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《紫色編》20話:サブタイトルに意味などありはしないのですよ


「青夜さん、青夜さん」


「ん?どうした恵?」


「青夜さんは休日の昼に一人でファミリーレストランにくるような淋しい野郎なんですか?」


そんなことを聞いてみる。


勿論、自分のことを棚の上にあげることを忘れはしない。


「そんなわけないだろ」


素っ気なく否定された。


「それじゃあれか!男か!?男なんですね!!俺に告った翌々日には違う男と待ち合わせして、遊んでるような尻軽女だったんだな!?うせろぉう!!!貴様の顔なんぞ見たくもないわ!!!消えてなくなってしまえ!!!この阿婆擦れが!!!」


「な!?そ、そんなわけないだろ!私はただ、たまたま、ここの前を通り掛かって、たまたま、窓の外から店内を見たら、たまたま、恵を見付けたから、来ただけだ!!!だいたい、私が好きなのは恵だけだ!!他の男などにうつつを抜かすわけがないだろ!!」


「うつつをぬかせ!!他の男を見ろ!!俺より、いい男なんて、そこら中にわんさかいるだろ!!おまえは勘違いしてるだけだ!!」


「そんなわけないだろッ!!他のどんな男より恵が一番いい!!私にとって恵以外の男など考えられない!!」


「おまえら少し落ち着かんか?」


徐々にヒートアップしていく俺達を見かねたディレシアが口を挟んできた。


「む?君はディレシア。なぜ、こんなところにいるんだ?」


「ふむ、私がいることに気がついていなかったとは……愛故にといったところかのう……まあ、よい、ゆかり、とりあえず腰を下ろしたらどうじゃ?そう、騒いでいては注目の的じゃぞ」


「ん、それも、そうだな」


言われて青夜はごくごく自然な流れで俺の隣に腰をおろした。


「隣に座んな」


「気にするな」


いや、凄く気になるから。


そして、青夜は肩と肩が触れ合う距離まで詰めてくる。


「近い。もう、ちょっと離れろ」


「いいではないか。春も終わり、もうすぐ冬だ。人肌でぬくぬくしたい時期ではないか」


そして、さらに青夜は俺にその身体を擦り寄らせ、ぴたりと引っ付く。


確かにもうすぐで春も終わり、これから徐々に寒くなっていく時期だ。春冬秋夏、季節の移り変わりは早いものだ。


「それなら目の前に抱き心地抜群そうなロリッ娘がいるだろ」


ディレシアを指差す。身長、体格、肉付き、髪質、見た目は完全完璧。俺の好みにミリ単位のズレもないどストライク。


実はさっきから俺の内側から流れでるドロドロな欲望を抑えつけるのに必死だったりする。


今すぐにでも目の前のロリッ娘をお持ち帰り〜したかった。


「ロリ言うなバカタレ」


「ロリを誇りに!!」


「何を言ってるんだ恵?」


「魂の叫びだ。おまえにはわかるまい」


「?」


なんのことだ、と首を傾げる青夜。青夜、おまえには一生わからんよ。


「青夜」


「どうした恵?」


「改めて言おうと思う。俺は、はっきり言わないままで、いつまでもぐだぐだで、ぬるま湯に甘えて、ドロドロした関係になるつもりはない」


自分の気持ちには正直に。


「俺はおまえの恋人にはなれない」


「……理由はなんだ?」


「年上巨乳は無理ッ!!」


「却下ッ!!!そんな理由が認められるかッ!!!」


「認められるわッ!!とにかく!!もし、本当に俺のことが好きだっていうなら、そのまったくの無意味な、でかい胸をペタンコにしてからきやがれ!!話しはそれからだ!!」


「無茶苦茶言うな!馬鹿か君は!?そんなこと出来るはずないだろ!」


「あーあ、巨乳なんてこの世からいなくなればいいのに」


胸なんてあっても邪魔なだけだろうに。なんで、どいつもこいつも大きいのに憧れやがるんですかね。


「とにもかくにも俺は年上巨乳のおまえとは付き合えないからな。ごめんなさい」


まあ、他にも理由はあるんだがな。言う必要はないだろう。


しかし、案外、すんなり言えるもんだな。勢いに任せてる部分が大半だけど。


いろいろと悩みはしていたが、結局、俺の中に答えは最初からあった。


たとえ、青夜を傷付けることになっても。


「恵、君がどう思っていようと私の気持ちは変わらない」


「奇遇だな。俺の年下貧乳好きも変わらん」


「それは私が君を諦める理由にならないな」


それでも青夜はとくに気を落とすでもなく、しれっと言った。


「あっそう。まあ、頑張ってね」


「そういっていられるのを今のうちだけだ。必ず君を私抜きではいられない身体にしてやろう」


面白いことをいうじゃないか。


この俺を年上の巨乳キャラが篭絡するだと?


いいだろう!その勝負、受けてたとうじゃないかッ!


「ところで、何故、ここにディレシアがいるんだ?」


青夜がそういえば、みたいな感じで、今更、そんなことを聞いてきた。


「私か?私は休日の昼をワカメと二人きりで愉しくすごしておっただけじゃぞ」


ディレシアは、ちょっとだけ意地の悪い笑顔を浮かべて言った。


おそらく、楽しんでいるのではなく、愉しいんでいるんだろうな。


「な……!?ちょ、ちょっと待て!それはどうゆうことだ!?ディレシア、君は……。ワカメとは一体、誰のことを言ってるんだ!?」


「そこかよッ!」


「こやつのことじゃ。若林恵。若林のワカと恵のメをとってワカメじゃ」


「知ってる。確かシンディがそのように恵のことを呼んでいたからな」


「結局、何がしたいんだ?」


「理由を聞くのか?君はそんなものあると思うのか?」


たいして面白くもないボケをかましやがって。


「それで、恵とディレシアの関係はどうなっているんだ?休日の昼に仲良く二人きりで食事とはどういった了見だ?」


心なしか機嫌が悪ーい青夜さん。これがあれか、噂に聞くヤキモキか?


「そんなところかのう。私とワカメは仲良しさんじゃな」


まだ、出会って数十分程度しかたってはいないはずだけど……あえて否定はしない。


「そして、午後からは私とワカメは二人ででーとじゃ」


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