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《紫色編》12話:呪いなんて言葉はこの世に存在します


――ワカメ、てめぇの魂は俺が貰った。今のてめぇはからっぽだ。魂の抜け殻、残りカスだ。後、2、3年…そうだな、20歳を迎える頃にはてめぇの寿命は尽きる。


何もしなけりゃ、てめぇは死ぬ。


何もしなけりゃだ。てめぇは俺と簡単な勝負をしてもらう。俺達悪魔にもルールがあってな、人間でいうところの法律みたいなもんだ。そのルールには魂を奪った時のルールもある。


ルールは簡単だ。魂を奪った相手と勝負をする。その勝負にてめぇが勝てばの魂は返してやる。負ければそのまま魂は俺のもののままだ。


安心しろ、勝負つっても難しいもんじゃねぇ。誰にでも出来るし誰にでも勝てる可能性はある。


勝負の内容はてめぇが二十歳になるまで今から俺が言う言葉を『覚えてなかったら』てめぇの勝ちだ。


簡単だろ?


今から言う俺の言葉を忘れればいいだけの話だ。


忘れるんだ。


覚えてるんじゃない。


忘れれば魂は返してやる。てめぇは二十歳で死ぬこともねぇ。


だけどな。


てめぇがもし俺の言葉を覚えてたら、そん時は魂は返さねぇ。


それがどういうことだかわかるよな?




――てめぇは俺の言葉を忘れなければ二十歳で死ぬ――




わかったな?


まあ、今、理解しても起きたときには俺の言葉以外全部この夢のことは忘れてるんだけどな。


それじゃ、そろそろスタートだな。


今から言う俺の言葉、忘れんじゃねーぞ!





目が覚めた。意識が徐々に明確になる。


「うー……なんでか、身体がめりっさだりぃな……」


上体を起こし辺りを見回して軽くデジャビュー。何故だろうか初めてのシチュエーションなのに覚えがある。


なんか世界の理的なそんなやつ。


まあ、簡単で簡潔に状況の確認でもするとしよう。現在、赤子の部屋のベットの上で赤子と一緒に寝ていた。


また、この状況かよ!


ん……?まて、こんな状況初めてのはずだぞ。何で、俺は『また』とか言ってるんだ?


「さて、どうしたものか…」


やばい状況なのにも関わらず意外と落ち着いていた。


それもそのはず、何てったって今の俺は服を着ている!


そして、隣で寝息をたてている赤子も当然のように服を着ている!


「故に俺の貞操は守られた!」


「んー……なによぉ……朝っぱら、うっさいわねぇ……」


「起こしたか?」


「起こされたのよ……――って、なんで恵が私と一緒に寝てんのよ!?」


「あぁー……腹減ったな。なんか食うもんないか?」


「ちょっとなんでスルーすんのよ!ここは慌てふためきキャッキャウフフな甘酸っぱい雰囲気になる展開でしょ!?」


「そんな展開知らん!どうせこうなった原因はおまえだろ?」


「ぶーぶー!」


「ぶーぶー言うな!やっぱり確信犯だったのかよ!」


「別にいいじゃない。幼なじみなんだから。まあ、今回は見逃してあげることにするわ……」


「はあ……おまえのそんなとこ嫌いではないんだがな……」


「ば、馬鹿ッ……!そんな急に愛してるだなんて言わないでよ!」


「なんつーか。おまえはいつもこんな感じなのか?」


「私はいついかなる時も私でしかないわよ。私が私を辞めたら私が可哀相じゃない」


真っすぐな瞳。なんか赤子がかっこよく見えた。やばい、惚れてしまいそうだ。


「それでさ恵、今何時?」


「時間か?えーっと……――」


視線を壁に立て掛けてある時計に向ける。


――8時25分……。


「…………」


「どうかしたの?」



マッハで学校に行く仕度をして赤子と俺の二人でマンションを出た。途中まで一緒に登校するつもりだ。


――現、時刻8時31分――


祝!留年決定!


こうなった以上仕方ない。諦めて重役出勤するとしよう。


俺はやっぱり今日もとうに時間切れの通学路を歩いていた。


「なあ、赤子」


「ん、どうかした?」


「おまえさ『紫の鏡』って知ってるか?」


「紫の鏡?それって、あの都市伝説のこと、それがどうかしたの?」


「んー…それが、よくわかんないんだよ。朝起きてからなんとなく気になるんだ。それで、その都市伝説って、どんな内容だ?」


変わったことなんて案外いっぱいだ。


なぜかはわからないが、朝起きてからずっと、聞き覚えのない『紫の鏡』という単語が頭の中を行ったり来たりしていた。それには何故だか非常に不可解な違和感があった。


「確か二十歳になるまで、その『紫の鏡』って言う単語を覚えていると死んじゃうとか、不幸になるとか、結婚が出来なくなるって話だった気がするわ。たまたま立ち聞きしたてた時に耳にしたことだから、はっきりとは言えないけどね」


「随分、物騒な話しだな」


「所詮は都市伝説よ」


赤子は興味なさ気に返答する。


「おまえはこう言うの信じないタイプか?」


「私は目に見えないものは愛しか信じてないから!」


爽やかな五月の朝のようにすっきりとそういった。表情も朝日に負けないくらい燦々と輝いていた。

そんな赤子はなんだかとってもかっこよく見えたのは秘密だ。





「おめでとう!若林恵君、あなたは留年決定です!」


「先生、留年したくないんで転校することにしました!」


そんな無茶な!?!!!


俺の突然の発言にクラスがどよめいた。


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