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鬼の矛先は《人間》  作者: 桜
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第二話 「冒険者襲来」

 

 リーナとネクロが楽しく食事をしていると急にネクロの表情が険しくなった。


「?どうしたのネクロ?顔、怖いよ?」

「リーナ、上の方に冒険者が来たみたい。少しの間隠れていて」

「.....え?」


 いつも優しい笑みを浮かべているネクロだが、今はそうではない。恐怖を感じているようには見えないが何か焦っているように見える。

 ネクロは机やもう食べ終えた皿などを一旦魔法で消す。

 そしてリーナをある所へ連れて行く。

 一つの岩の前まで来るとネクロは岩に手を触れた。

 すると岩に文様が現れ魔法陣を描いていく。そして魔方陣が完成すると岩が独りでに右へ動き始めた。


「⁉︎」


 驚いているリーナを置いて岩が止まると元の場所には小さな洞穴程度の穴が開いている。


「入って」

「え?」

「ここにいれば安全だから。私が良いと言うまで出ては駄目よ」

「でも....」

「お願い」


 真剣な表情で言ってくるネクロ。

 慌てている様子からも冒険者が近くまで来た事が大変な事なのは理解出来た。

 しかし理解出来たからこそ心配なのだ。

 ネクロの強さをリーナは知らない。また冒険者たちの事も詳しくないため相手がどれくらい強いのかも。なのでネクロが負けてしまうのを恐れているのだ。

 だがリーナはその想いを無理矢理押し留めて、ネクロに言われた通りにする。

 ネクロが岩に触れると再び岩が動き始めた。


「....絶対にまた会えるわ。約束する」

「!ネクロっ‼︎」


 2人を遮るように岩が閉じた。

 岩が閉じ、外の明かりが断たれたと同時に部屋の中が薄っすらと明るくなる。

 ネクロが作ったランプだ。魔法で岩が開いてから再び閉じた時に着火だけ出来るようにしただけの物だ。


「ネクロ!頑張ってね!」


 大声で叫んでみる。しかし1分ほど待ってもネクロからの返事はない。

 リーナは明かりの下へ行き、膝を抱えて俯く。


「ネクロ.....」


 そう呟く。

 数十分ほど経つと突然地面が大きく揺れた。


「え⁉︎何⁉︎何⁉︎」


 俯いていた顔を上げ、驚きの声を上げる。

 しかし揺れはすぐに収まった。だが数秒後に再び大きな揺れが起こる。


「え⁈え⁈」


 しかし揺れはすぐに収まった。

 リーナは訳が分からず混乱していた。

 地面が揺れる事はリーナも経験した事はある。ただしそれはネクロが竜の状態で歩行した時の揺れ。今回の揺れもそれに似ていた。

 揺れては収まり、揺れては収まり。

 この揺れは外でネクロが冒険者達と戦っているため起こっているのだとリーナが理解するのには少し時間がかかった。

 その事を理解するまでリーナは混乱し、心配し続けた。外からは声なども聞こえないので余計にだった。

 ネクロがこの揺れで怪我などをしていないかどうかや冒険者とやらに倒されてはいないか、と。

 その後も揺れは続いた。小さな揺れや大きな揺れ。揺れの長さや揺れが収まってから再び起こるまでの間の長さなども全てバラバラだった。



 揺れが起こってからどのくらい時間が経った頃だろうか。突然揺れが収まった。

 収まるのはさっきから何度も起こっている事だが、今回のはずいぶん長い間揺れが起こらないのだ。

 それに気づいたリーナは不思議に思いながらも恐いのでもうしばらくここで外の様子を伺う事にした。

 そう決めてからだいたい10分ほど経ったがやはり何も起こらない。

 ここまでくるとリーナは不安を覚えた。

 ネクロがやられてしまったのではないか、と。

 そう思うとリーナはネクロの言いつけを忘れて岩をどうにかしようと考えた。

 力いっぱい岩を押すがビクともしない。

 力でどうこう出来ないように魔法で止められているのだ。リーナの力で動かせないようにするために。

 しかしそれをリーナは知らない。なのでどうしたらいいかを、今自分が使える魔法でどうにかならないかを必死に考える。

 リーナが習った魔法は、火属性、水属性、風属性、光属性、闇属性の5つ。

 無属性はこれらをだいたい扱えるようになると覚えが早いから、と言われ教えてもらえなかった。

 リーナが小さい頃にネクロに無理を言って魔法を教えてもらってはいたので今では火と風の魔法は中級レベルの魔法が行使出来る。

 他はまだ初級レベルだが。しかし今はそれでも何とかなる。

 リーナはつい先日習ったばかりの中級レベルの風魔法の行使し始める。

 まだ一回も上手く発動出来ていない魔法だが、この状況を打破するにはそれに賭けるしかないのだ。

 ゆっくりと落ち着いてネクロから言われた事を思い出しながら魔法陣を構築していく。空中に徐々に文様が描かれていく。


「ウインド・ブラスト!」


 詠唱すると魔法陣から突風が起こる。

 だがほぼ一瞬で魔法陣が崩れ、風が止んでしまった。

 これは魔法の発動が失敗した時のパターンの一つだ。やはりまだ発動しない。

 しかし諦める訳にはいかなかった。ネクロがどうなっているのかが心配なのだ。

 もう一度落ち着いて魔法陣を構築していく。空中に徐々に文様が描かれていく。


「ウインド・ブラスト!」


 詠唱すると魔法陣から突風が起こる。

 だがやはりほぼ一瞬で魔法陣が崩れ、風が止んでしまった。


「くっ!....はぁ...はぁ....諦めないよ。待っててね、ネクロ」


 再び魔法陣を構築し始める。

 空中に徐々に文様が描かれていく。


「ウインド・ブラスト!」


 詠唱すると魔法陣から突風が起こる。

 だがやはりほぼ一瞬で魔法陣が崩れ、風が止んでしまった。


「はぁ...はぁ....はぁ.....ま、まだまだ!」


 息を荒げながらもリーナは魔法陣を構築し始める。

 リーナの残りの魔力量では『ウインド・ブラスト』は撃てて残り2回ほど。

 彼女はそれなりの魔力量だが、魔法を上手く操れていないため体力共々消耗が激しいのだ。

 ネクロはその事を教えたのだが慣れていなければそれにはかなりの集中力が必要とされるため、今のリーナにはそれを行いながら魔法を行使するのは難しかった。

 空中に徐々に文様が描かれていく。


「ウインド・ブラスト!」


 詠唱すると魔法陣から突風が起こる。

 だがやはりほぼ一瞬で魔法陣が崩れ、風が止んでしまった。


「はぁ...はぁ、はぁ...はぁ.....うっ⁉︎」


 魔力の使い過ぎで軽く目眩が起こり転びかけたが何とか踏み止まった。


「はぁ...はぁ....んっ.....」


 息を整えながら魔法陣を構築し始める。魔法陣をゆっくりと練り上げ、魔力を流していく。


「んっ....んんっ......」


 時間をかけて威力の強い魔法を構築していく。残りの魔力量がだいたい分かるので最期の賭けに出るつもりなのだ。

 空中に徐々に文様が描かれていく。


「ウインド・ブラスト!」


 詠唱すると魔法陣から突風が起こる。

 今までよりも強い風が起こり消える事なく塞いでいる岩に直撃する。

色々変えました。

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