7話:大人にならないとわからないことは沢山あるようでないようである
落書きを終えて暫くすると委員超がお使いから帰還した。
「………それは?」
「ヴァファ○ン」
頭痛薬以外の何物でもないな……。
「そっちは?」
「ボラ○ノール」
「誰が使うんだ?」
「……それを聞く?」
「ごめんなさい。なんでもありません」
触れてはいけない内容だった……これからは要注意だな。
「そこのは?」
「世異露眼」
「あのなぁ……俺が頼んだのは風邪薬じゃなかったか?」
「ちょっとしたユーモアでジョークよ。ワカメが欲しがっているのはこれでしょ?」
はい。といって肱岡は俺に目的のものを手渡した。
「………これは………ネギだな」
「ネギだよ」
「このボケナスがあああああぁぁぁぁぁ!!!!!!てめぇはネギで風邪が治るなんて都市伝説を信じてんのか!?!?」
「風邪はネギで治るわよ」
「夢見るのは寝てるときだけにしろや!ネギで風邪がなおるだと!?馬鹿も休み休み言え!なんか証拠でもあんのか!?」
「証拠はあるわよ。私のママはネギで風邪治ったもの」
「ほう。それは面白い。話してみろ」
「あれはまだ私が幼く純粋無垢なロリッ子だった時の話しよ。ある日の夕食の後『きょうかちゃん、ママ、風邪引いちゃったから、今日は別々に寝ましょうね』『いやー!きょうかママと寝るー!』『駄目よ!きょうかちゃん!きょうかちゃんにまで風邪が移っちゃッたら大変でしょ!』『でもー』『こら、こら、きょうか、そうママを困らせるものじゃないよ。ママはきょうかの為を思っていっているんだから』『う〜……わかった……』とまあそんな感じで言いくるめられたの」
「それで?」
「そのあとパパはママの看病するからって言って、結局、私は一人で寝ることになったわ。それで一度は眠りについたのだけど、やっぱり一人じゃ不安だったみたいで、夜中に目が覚めてしまった。ふっとそこで私はママの事が心配になったから様子を見に行くことにしたの」
そこで肱岡は一度話しを止める。
「ん?どうかしたか?」
「この先は18歳未満のお子様には少し過激な表現になるけどそれでもいい?」
そんな爆弾発言をさらっと言う委員超。
「俺としては大・歓・迎!なんだが……流石にまずいので放送できる範囲でお願いします」
「わかったわ。簡潔に端的にわかりやすく、そして放送できる範囲で説明するわ」
「おう。よろしくたのむ」
「ママの様子を見に行った私の目に飛び込んできたものは、パバがママの前と後をネギで攻めているところだった」
「ギリギリアウト!!!」
「ギリギリアウトは実はセーフだったのよ」
「あっ、そうなの?それなら何にも問題無しだな」
そうかギリギリアウトはセーフだったんだな。よかった。よかった。
「それより、ワカメずっと気になってたんだけど……」委員超にしては珍しく迷ったような感じで語尾を濁した。
「ん?肱岡どうかしたのか?」
「いや、なんてゆうか、下であったときは、たいして気にもとめなかったんだけど……さっきから喋り方がいつもと違うから……」
「あ?喋り方なんていつもとかわらな――――あ」
―――やばいな………。
そういえばさっきから、ずっと喋り方が昔に戻ってた気が……。
途端、全身から滝のように冷や汗が沸きだしてきた。
「き、気のせいです!俺はいつもと何等変わりありませんよ!」
慌てていつものように話して笑っては見せたがいまいち効果は薄かった。寧ろ逆効果。
急に喋り方を戻したことで、疑いの目を向けられる。たじたじになり視線がさ迷いまくる俺。
「……なんか理由でもあるの?」
そして、やっぱり鋭い委員超。
「天誅!」
「なっ!?」
目にも留まらぬ速さで委員超の後ろに回り込む。さっとポケットからなんか嗅いだら眠くなる液を染み込ませたハンカチを取り出す。それを委員超の鼻と口を覆うようにに押し付ける。
俺の予想外の行動に委員超は全く反応できず俺にされるがまま。
少しもがくも瞬く間に委員超の身体から力が抜けていった。やがて意識を失った委員超の身体からは完全に力が抜けバタッと音を立てて倒れた。
「……悪く思わないでくれ……俺はまだ死にたくないんだ」
意識を失って倒れている委員超を見下ろして俺は冷たくそういったのだった。
あの状況で委員超相手にごまかすのは多分、不可能だった。
やむなしの武力行使だ。世に腹は変えられない。危険因子は全て潰す。
委員超を信用していないわけじゃない。信用しているからこそ絶対に言えない。言ったらまず間違いなくいろんな意味で俺は死ぬ。
忌まわしい過去そして約束。
大変、精神衛生状良くない。胃がキリキリ傷んで仕方がない。
俺はいつになったら解放されるのだろうか?
この時はまだ近い未来にこの苦しみが解放されるとは考えもしなかった。
『ワカメと悪魔』はコメディーです。シリアスになることはありませんのでよろしくお願いします。