バイオレンスな案件が多い職場です。1
妖怪ものが書きたかったんです。
妖怪変化の魑魅魍魎や神様たち。そんな彼らと共存していく事になった島国日本。古より神州と呼ばれたこの国はいまや人と怪異があふれ返る国になってしまった。
こうなると、お役所に求められるのは人間と怪異の住みやすい世の中を作るための調整力や調停力が求められる。既存の省庁では対応することが出来ないので政府は新しく「陰陽庁」を内閣府の外局として設置した。
とにかく怪異絡みの案件は全て陰陽庁が担当しているので、時には過激な暴力沙汰に会うことも多くはなく、現場に出向く調停官には武器類の携行か許されるほどであった。
そんな調停官は各市街の役所にある「怪異お悩み相談課」と呼ばれる部署に入り、日夜あっちこっちに奔走するのである。
そして、この男「藤原 フヒト」もそんなお役人の一員である。彼は今、勤め先の役所にかかってきた「腐臭のスゴイ人が襲ってきた」というSOSの電話を受け、急ぎ足で現場のアパートに駆けつけたのである。
アパートの二階にある201号室が通報場所である。フヒトが階段を駆け上ると、異臭を纏った腐乱死体が201号室のドアを破ろうと体を叩きつけていた。ドアの向こうからは阿鼻叫喚の叫び声が響いている。
「うわ、これは酷い….」
フヒトは腰の拳銃に手をかけながら腐乱死体に叫けぶ。
「はいはい!そこの腐乱死体の方ぁ!何してるんですか!やめなさい!聞こえてますかぁ!?」
一通り言い終わっても腐乱死体はフヒトに見向きもせず扉に体を叩きつけている。
「自我は無しっと……最後通告だぞ腐乱死体さん!発砲もやむなしですよー!」
フヒトは腰の拳銃を構える。先ほどの最後通告と共に迷いなく頭に3発撃ちこむと腐乱死体はその活動を止め無残な頭部と一緒に崩れ落ちた。
「ふぅ.45APCで止まってよかった〜支給品のこれあんまり怪異に効かないからなぁ。201号室の方!もう大丈夫ですよー!」
そう言うと、201号室の扉が恐る恐るゆっくりと開いた。隙間から10代の女子大生がおっかなびっくりと顔をのぞかせ、倒れた腐乱死体を見て小さく悲鳴をあげた。
「そそそそソレ!もう動かないですよね!!絶対!!」
「ええ、もう大丈夫ですよ。妖力中枢の脳を完全破壊しましたから。」
「嘘よ!映画とかならこの後わたしを殺しにくるパターンですもん!」
「いや、ですから大丈夫ですって」
「そうよぉ〜大丈夫って専門家がいってるんだから信用なさいな〜」
それは不意だった。まさに、不意打ちのようにフヒトの背後からヌッと白装束の美女が現れ、扉に手いる少女に「めっ」っと人差し指を怯える彼女の唇に添えたのだ。これには少女も訳も分からず目を回し
「ははは、ふわふわ浮いてる………ゆうれぇぇぇだぁぁあ………」
と、卒倒してしまった。
「えっ!?ちょっと、大丈夫ですか!おーーい!しっかりしてください!!」
助けを求めていた者を卒倒させてしまいあたふたと焦るフヒト。その横では先程の女幽霊がふわふわ漂いながらコロコロと笑っている。
結局、救急車を呼び、少女を病院に搬送して貰った。フヒトの戦果は腐乱死体一体と無辜の市民1人が本日の戦果であった。
けたましく遠ざかるパトランプに照らされながらフヒトは心の中で深く大きなため息をついた。
「なんて報告書に書きゃいいんだよ……」
「あら、そのまま書けばいいんじゃなぁ〜い?」
「誰のせいだと思ってるのさヨモツさん!」
ヨモツと呼ばれた例の女幽霊は相変わらず彼の周りを漂い続けた。彼女はただただフヒトに取り巻く女幽霊ではない。彼女はれっきとしたフヒトの式神なのである。
式神とは、調停官に着く守り神の様なものであり、調停官が困っ時に色々と助けてくれるのである。まぁ、調停官に味方する怪異である。
「じゃあ次はあの腐乱死体の発生原因探さなきゃね」
「あらあら、帰るんじゃないのねぇ」
「当たり前でしょ、ちゃんと原因まで調べないと課長に叱られるよ」
「それはおっかないわねぇ」
そう言いながら1人と一体は再度アパートに足を運んだ。
ヨモツは巨乳です。この設定は天地がひっくり返ろうと罪に問われようと変える気はありません。
もし、わたしが道を踏み外し巨乳設定を変えてしまったらその時はお願いします。