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魔王ちゃん、ストーカー録

魔王マオちゃんの勇者様観察記

謹賀新年です。

あけおめことよろ、と言うわけで、年が明けてしまいましたね。ところで、どの作品も中途半端ですが、いずれ、いずれ!完結させますので、生暖かい目で見守っていただけたら幸いです。

さて、この作品についてですが、完全に思いつきとノリだけで書きました。しかも、正月一切関係ありません。起承転結も何もあったもんじゃありません。

 それでも、短くはありますが、楽しんでもらえたら幸いです。

 私の名前はマオ。両親曰わく、魔王だからマオだそうです。安直極まりないですけど、結構気に入ってます。

 最近、好きな人と趣味が出来ました。

 きっかけはアグムさんが持ってきた映像板。そこに移ったのは最近、勇者として名を馳せている青年、名前はアザミスグル。最初は珍しい名前と容姿だなって思っただけ。でも、映像を見てる内に私の心は高鳴った。時に可愛く、時に勇ましく、その一挙一動に心奪われてしまったのです!

 あぁ、あの黒い髪に触れてみたい!

 あの黒い瞳に見つめられたいっ!

 あの素敵な唇で名前を呼んでもらいたいっ!!

 いっそのこと、私自身を食べてもらいたいっ!!!

 寝ても覚めても頭の中はアザミスグル――いや、スグル様のことばかり。たまらなくなった私は、魔王としての仕事をすべてアグムさんに押し付けて、親友のアモネを連れてスグル様の尾行と観察を始めたのでした。つまりっ、私は俗に言う〈愛の戦士(ストーカー)〉になったのですっ!

 ちなみに、そんな私の装備品はというと、左手に超望遠レンズ装着済みの最高級カメラ、右手には超高性能の指向性集音マイク、胸ポケットには盗聴器の受信機があり、耳には受信機から伸びたイヤホンです。アモネには映像カメラを任せています。

 どうですっ!? 完璧でしょう!!

 さあ、今日も観察開始です!






◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆






 ここはラズベルト公国領内にある惑いの森。スグル様御一行はその森の少し開けた場所で昼食を作っていました。作っているのはスグル様と一行の女魔術師のアイーシャ。微妙な良い雰囲気に苛立ちは隠せない。

 どうにか飛び出してアイーシャを殺してしまわないように自分を抑えつつ――アモネにもどうどうとたしなめられました――マイクを向けます。

『うわっ、スグル、手際良過ぎよ……。あたしがいる意味なんてないんじゃないの?』

『そういうアイーシャは不器用過ぎだよ。卵が割れないってどういうことさ』

 そう言ってスグル様は苦笑い。

 ぐふっ。

 ああっ、なんですか、なんなんですかその素敵な表情はっ!?

 殺す気ですか? 殺す気ですねっ!?

 思わず鼻血で噴水してしまう所でした。

 〈愛の戦士〉になって良かったと心底思います。

 にしてもあのへっぽこ魔女め、スグル様に近づきすぎですよ。

 なおも盗聴しているとこんな会話が聞こえていました。

『そういえばアイーシャ』

『何?』

『最近さ、誰かに見られてるような気がしてならないんだよね』

『ああ、それはわかる』

『それに、毎朝起きると宿の部屋にあるテーブルの上にさ、無くしてた僕の私物とすみませんって書かれた紙と、いくらかのお金が置かれてるんだよね……』

『えっ……ちょっ、何それ』

 私はそれ以上、会話を聞くことなく、隣を向きます。

 そこには今まさに逃げんとするアモネの姿。

「こらこら、そこなアモネさんや。何をしているのかな?」

 私はできる限りの笑顔でアモネを呼び止めます。

 肩を大きく震わせて、ゆっくりと振り向くアモネ。その顔はこれでもかというくらいにひきつってます。

「えーっと……その…………ちょ、ちょっとトイレに行こうかなー、なんて……」

「言いたいことはそれだけか。

【ロックランサー】」

「理不じ――っ!!」

 岩の槍でぶっ飛ばされるアモネ。

 やれやれ、〈私の物〉に勝手なことをすからだ。

 それにしても、スグル様の手料理か……。食べたいな……。

 よし、今度はスグル様の手料理だ!

 決意も新たに、私は再びスグル様観察に精を出す。



いかがでしたか?

正直、自分でもやまなしいみなしおちなしな気がしないでもありません。

でも実は結構気に入ってたり……。

まあ、何にせよ面白いと思っていただけたら幸いです。

それでは、また。


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― 新着の感想 ―
[一言] ほのぼのしてて可愛いですね。短編で終わらせるには惜しいネタだと思いました。
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