第三話 Border Line 03
10◆ 連携 シーンプレイヤー:伊勢四郎
菅野と別れた後の伊勢の行動は早かった。
自身の能力を駆使して、月島の居場所を独自に探しだす。
全ては、あの方の為に―――――……。
GM: では次の……。
伊勢: はーい! はーい!! つっきしっまさぁ~ん♪ と街に探しに行きます! そして《ウサギの耳》!! 月島さんを発見しました!
月島: まあ、分かるだろうね。いいよ、出てくるよ(笑)。私は汗だくになりながら街をぱたぱたと走り回っていて、一軒の美容室に入ります。
一同: ヤバい!!
月島: 私は予約してあったチーフスタイリストの畑中さんに声をかける!
「(畑中になって)よぉー涼ちゃん、ひさしぶりだねぇ!」(月島になって)あ、あの! これこれこういう男の人を見ませんでしたか!?「(畑中になって)ん? いやー、しらないなぁ……。」(月島になって)そうですか! ありがとうございました!! ぱたぱたぱた「(畑中になって)あれー? 涼ちゃーん! ストパーはー?」(一同爆笑)
伊勢: あれぇ? ボクが止めなくても勝手に止まっちゃったぁ。
月島: はい、一人芝居に付き合っていただいてありがとうございました。で、その美容室から出てきたところでばったりと出くわす。
伊勢: あぁよかった~。月島さんこんなところでどうしたのぉ~?
月島: 伊勢さん……。
伊勢: 聞いてよ月島さぁん。もう88%になっちゃっ……ああ、そうじゃなくてぇ~。色々調べていたら、面白いことが判ってねぇ?
月島: えっと……今、私あんまり時間ないんだけど……。
伊勢: うん、多分大丈夫。きっと月島さんにとっても有益な情報だからぁ~。
月島: ……分かった、聞くわ。
伊勢: ここで、UGN側があえて菅野チームに情報の一部を隠匿していると。つまり、本当は日野君じゃなくて、UGNの中に怪しい人が居るということを教えて、それを突き止めるには月島さんの力が必要なんだよぉ~。
月島: 実は私の中の人も同じ意見なのよ(一同爆笑)。
GM: コラっ!!
伊勢: でねぇ~。あのオッサンは素直じゃないっていうか、ツンデレだからさぁ~。なんか連絡取りづらいみたいでぇ~。
月島: ん……じゃあ伊勢さんに頼もう。日野君を、見つけたいの。八重樫さんより先に。協力してくれる?
伊勢: うん。分かったよぉ。じゃあボクの最後の情報収集チームを使おうかなぁ。
月島: よし、じゃあいつものいきますか!
GM: なんだこの流れるようなコンビネーション。
月島: 狙ってたかのようだよね(笑)。《導きの華》ーっ!!
GM: では、日野君を探すんだよね? では、<情報:観鏡市>です。
伊勢: 観鏡市ぃ?
GM: ただし! 月島が一緒に居る場合、この判定の目標値は大幅に下がります。何故かと言うと、貴方は日野が潜伏しそうな場所に心当たりが幾つかあるからです。
月島: ……私がサポートをするということで、それを伊勢さんの判定時に適用することは可能?
GM: うーん……まぁ、それは認めましょう!
月島: わかりました。まあ、私には大体どこにいるのか分かっているんだけどね(一同笑)。
伊勢: じゃ、いきまぁす!(ダイスを振る)あ、クリティカルしたー、27。《妖精の手》を使う?
月島: 要らないでしょう。
GM: 大丈夫、分かりますよー。思いつくのは二箇所。一つは日野のマンション。ただ、こちらは日野のパーソナリティを調べればすぐに判っちゃいますね。
月島: そうだねー。
GM: もう一つは、日野が任務の際に使っていたセーフハウスが思いつく。
月島: おお!!
冬也: そこで電話が鳴ります(←登場)。
伊勢: もしもしぃ? あ、ボクの電話じゃなかったぁ~(一同爆笑)。
月島: 電話を取るよ。
冬也: 『もしもし? ……月島、さんっスか?』
月島: え? もしかして今の、嬉野くん?
冬也: 『え? あ、ハイ……。』
月島: 私のこと、月島さんって呼んだ?
冬也: 『え……あ、えと……(恥ずかしそうに)はい。』
月島: (スルーして)それで?(一同笑)
冬也: さっきこっちで調べた襲撃者の情報を流しつつ、『自分としては、八重樫支部長より先に、日野の居場所を突き止めたいんス』と話す(一同笑)。(素になって)いや! 元々これを伝えるシーンをしたくて、タイミングを伺ってたんですよ!
月島: いいね、面白いね。じゃあ、今、伊勢さんといるんだけど、今から日野君のセーフハウスに乗り込むつもりなの、と伝える。
冬也: 『そうだったんですか……。』伊勢さん居たんだ、と思いつつ。
伊勢: あのね? 知らないかもしれないけど、今、ボクのシーンなの。
月島: このことは、八重樫さんには伏せておいて欲しいの。あとは任せる。
冬也: 『わかりました。』
月島: 時間と場所を伝えて、電話を切る……のかな?
冬也: うーんと……。
月島: このシーンのうちに菅野に伝えておかないと、来たくても来れない状態になっちゃうじゃない?
菅野: シーンに登場します。
冬也: ああっ!? 後ろに立ってたんだっ!?(笑)
菅野: では、うなずきながら後ろで聞いていよう。
冬也: はうあっ!?
GM: キミが電話中ふと振り向くと、気配を消していた菅野がいる。
冬也: まぁ……聞かれてたんなら、全部喋ります。
伊勢: もうボクのシーンじゃないよぉ?(一同笑)
菅野: おっさん、協力したほうがいいかな?
冬也: しばし悩みます。
菅野: おっさんが協力したほうがいいなら協力するし、しないほうがいいならついていくだけにするよ?
冬也: それって結局、協力してるってことじゃないっスか……。といいつつ、協力をお願いをしたということで、シーンプレイヤーにシーンをお返しします。
伊勢: あ、戻ってきたぁ。
月島: まあ、あとはシーンを切るだけだよね。
伊勢: うん。
月島: では、ポケットから期限が今日までのストパー割引券を取り出して、それをビッと破いて―――――(一同爆笑)。
「日野君、待っててね……。」
そう呟くと、月島は日野のセーフハウスの方へと走って行った――――。
11◆ 約束 シーンプレイヤー:月島涼
GM: では、月島のシーンです。登場は任意ですね。
月島: ああっ! 登場で10侵蝕率上がったー!! 侵蝕率ボーナスついたー。
伊勢: おめでとうございまぁす。
月島: えー、私は、待ち合わせ時間よりも10分早く着いて、先に中に入っちゃうんですねー。
伊勢: 入っちゃうんだぁ。
GM: では、セーフハウスの中は、コンクリートの打ちっぱなしで、殺風景な部屋だと思ってください。
月島: 地下室? 地下室?(←何故か嬉しそう)なんかこう、民家の間に入り口があって、みたいな。
GM: じゃあそれでいきましょうか。入っていくと、そこに居るのは椅子に座っている日野だね。
月島: うん……。
GM: 「……お前ならここが分かると思っていた。」
月島: てへ♪ 来ちゃった☆(一同笑)
GM: では、コーヒーメイカーでコーヒーを淹れながら、しばらく沈黙の時間が続く。
月島: 日野君、身体は大丈夫なの?
GM: 「……もう長くない。」
月島: !
GM: 「一線を越えてしまっているのは間違いない。もう、昔の君のことも少しずつ思い出せなくなっているんだ……。」
月島: むむむ……。
GM: 何度も言ってるけど、日野がジャームであることは変わらないです。
月島: GM、実は前回、思い出の一品というのを固定化しているんですよ。
GM: ほう。
月島: ペンダントがいいかな。これを……って言って、つがいのロケットを。
GM: おお!
月島: 一個は自分の首にかけて、もう一つを日野君の首にかけます。
GM: うん。
月島: 確かに、貴方がジャームになったっていうんだから、それはそうなんだろう。そして、段々と人間の心が失われているのも、そうかもしれない。だけど、最後の瞬間までなんとか足掻いて生きて欲しいなって私は思ってるの。だから、もし人間の心を忘れそうになったら、このロケットを見て、皆のことを思い出して?
GM: 「……俺の望みは、その心が残っているうちに終止符を打つことだ。UGNに撃たれたりFHに狩られるくらいなら、君の手で――――……。」
月島: にっこり笑って、無理っ!
GM: いいねぇ。
月島: ぐちゃってなるもん(一同爆笑)
GM: そんな理由っ!?
月島: ……最後まで諦めないって約束してくれるなら、最後の最後、どうしようもなくなったときには、私がどうにかしてあげる。
GM: ピロリロリーン!
一同: フラグがたった!?
GM: 「――――約束しよう。」
月島: じゃあ約束はこうしよう。このロケットは、私たちの絆が残ってる証とします。ので、もしこれが首から下がっていなければ、もう元の日野君の意識じゃないと見做すことにします。
GM: 「わかった……。」
月島: でも、絶対故意に外しちゃダメだよ? 約束だよ?
GM: 「ああ。」
月島: 日野君は昔から、約束を破らないからね。
GM: 「……。」
月島: ……そうだ。ねえ日野君、何で病院抜け出したの?
GM: 「……あの夜、襲撃を受けた。そいつからはなんとか逃れたが、あそこは危険だと思ったからな。」
月島: 襲撃?
GM: 「ああ。俺を襲ったのがUGNかFHかは分からないが、得体の知れないヤツに殺されてやる理由はない。」
月島: ん……そうだね。と、このシーンで得られることはこのくらいかな?
GM: では最後に一つだけ。「君の今の状況は認識しているつもりだ。手助けになる情報かもしれないから伝えておこう。」
月島: お!
GM: 「君を逃がした後、ジャームに囲まれた俺が、次に意識を取り戻したときには、目の前に三人の男が居た。一人はモノクルをつけた長身――――アルフレッド・J・コードウェル。もう一人は短髪の白衣の男。残る一人のことは、よく覚えていない。」因みに二人目は、桐生孝之です。
月島: 三人目の特徴を、kwsk(一同笑)。
伊勢: “コールドモノクル”なんでしょ?
GM: さぁ? どうでしょう。で「桐生が『私の実験を使えば君の意識を保つことが出来ます』と言った。……その時の俺には心残りがあった。俺は――何も分からないまま死ぬのは、嫌だった。」衝動の渇望、ってことね。
月島: …………。
GM: 「後戻りが出来ない俺に終止符を打ってもらいたくて――――俺はその申し出を受け入れた。」で、結果は前回の擬似レネゲイドビーイング化ということになります。
月島: なるほど……。
GM: 「その後の記憶は曖昧だが、奴らは俺に何かを埋め込んだらしい。結果、俺の中にもう一人の俺が住み着くようになった。」
月島: ほうほう。
GM: 「明確な意識はなく、衝動を叩きつけてくる感覚だった。」……で、ルール的な話をすると、侵蝕率が100%で固定されていると思ってください。
菅野: 100%固定だったんだ。
GM: レネゲイドビーイングの特殊エフェクトの中に《スティルネス》という他者の侵蝕率を吸い取るものがありまして、それの拡大解釈で、ジャームである事実は覆らないけれども、極力衝動を抑えていたと。
月島: いわゆるジャーム的な動きをしないようにしてたと?
GM: 肩代わりしてる感じだね。まあ、もう日野君の中には居ないけども。
月島: ん?
冬也: 前回剥がしちゃいましたもんねぇ。
月島: おぉうっ!?
GM: さっき言った、少しずつ君のことが思い出せなくなってるっていうのは、侵蝕率が上がってるってことだと思ってください。
月島: な、なるほどー……。えと、悪い! 伊勢さん出てきてくれないか? 情報共有しよう。
伊勢: 出てきたよー。6上がったよぉ。
月島: ごめん(笑)。でも、桐生のことだから。この情報を知ってもらいたい。
伊勢: そうだねぇ~。
月島: じゃあ、分かった……。って言って部屋を出ると、丁度集合時間ということにしようか。
冬也: お、じゃあ登場で!(ダイスを振る)
菅野: こっちも(ダイスを振る)。
月島: ……えへ、行ってきちゃった。日野君居なかったよ、って言っちゃう。
伊勢: ああぁ~、残念。
月島: ……ねえ、伊勢さん。FHにこういう特徴の人って、居るかな?
伊勢: あぁ~、居る居るぅ。桐生くんって言ってねぇ~?
月島: コードウェル博士と、その桐生孝之ともう一人……は正体不明なんだけど、その三人の研究の結果、日野君が前回の状態になったということを話します。
伊勢: なるほどねぇ~(←すごく楽しそう)。
月島: ねえ、伊勢さん! ……埋め込むレネゲイドビーイングを手に入れることって出来ないのかな?
伊勢: そうだねぇ~。手に入れたかったら襲撃するしかないよぉ~。
月島: 襲撃かあー……そっか、分かった。
冬也: まさか行く気じゃあ?
菅野: おーい、嬢ちゃーん?
伊勢: 前回、“オリジナルシン”ってセル出てきたでしょお? そこが研究してるみたいだから、それを叩き潰さない限り無理だよぉ~。あっはっは~。
月島: 今、月島はそれを、副作用は分からないけれども、ジャーム化を抑える新薬として捉えています。ので、こっからはそういう考えで動こうかと思うんですが……。
伊勢: ヤメたほうがいいんじゃなぁい~?
月島: プレイヤーもやめたほうがいいと思ってる(一同笑)。
伊勢: ところでさぁ? 月島さん。
月島: はい?
伊勢: 日野君は、ソレを入れることを、本当に望んでいるのかなぁ?
月島: !!
伊勢: どう思うぅ?
月島: もしかしたらこれは、私の気持ちを押し付けてるだけなんじゃないかって、悩み始めます。
伊勢: さっき、衝動をバンバン叩きつけられるって言ったよねぇ? 衝動判定を毎回やって、暴走してるようなもんだと思うよぉ? タイヘンだよぉ~?
月島: それは、今度の私のプレイヤーシーンまで考えておくよ、伊勢さん。って言っておく。
伊勢: う~ん、メタな発言が混ざってるねぇ~(一同笑)。
GM: そろそろシーンを切りたいんだけど……。
伊勢: あ! 終わる前に、“ククルス”について調べてもいいかなぁ? こないだのシナリオで、<情報:ウェブ>のククルスの項目が出きってなかった気がするんですけど……。
GM: ああ、前回の延長でいいですよ。伊勢は、住所を見たときに“ククルス”のアクセスポイントと桐生のラボの場所が一致することが分かります。
伊勢: 分かりましたぁ~。じゃあ今度、遊びに行ってみよう~。
月島: では、私は<調達>判定を。拳銃を調達します。(ダイスを振る)……成功!
GM: では、これで二日目が終了です!
一同: はーい。
12◆ 違和感 シーンプレイヤー:嬉野冬也
「久しぶりに君の実力が見たくなったよ」
八重樫のその言葉を受けて、冬也は久方ぶりになる八重樫との稽古をしに、訓練場に来ていた。
GM: ということで、ここで、こちらからのシーンを二つ投げたいと思います。
一同: お?
GM: まずは嬉野から! ……キミは八重樫と共にチルドレンの養成施設内にある訓練場に来ています。
冬也: はーい。
GM: 「君の戦闘スタイルを……」って言っても、どっちかっていうと……なぁ?(笑)
冬也: 大丈夫です! 最近戦闘出来るようになったんです!! ってところを見せます。
GM: なるほど。では、君が炎を纏った拳で攻撃をすると、「ほう……。」と感嘆の声を上げつつ、八重樫が冷気を纏ってそれを受け止めるね。
冬也: おお~、さすが!
GM: で、ちょっと距離とって氷の柱をバーン!! とか出しつつ、稽古が進むね。
冬也: ちょっとは、変わりましたかね? ……具体的にはメジャーで移動以外が出来るように(一同笑)。
GM: 「格段の進歩だよ。こんな短期間でここまで成長するなんて、やっぱり君には素質があるんだな。」
冬也: いや……やっぱり実戦は違うというか何というか……(照)。
GM: 「ただ……力があっても、方向性を持たせない限り、それは無駄になってしまう。」
冬也: ?
GM: そう言うと、八重樫は君から一歩、間合いをとる。で、物量があるような殺気をぶつけてくる。
冬也: お?
GM: 「今から僕がFHだ……。だとしたら、君はどうする?」
冬也: え……? あ、想定訓練、ってことっスか?
GM: 八重樫が手の平を地面につけると、君の四方八方から氷の柱が現われて、容赦なく君に攻撃を加えてくるね。
冬也: っ!? それは《氷雪の守護》で防ぎながら、自分では訓練なんだと思って、《蒼き悪魔》とかを使いつつ、自分の使える力を使います。
GM: 明らかに訓練とは思えないくらいの苛烈な攻撃だね。一つ間違うと怪我を負うくらいの。
冬也: おおっ!?
GM: 八重樫からぶつかってくる殺気は本物だし、攻撃も手加減のないものだね。
冬也: では、距離をとって(戸惑ったように)……し、支部長……っ? す、ストレス発散っスか?(一同笑)
月島: なんかかわいいなぁ。
GM: 君が間合いをとったところで、八重樫は言う「こんな風に、FHは君に対して問答無用で攻撃してくることもあるんだよ。」
冬也: ……。
GM: 「君が今まで会ってきた者たちがどんなふうだったかは分からないけれども、有無を言わさず君を殺す実力を持っている者も居るかもしれない。」
月島: 今のところは、前口上のある敵ばかりで助かっています(一同爆笑)
GM: 「そういった時に、僕としては躊躇することは出来ない。……今、僕が本気を出せば、君は死んでいたはずだ。」
冬也: ………それが、三枝さんでも、っスか?
一同: !!
GM: ピロリロリーン!(一同笑)
伊勢: またフラグ立った!!
GM: 「―――――だからこそ、彼女は死んだんだよ。」
冬也: ……。
GM: 「ちょっと、今日は本気を出しちゃったかな。」と言うと、雰囲気がいつもの八重樫に戻ります。
冬也: ほっ。
GM: 「おっかないことして申し訳なかったね。」
冬也: いえ……ありがとうございました!(素になって)と言いつつ、今キャラクターとしては、まあ一度も出てきてはいないんですが、もし行方不明になっている双子の弟がFHとして出てきたら、戦えないだろうなーってのが、ちょっと恐いと感じてます。
GM: (視線を宙に泳がす)
月島: 何か、空中にメモした!!
冬也: “コマンダー”とは、お互いの正義をぶつけられるんで、戦えると思うんですけどねー……。
GM: まあ、こっちらから色々投げてはいるんで、自分ってこう考えるキャラかなーっていうのを考えておいて頂けるといいかな、と思いますよ。
冬也: はーい。あ、支部長には、早めに答え……出します、と返事します。
GM: 八重樫は片手を上げて去っていく。ただ、今まで訓練でも、あんな雰囲気を見せたことはなかったね。あんな怖い支部長は初めてかもってくらい。
冬也: やっぱり、何かあるのかなぁと思いながら見送ります。
振り返りもせずに去っていく八重樫の後姿に、冬也は言い知れぬ不安を感じていた―――――……。
13◆ 独白 シーンプレイヤー:菅野道明
目の前で怒涛の如くグラスを開けていく西森を見て、菅野はこっそり溜め息をついた
GM: では、二つ目は菅野!
菅野: はい、お願いします
GM: アレですよ、約束したじゃないですか。
菅野: ええ、飲みですよね? 付き合いますよー?
GM: では、バーの片隅で、西森とキミが飲んでいるシーンでございます。
菅野: うん。
GM: 西森はもう、パカパカ飲んでいます。
菅野: ちょっとペース速いよー?
GM: 「私の酒が飲めないっつーのお!?」と菅野に酒を注ぎつつ。
菅野: まあ、飲みますけども(笑)。
GM: で、ある程度時間が経ったところで、さすがにグロッキーになってきたようですね、西森。
菅野: で? そろそろ話してくんないかな?
GM: 「んー……? ………今から言うのは独り言よー?」
菅野: じゃあ、おっさん酒飲んでるからさあ。
GM: 「独り言だから、とりあえず聞いててー……。」
菅野: はいはい。
GM: 「私、むかし八重樫くんが好きだったの……。」
菅野: ああ……。
GM: 「あの頃の私、若かったのかなー? 色々モーションかけたのに全然振り向いてくれなくてー……。」
菅野: まぁねえー……。
GM: そんなことをぶちぶち言ってるね。
菅野: 独り言だってことだし、なるべく相槌は打たないでいるよ。
GM: 「でもねー。彼にはもう既に想い人がいてー……知ってるでしょお?」
菅野: 三枝、か。……つい最近、その名前を聞いたなあ。
GM: 「あの噂って、やっぱりホントでー……見たことあるんだー。」
菅野: おう。
GM: 「だから敵わないって思ってたんだけどー、やっぱり私も未練があってさー……。」
菅野: ナルホド。で、玉砕しちゃったと。
GM: 「ま、そーゆーワケ!!」
菅野: 積年の思いは、玉砕した今も、すっきりしてないのか?
GM: 「――――――菅野君て、知ってたっけ? あの事件のコト。」
菅野: 当時は俺の担当じゃなかったし、事件の概要を報告書で知ってるだけだな。
GM: 「……三枝櫻の親代わりみたいな存在だったのが、八重樫君だったのよ。」
菅野: そうだったのか。
GM: 「八重樫君が新米の頃に担当した事件で、一人孤児が出来てね? 生後何ヶ月―――くらいだったみたい。その子を引き取ったのが、八重樫君だった。」
菅野: ……。
GM: 「でも、まあ話の流れで分かると思うけど、その子も潜在的なオーヴァードでね? レネゲイドのコントロールを身につけるために、八重樫くんが教官も務めた、ってワケ。」
菅野: なるほど……。
GM: 「で、あの事件のときの別働隊に八重樫君も居たんだけど、結局遺体は一つも回収出来ず仕舞い。それを、彼は酷く後悔してるみたい。」
菅野: ……で、それを今も引きずっちまってるってわけか。
GM: 「もう数年前の話だし、忘れてくれると思ってたんだけどねー……。」
菅野: つい先日も彼女の墓参りしてたらしいからな……。
GM: 「私もさ、つい売り言葉に買い言葉みたいな感じで、まだあの子のこと忘れられないの? みたいなコト、言っちゃったんだよね……。」
菅野: んで、反撃食らって撃沈、と。
GM: 「ま、そーゆーわけなのよー! ………サイッテーね、私。」
月島: なんか、ものすっごい仕事は出来るんだけど、プライベートにものすっごい不器用な姿が浮き彫りになってる。これは萌える(笑)!
菅野: なんか、切り出しにくくなったなー……。
月島: ここはとりあえず西森さんに優しくしてみるってのはどうでしょう?
菅野: うーん……。
GM: ひとしきり喋ったら、黙々と飲み始める西森。
菅野: ところで、……まあ今の状態で聞くのもあれなんだけど、最近のアイツ、どう思う?
GM: 「んー……変、よね。」
菅野: 俺は正直、今の日本支部の状況によって追い込まれてる焦りのせいなんだと思ってた。だけど、最近のヤツの先鋭っぷりを見るに、何かに突き動かされてるようにしか見えない。
GM: 「――――あくまで私の私見だけど、彼の性格から言えば、延長線上に今の行動があるってことは、考えられなくもないわ。ま、極端すぎるけど。昔の彼だったら、グレーの回答も見出していた気がする……。」
菅野: いつから、だ……? と思い返すと?
GM: ディレームの事件があった前後から、ですね。
菅野: そう、つい最近なんだよな。その思いが根底にあるとしても、変化が急激過ぎるんだよ。
月島: なんか、西森さんが可哀想すぎるなあ……。この人からこれ以上情報を搾り出すのは可哀想すぎる。
菅野: まあ、そうは思うんだけども……。ええと、さっきのシーンで判った、日野が陥っていた状況についてを西森に伝えます。……で、あいつはもしかすると―――って考えちまってるんだよねー。あくまで可能性があるってだけで、裏づけは何も取れてないんだけど。
GM: 「……調べてみようか?」
菅野: 俺の杞憂だと思いたいがな。ただ……あまりにもタイミングが良すぎる。
GM: では、彼女は支部の中でも結構上の位置に居るので、何か判ったら伝えると言ってくれるね。
月島: これはもしかして……西森さん逃げてー!! のフラグっ!?
冬也: あり得る……。
GM: 調べてもらう、でいいかな?
菅野: ああ。ただ、気をつけてくれ。といって、情報が菅野チームに対して秘匿されている事実を話す。
GM: 西森はその話を聞いて驚くね。「信じたくはないけど……。」
菅野: だから、今回の――――八重樫を調べるのは、危険かもしれない。
GM: 「何言ってんのよ? 私だって、UGNチルドレンの指導部部長よ? 戦闘能力なら、キミにだって劣らないんだからね?」
菅野: 向こうが一人とは限らないんだ。
GM: 「まあ、気をつけておくよ。」
菅野: もしヤバくなったら、すぐに連絡してくれ。
GM: 「連絡しなくて済むことを祈るわー。」と言って席を立つ西森。
菅野: ……歩けるの?(笑)
結局、一人で歩けない西森を家まで送り届け、菅野は家路についた。
14◆ 蛇 シーンプレイヤー:伊勢四郎
翌朝、伊勢は単身で再び、桐生の研究所に来ていた。
GM: じゃあ、改めて、三日目いきましょうか!
伊勢: はーい! ボクからでいいですかー?
GM: はい、いいですよー。
伊勢: じゃあ、ククルスに会いに行きます。るんるるーん♪ 今侵蝕率、97%~♪
冬也: うわっ!?
菅野: すごいな。
GM: では、桐生のラボに到着しました。
伊勢: 来たよぉ~。
GM: すると、桐生は既に居ません。
伊勢: まあ、居ないのは知ってる。
GM: 桐生が居た部屋のパソコンのディスプレイに何かしらの文字が書かれてありますね。
伊勢: お?
伊勢が覗き込むと、そこに記されていたのは、次のような文章だった。
『あなたはその野 どの木からも 思いのまま食べてもよい しかし 善悪の知識の木から とって食べてはならない それをとって食べるそのとき あなたは必ず死ぬ しかして 我らは蛇になろう 全てのアダムとイヴに 次なる知識の実を与えよう 我らがあり方を 知らしめよう』
GM: ちょっと<知識:歴史>で振ってみてください。
伊勢: わかりましたぁー。…17です!
GM: それなら分かりますねー。最初の方の文章なんですけれども、これは聖書の創世記第三章のくだりです。アダムとイヴが楽園の園に居るんだけれども、食べちゃダメだと言われたものを食べちゃった為に、善悪という知識を身につけてしまって、代償に楽園を追われる、っていうお話。失楽園の部分です。
伊勢: うんうん。
GM: で、まあ諸説あるんだけども、その結果、死という概念に囚われる、ってお話なのね。
伊勢: ほー。
GM: で、その時の蛇っていうのが、アダムとイヴをそそのかした。サタンとか悪魔と同義とされるみたいね。
月島: このパーティだと伊勢のポジションだよね(笑)。
GM: キミが桐生の話から推測がつくのは、善悪の知識の実っていうのが、レネゲイドビーイング化そのものだ、ってことだね。
伊勢: うん。
GM: で、そのファイルを読んでいくと、最後に『作戦名“ヨルムンガンド”』と書いてある。
伊勢: おぉー!
GM: まあ、知ってる人は知ってるけど、世界蛇ですね。で、その“ヨルムンガンド”の内容がそのファイルに収められていると思われるんだけど、そのファイルはロックされてて読むことは出来ない。持ち出すことは可能です。
伊勢: あ~らら~って言いながら、慣れた手つきでファイルを持ち出しつつ。う~ん……“ククルス”居ないかなぁ~? とメッセンジャーを見ます。
GM: そうすると、桐生が使ってたパソコンに、前にキミと会話をしていたログが残ってるね。
月島: てことは、これで“ククルス”が誰かってのが分かるね。
GM: うん。“ククルス”=桐生、だね。
伊勢: はぁ~(嘆息)……。“ククルス”のロイスがタイタスになりました(一同爆笑)
冬也: 超ガッカリしてる。
月島: しょうがない、しょうがない。
伊勢: あ~あ、もう~……つまんないのぉ。
GM: 俺、一っ言もククルスがレネゲイドビーイングだなんて言ってないのにさぁ……(笑)。
伊勢: そうなんですよねー。
GM: ということで、作戦名“ヨルムンガンド”の内容が入った隠しファイルを手に入れました。適切な技能なりエフェクトで中身を見ることが出来れば、その概要を知ることが出来ます。
月島: これは早めに知っておきたいね。
「さ、帰ろ帰ろ~」
もうここには用はないとばかりに桐生の研究所を後にする伊勢。
その表情には、かつての研究仲間に対する未練は微塵もなかった。
15◆ ヨルムンガンド シーンプレイヤー:月島涼
一人考える月島の足は、自然、馴染みの店に向かっていた。
GM: では、月島のシーンです。
月島: 何かイベントある?
GM: こちらからはないです。
月島: であれば、ここはバーに行っちゃおうかな。
GM: じゃ、バー『無名屋』。
月島: 最近通っちゃってるなぁと言いながらいつものところに座って………ねえマスター。私……このシーン必要かなあ?(一同爆笑)じゃなくって! 実は伊勢さんに言われたことがずっと引っかかっているの。魚の小骨のようにね、と倒置法で言う。
伊勢: マスター、「伊勢って誰だよ?」って感じだよね、きっと。
月島: 今、一緒に仕事をしている伊勢っていう人が居て、こんなことを言ってたんだけど、そうなのかな? ってちょっと思ってて……あの、私の考えてることって、エゴなのかなあ? って否定できない雰囲気で言います。
GM: では、マスターはすっとオレンジジュースを出しつつ……。
月島: オレンジジュースっ!? ……お酒がいいなー。カシスオレンジとか。
GM: では、カシスオレンジを出しながら、「仮に嬢ちゃんが、その日野って男の立場だったら、どうして欲しいんだ? そいつはもう既に、希望をお前さんに言っているんじゃないのか?」と言うね。
月島: ……ガリガリ、ガリガリガリガリ……っ! 多分、そういうことなんだよね? でも、人が死んだら悲しいよ?
GM: 「それは正しいと思う。」
月島: なんか、どうしたらいいか分かんなくなっちゃったよ……。
GM: 「色んな道があって、一つを選ばなきゃいけないなら、選ぶタイミングは一度しかないんだから後悔するなって方が無理なんだよ。であれば、その時君が思う最善の道を選べば、少なくとも、何かしらは満たせるよな。その結果がどうなろうと、それは選ばされたものではなく、自分で選んだことだよな?」
月島: ……そうだね。マスターかっこいいね。ちょっとマスター、ロイス結んでいい?
GM: いいよ。
伊勢: ……出ていい?
月島: 出たいの? 大丈夫?
伊勢: (ダイスを振る)……あ、100%になった(一同笑)。
月島: ミドルにして既に……。
伊勢: レネゲイドビーイングの当てがなくなっちゃったよぉ~。あ、それでね? こんなの見つけたぁ~……あ、マスターと何か喋ってる。ちょっと待てよう~っと。月島さんの隣に座ってます。
月島: では伊勢さんの言葉を受けて。私のここからの行動方針なんですが、現在観鏡市で起きている事態の解決に向かいつつ、日野君も殺さなくて済む方法を考えたいんだけど、無理だったら自分で幕を引くということにします。(伊勢に)で、そのCDは何?
伊勢: ああ、そうそう。これね~。とノートパソコンを出して。実はね? レネゲイドビーイングじゃないかなぁって思ってた“ククルス”ってヤツがねぇ~レネゲイドビーイングじゃなかったんだぁ。
月島: うんうん。
伊勢: そこで手に入れた情報ファイルなんだけどぉ、“ヨルムンガンド”っていう作戦名で、この観鏡市で恐ろしいことをしそうでさぁ~。
月島: よし! じゃあ巻き展開で、調べてみようか《導きの華》ーっ!
GM: 巻き展開って……(笑)。
伊勢: ありがとぉ~。(GMに)何で振ったらいい?
GM: <知識:機械工学>ですね。ファイルのハッキングってことで。
伊勢: いきます! とうっ!!(ダイスを振る)……今、18(と月島を見る)。
月島: ここで《妖精の手》を使います!
伊勢: やったぁ~! (ダイスを振る)……28!!
GM: うーん、それは分かっちゃうなあ……さすがに。“ヨルムンガンド”という作戦の全容を知ることが出来ます。
“ヨルムンガンド”の全容は以下の通りだ。
・最終目的は、全人間のオーヴァードへのシフトアップであり、この為に用意されているのが、“ディレーム”
・“ディレーム”を試験的に観鏡市の特定の場所で空気散布する
・今回使われる“ディレーム”は、アンチディレームが効かないよう改良されたもの
・仮にこれが散布されると、強制的に1シーン毎に衝動判定が発生する
・散布された場合、観鏡市の人口の99%が罹患すると思われ、それに伴うジャーム化案件も発生が見込まれる
月島: そのジャームにまた何かしらのことを施して……。
伊勢: (素になって)えっと、“ディレーム”の凄さは、多分体内に入ったときに、全てを食らい尽くすことなので、ジャームになるよりも先に、自我喪失になってただの抜け殻が出来ると思われます。
月島: まじで?
GM: すげえな。俺が喋ろうとしていたことと似たようなことを……。ほぼ合ってます。
伊勢: で、そこに入れることによって、わぁい、レネゲイドビーイングがいっぱいだね♪ っていう方向。
月島: そうか。乗り物を作ってるのか!
GM: 合ってます。
一同: おおー!!
冬也: さすが研究者。
GM: さっき伊勢が言ってたことはほとんど正しくて、改良版ディレームを散布することで、潜在的な罹患者とか、罹患してない人たちを、まずオーヴァードにします。その上で、ジャーム化しちゃうような人は当然出てくるわけで、それを制御する為に、生み出したのが、擬似レネゲイドビーイングの技術。これの併用によって、傍目にはオーヴァードの量産が出来る、と。実際はジャーム化してる人も居るんだけどね。その実験場として選ばれたのが、観鏡市。
菅野: なるほどね。
GM: ってとこで、この情報が出ちゃったので、次のシーンがクライマックスになります! やりたいことがある人は今のうちにやっといてください。
菅野: もうこのシーンしかないわけね?
GM: うーんそれもちょっと微妙か……嬉野と菅野も、あと1シーンずつあることにしましょう。
伊勢: 四日を待たずにクライマックスですねぇ。
月島: 何か欲しいものがあるなら、お姉さんに言いなさい?
冬也: ロイスが欲しいです、話的に。
月島: ロイスかぁ。そうだねー(笑)。
GM: えと、ではこうしましょう。今開示されたこの情報は、三日目の最後に伊勢が持ち帰って研究した結果、分かることにしましょう。
一同: はーい。
伊勢: 体重がもう1キロ減りました。
月島: かわいそう……。
冬也: そのうちなくなりそう(笑)。
「いやぁ、タイヘンだねぇこれは。」
伊勢はこぼれる笑みを隠そうともせずに呟いた。
16◆ “月島涼” シーンプレイヤー:嬉野冬也
月島の泊まっているホテルにある喫茶店。
その場所で冬也は、緊張した面持ちで、人を待っていた。
GM: さて、嬉野君はどうしようか?
冬也: んー……月島さんと話したいんだけど、きっと愚痴みたいになるんだよね。
月島: いや、そこは愚痴を吐くことで成長を描くのもいいんじゃないか?
冬也: そっかー……。
GM: 僕としては、愚痴を吐くってのはキャラクターを描く意味でとってもいいと思いますよ? 喜んで舞台を用意して、あとは観客になってます(一同笑)。
月島: よし、じゃあ舞台を用意してもらおうじゃないか。そして登場しようじゃないか!
冬也: 月島さん、何処に泊まってるんでしょう?
月島: ホテル暮らしなんじゃないかなー?
冬也: じゃ、そのホテルの一階とかにある喫茶店で。
GM: じゃあ、そこにしましょうか。月島が泊まってる、観鏡プリンスホテルの一階。呼び出されて月島がそこに行くと、畏まって座ってる嬉野が居る感じだね。
月島: ほろ酔いで戻ってきます。お待たせ~。
冬也: 月島さ……あ、えーと……プ、“プラスチック・ムーン”さん……(一同笑)。
GM: 萌えるなぁ。
冬也: いや、前回の電話のとき突っ込まれたから、コードネームで呼んだほうがいいのかなって思って。
月島: 別にどっちの名前で呼んでもいいよぉー。
冬也: 酔ってますか?
月島: ううん? 全っ然酔ってないよぉー?
冬也: ちょっと……話っていうか、愚痴みたくなっちゃうんですけど、聞いて欲しいことがあって……。
月島: 先を促す表情をしています。
冬也: 昼間、……八重樫支部長と話をしたんスよ。
月島: うん。
冬也: そしたら、支部長は大事な人を失ったから、今ああいう風にしてるんじゃないかなって、思って……。
月島: うん……。
冬也: ん……と、迷いが大事な人を失わせるって、思ってるじゃないかって……。
月島: 八重樫さんが迷うことで、大事な人が失われるってこと?
冬也: 失われた、んだそうです。
月島: ……そっか。実は私も、全く同じ経験があってね? 私の判断ミスの為に、日野君はああいう状態になってしまったの。
冬也: ……。
月島: 私も、それについて色々考えたんだけど、結論はこういうことにしたの。要は、私が日野君に生きてて欲しいだけなんだな、ってことが解ったから――――だから、そのことで人に迷惑をかけるのは間違ってたんじゃないかなって思って。
冬也: 月島さん……。
月島: だから私は、なるべく皆が納得できる形にしようと思ってる。それが具体的にどういうことかっていうのはまだ分からないんだけど、こうしようかなって思ってることはあるの。
冬也: ……そう、っスか。
月島: ――――そっか。八重樫さんも大切な人を失ったんだね。きっと辛いだろうから、優しくしてあげようね? って、月島っぽく言います(一同爆笑)。
冬也: 優しくする、っていう行動に思考が繋がらなくて、不思議そうな顔をしてます。―――――――……月島さん。
月島: ん?
冬也: 「みんな」って、何処までっスかね?
月島: 何処までなんだろうね? 私にはそういう難しいことは分かんないや。もしかしたら10人かもしれないし、全生命かもしれないし……。
冬也: (呟く)でも、全生命なんて広い範囲……分かんないっスよね……。
月島: うん。分かんない、分かんない。だから、私の手の届く範囲が「みんな」かな、とりあえずは。
冬也: (にこっと笑って)奇遇っスね! 自分も、同じようなこと考えてました!
月島: (嬉しそうな表情)
冬也: 自分は例えば、自分の親しい誰かがFHだとしても――――それぞれの正義にしたがって動けば、いいと思うんス。
GM: と、嬉野はたどたどしく、しかし真摯に、自分の想いを月島に伝える。さあ、ちょっとだけ人生の先輩である月島はどうしますか?
月島: ……そうだね。UGNとかFHとか関係ないんじゃないかな。ただ私は、人として間違ったことをしたような気がする。だからそれを正す。ただそれだけなんだよね。
冬也: 人として……。
GM: じゃあ、お互いの考えを伝えたところで、このシーンを切ってもいいかな?
冬也: あ! ここで、月島涼にロイスを結びます。
伊勢: おぉ~!
GM: そうか! 月島涼にロイス結ぶのは初めてなのか!
冬也: はい。今までは“プラスチック・ムーン”さんに取ってたので。
月島: いいね~。面白いね。と! ここで<調達>判定をしてもいいですか? 親しい人を守る繋がりで、嬉野君に盾でも買ってあげようかなって思って。
冬也: あ! ありがとうございますー。
月島: あ、でも盾よりこっちの方が……高速振動ブレードとか、どうかな?
冬也: オッケっす! 攻撃力も上がりますしね。
月島: GM! <調達>判定行きます!! <コネ:手配師>を使って……よし、成功! これ、流れ的にどうかと思うんだけど……ともかく、これをあげる。
冬也: あ、ありがとうございます?(笑)
GM: じゃあ、渡したところで、次のシーンいきます!
「話に付き合ってくれて、ありがとうございました! 月島さん」
別れ際、冬也は笑顔で月島にそう告げた。
17◆ 閂 シーンプレイヤー:菅野道明
翌日、菅野は一人、墓参りに来ていた――――。
GM: じゃあ、菅野のシーンに行きますか!
菅野: はい。コンビニ袋に500mlのビール缶を入れて、例の墓地に行きます。
GM: はいはい。
菅野: そこに閂の墓があることにして下さい。
GM: 元チームメンバーの一人だね。OK。
菅野: で、閂の墓を掃除しながら、最近来れんかったからな~……と。で、掃除が終わった後、ビールを墓前に置いて、最近の報告をしつつ、……いやー、もしかしたら近日中に、八重樫か俺か、そっち行くかもしれん。
伊勢: ええ~!? そうなのぉ?
GM: 墓標は何も語らずということで、君の独り言が、夜空に響く。
菅野: まあ、確証は何もないんだけどな。
GM: じゃあそんな会話を、今は亡き閂としたところで、ふと目を脇にやると、一つ気付くことがあります。
菅野: ん?
GM: 少し前にこの墓地が出たときのことを思い出してください。三枝櫻の墓標がキミの目に入ります。
菅野: うん。
GM: そこに八重樫が置いたのとは別の花束が置かれています。
菅野: お?
GM: というところで、シーンを閉じます。
菅野: あ、ここで閂にロイスをとりますー。
GM: OKですー。
「―――――――なんだかねぇ……。」
三枝櫻の墓標を眺めながら、菅野はひとりごちた。




