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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ヤマゴヤ

作者: 聖徳ゴブゴメリ

俺は山奥のとある村で生まれた。集落と言ったほうが良いだろうか。この発展した今の日本でコンビニすらない村。下手したら縄文時代を思わせるようなところで幼少期を過ごした。

街は約20キロメートル離れた場所にあり、百人ちょいくらいの住民が暮らしていた。もちろん他の地域の人が訪れる理由もなければ、よそ者はできる限り排除する風潮もあった。

幼稚園や学校は一切ないが、勉学を教える先生の宅で国語や算数などを習った。同年代の子供は自分の他に四人ほどいて、毎日のように暗くなるまで外で遊んでいた。

俺が八歳のときだ。


五人でかくれんぼをしていた。神社の境内あたりを中心にして、いつも通りやっていた。


「村の奥にある山小屋には近づくな」


村の住民はしつこいくらい子供たちに言っていた。死んでしまうぞ。と、


「じゃあ、今日はみっちゃんが鬼ね。」

「わかったよー。みんな難しいとこにかくれないでよね。」


みっちゃん、久遠(くおん) (みち)は神社の神主の娘だ。巫女としてさぞかし大切に育てられている。目は大きく顔が整っていてみんなのアイドル的存在。この世にこんな子が存在するのかというほどに可愛かった。性格も優しく、少し怖がりで臆病なところも全部ひっくるめて可愛くて仕方なかった。


「じゃ、よーいスタート!」

みんな一斉に散らばり、鬼のみっちゃんは目を隠し三十秒数える。


さて、どこに隠れよう。

山小屋は危険だし、いつも通り境内の奥の方にしよう。


「たけしくん、みーつけた! 」

「えー、はやいよー」

「たけしくんいつもここら辺に隠れてるからね。」


申し遅れたが俺の名は御厨(みくりや) (たけし)かっこいい苗字とたけしという名はどちらも気に入っている。


「じゃ、他のやつ一緒に探すか」


二人見つかったがあと一人の下屋敷(しもやしき) 保志(やすし)、通称やっすんがみつからない。


やっすんは俺の一個年上で一番親しい友達だった。


「やっすんどこに隠れてんだろ」

「もうだいたい探したもんなー、もしかして、山小屋の方に行ったんじゃないか」

「山小屋の近くで呼んでみよう。でも、やっすんいつも見つかるの最後だから、普通に呼んでも出てこないはず」

「やっすーん、出てきたらみっちゃんがチューしてくれるってー」

「ちょっと何てこと言うのよー(><)」


それでも、やっすんは出てこなかった。


「よし、山小屋の中を見てみよう」

「絶対だめだよ。だって近づいたら殺されちゃうんだよ。山小屋の住人に」

「でも、どこで呼んでも出てこないじゃないか。ここにいるとしか考えられない」

「四人いるからきっと大丈夫だよね。」


有刺鉄線や柵などあり、簡単には入れないようになっていた。しかし、有刺鉄線の一部が切れている。そこから入れそうだ。


「たけしくん!慎重にね。」


なんとかくぐり抜け、他の三人も続く。


扉についている南京錠を誰かが力づくで外したような痕がある。


すると、急に扉がギギーッという音をたてて開いた。

暗くて見えないが人影がある。


「オギャグザマ、イラッジャーイ。」


ヤバいと思ったその時、俺はとてつもない力で中に引っ張り込まれた。他の三人は涙目でこちらを見ている。


「おい!はやくにげろ!」


そうみんなに言った瞬間扉は閉じた。


「たけし、ごめんな」

「え、やっすん?大丈夫?」


「キビモカオガヂッサイネー」


なんだこの人? 化 け 物?


暗くてよく見えかったが、とりあえずそいつは頭が異様にでかい。でも、首から下は小さく、手足は相当短いように見えた。


恐る恐る持ってたランタンを点ける。


「アバー 」


その化け物は、やっすんの頭に噛みついていた。目が顔の半分以上あり、口もでかい。そして、やっすんも顔がでかくなっていて、他の部分はちいさくなっていた。俺は恐怖のあまり、失禁していた。


「ギビモガッゴヨグナッデギダネー」

「ヅギハギビノバンダネー、オギャグザバ」


やっすんはもう顔から血の気がなくなっていた。


「おいやっすん!しっかりしろ!」


「ヴァー、バク!」

「くそー!はなせ!」

「キビモボグミダイニナルンダヨー」


他の三人は、神社にいるみっちゃんの父さんを呼んだ。

「お父さん!どうしよう!たけしくんが山小屋に入っちゃった!」

「な、なんだと!いかん、もう手遅れかもしれん!すぐむかうぞ!」


みっちゃんの父さんは勢い良くヤマゴヤに向かい、三人もついていった。

「よし、ドアを開けるぞ」

ギギッ

「アダラジイオギャグザマ、イラッジャーイ」

「ヒサシ、もうやめるんだ」

「ナニジニキタ?」

「頼むから、これ以上人を殺さないでくれ」

「チガウヨ、ガッゴヨクシテルンダヨ」


みっちゃんの父さんは大きな剣のようなものを取りだし、


「ヒサシ、本当にごめんよ。こうするしかないんだ。」


そう言って、化け物に刺した、何度も何度も。


「ギャー!!アビャ!オビビ!ギャビ!グッ!」


化け物は力尽きたように見えた。

すぐさま駆け寄り、

「おい!たけし大丈夫か!」

「お、俺は大丈夫だけど、やっすんが・・」


その後、住民で山小屋は取り壊そうとしたがなぜか壊れなかった。今は絶対誰も入れないように工事されている。


俺は気になっていたあの化け物のことをみっちゃんのお父さんに尋ねた。

「みっちゃんのお父さん、あの化け物のこと、ヒサシって呼んでたけど知り合いなの?」

「あれはな、俺の息子なんだ。」


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