこでリーナと男が目を合わせる。
「何でこんなとこにガキがいるんだ?....ま、いっか。お嬢ちゃんも運がないなぁ、今のを聞いてなきゃ死なずに済んだのによ」
そう言って面倒くさそうな顔で男は空中に魔法陣を構築し始める。
「ファイアアロー」
「がっ⁉︎」
構築された魔法陣から矢の形をした炎がリーナの心臓めがけて飛んできた。その飛んできた威力によりリーナは仰向けで倒れた。
矢はリーナの身体を貫く事なく魔力がなくなり炎の矢は消えた。
そして動こうとしないリーナに対して男は口を開いた。
「....嘘だろ?今ので死んだとか言わないよな?」
これ以上の魔力の消費を抑えるために様子見がてら放った魔法をまともに喰らったリーナを見て驚いた表情を浮かべる。
疑いが晴れないのでもう一度空中に魔法陣を構築し始める。
「エレクトリック・ランス」
空中に電気の槍が出来上がる。
全体約3メートル半、持ち手50センチほどの槍を手で持ちリーナめがけて投げる。
「があぁぁぁっああああ⁉︎あああ、ああああああぁぁぁぁっ‼︎⁉︎」
それがリーナの腹に刺さり槍にまとっている電気がリーナの身体に流れる。
「ちっ、やっぱり狸してやがったか、!っと」
男はフラついて転びかけたが踏み止まった。
「こんな奴に少し魔力を使い過ぎたか。ポーションは全部使っちまったし、回復するの待っても良いけど早く帰らねえと死んだ事にされるし。帰るか」
そう男が言い終わるまでずっと槍から電気が流れ続け、それにより苦しみの声を上げ続けていたが途中で気を失い、その声は収まった。
「この竜の死体は国にでも任せるか。あ、あいつらの死体も燃やしておかねえとバレちまうな」
そう言って男は仲間たちから装備類を脱がせ、次に持ち物を取り死体は一箇所に集める。
「フレイム」
そして全員から装備類や持ち物を取るとその死体に炎を放った。
「さて、とっととのずらかるか.....このガキどうすっかなぁー。放っといても問題ねえとは思うけど、どうせ死んだし。服も別に売れそうにないな。止めと、がっ⁉︎」
そう男は言って大荷物を抱えてどこかへと消えて行こうとしてリーナに背中を向けたその時、全身に激痛が走った。
男が振り返るとそこには先ほど殺したと思っていた黒髪ロングの少女が立っていた。
多分次かその次から主人公視点になります。