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序章:出会いなんてものは大切なものであるはずがないことはない



「おまえ、次、遅刻したら留年な」


前日、担任の田中にそんなことを言われた気がする。


あの野郎、なんか最近、俺への対応がやたらめったに厳しくなってるような気がする。


まあ、そんなこと言ってるが俺が高校二年生に進級してから、遅刻してない日なんてありはしないんだがな。むしろ、入学してから今まで遅刻してない日はなかった気もする。


よく、進級したなー、と自分に感心、自画自賛。流石は俺である。


学校へ向かう準備を終えて、家を出た。


携帯を取り出して現時刻の確認。


――8時27分――。


ちなみにである。俺の通う、私立白黒高校は生徒、及び、教職員諸君は8時30分までに校門を潜らなければ、基本的に遅刻あつかいされる。例外として何かちゃんとした理由があるならば免除されることはあるが、『寝坊しました』なんてふざけた理由では、勿論、駄目である。


遅刻した場合、遅刻した者は『遅刻届け』なるものに、学年、クラス、番号、名前、遅刻した理由を明記して担任の先生に提出しなければならない。


俺にいたっては、遅刻する理由は毎回同じ(寝坊)なので、遅刻届けは一枚書いたら後はそれのコピーを大量にとって提出している。


華麗なる頭脳プレーだ。決して、ズルしてるわけじゃない。


同じ『ズ』から始まる言葉だというのに、これだけ意味が違うとは実に面白い。あまりの面白さに奇声をあげたくなってくる。


「ごぅああああ!?!!とおえあおあ、〜!!うちぃいよおほぇあああああああああ!!あああああああああああ!!!!」


てゆうか、あげてしまった。


あっ、28分になった。


残り2分で校門を潜らなければ遅刻である。それはイコールで留年であり、俺は高校二年生を、もう一年、繰り返すことになるわけだ。


一応、言っておくが、ここから、学校までどう考えても2分でたどりつくには、どんな手を使っても物理的に不可能である。


とりあえず奇声をあげてみた。


「だおらあえああああああえう!!!!いいやぁぁぁぁぁぁぁぁい!!!すきゃりゃああああ!!きだぃぁぃぃぁあまなたかさまなは!!!!」


ふぅ、朝はやっぱりこれだな。


よし!今日も一日、頑張ろう!


さて、そろそろ、周囲の視線も厳しくなってきたし、行くとするか。


走り出す。間に合わないのはわかってはいるが、なんか走った方が、それっぽいので走る。


走っていれば、曲がり角で食パンをくわえ美少女と激突するかもしれないしな。





結局、美少女とはぶつからなかった。まあ、だから、どうしたって話なんだがな。


――8時43分――。


2、3分ならまだ見逃してもらえたかもしれないが、流石に、これだけオーバーしてたら無理だろうなぁ……。



走りながら遅刻の言い訳を10通り程、考えてみたが、どれもしっくりこなかった。


それも当然。口ではどうとでも言えるのだ。結局は、それを信じるかどうかは相手次第だ。普段から真面目な奴の言い訳ならば信憑性もあるのだが、俺みたいな遅刻魔の言い訳なんて信憑性があるはずがない。まさに狼少年といったところだ。


言い訳に信憑性を持たせる物的証拠でもあればいいんだが……。


気が付けば、もうすぐ学校だ。


さて、どうしたものか……。


――そこで、通学路を歩く一人の少女を見つけた――。


その少女は白黒高校指定のセーラー服に身を包み、端から見たら蓑虫にしか見えないような、無駄に量が多く、無駄に長い黒髪をワサワサさせ、その小さな身体に見合わない大きめのヘッドホンをつけていた。


俺と同じ学校で、こんな時間に通学路を歩いていることから考えれば、おそらく俺と同じ遅刻組だろう。


ヘッドホン娘は、とうに時間切れの通学路を悠々自適に、急ぐでもなく歩いている。


ふてぶてしい野郎だ。


少しお仕置きが必要なようだな!


言っておくが、俺が汗水垂らして、必死に走ってたってのに、ヘッドホン娘が余裕で歩いているのにイラッとしたわけではないからな!


俺は音も無く、ヘッドホン娘の背後に忍び寄る。


――さーて、覚悟はいいかな、お嬢さん?――。


手をわきわきとさせながら、心の中でヘッドホン娘に語りかける。

返事はない。あったら恐い。


そして、ヘッドホン娘に手をかけようとして――。



――思い止まった――。



理性を取り戻したわけではない。もとより、理性の塊とまで言われた俺が、理性を無くしているはずがない。


――いいことを思い付いた――。


「ちょっと、そこいくおじょーさん」


「あぁ?」


俺が声をかけるとヘッドホン娘が振り返る。


そして、俺はヘッドホン娘の振り向きざまに――


「天誅ッ!!!」


「なっ……!?」


俺の拳がヘッドホン娘の鳩尾に突き刺さった。


「……て、てめぇ」


「この一撃を耐えますか…なかなかやりますね」


「……な、にしや――」


「天誅ぅう!!!」


「うぐぅぅう!!?!」


気を失ったのか、ヘッドホン娘の体から力が抜けると、俺にもたれ掛かれるように倒れてくる。俺はそれをしっかり支える。


「よっと」


俺はそのまま、気を失ったヘッドホン娘の体を抱き抱える。所謂、お姫様抱っこ。おー、軽い、軽い。


がしゃり


ふと、音がして視線を向けると、そこにはヘッドホン娘のヘッドホンが地面に落ちていた。


殴った時にズレたヘッドホンが、抱っこした拍子に地面に落ちたようだ。


俺はそれを拾って自分の首にかける。


「これは戦利品として貰っておくことにしましょう」


さて、このヘッドホン娘だが、安らかにな眠りにつけるように、しっかりと埋葬してやらないといけないな。


冗談です。まだ、死んでないです。


「どれ、そろそろ学校に行くとしましょうか」


ヘッドホン娘をお姫様抱っこしたまま俺は歩きはじめた。


別の連載中の小説のネタが全く思い付かないので、現実逃避も兼ねて新たに投稿してみました……。飽き性でスイマセン……。でも、こっちは時間の許すかぎりがんばるつもりですのでどうかヨロシクお願いしたす。

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