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旧作3-2  作者: 智枝 理子
Ⅳ.神聖王国編
95/149

104 散歩

 ぼんやり眼を開く。

「エル……?」

「おはよう、リリー」

「おはよう?」

 いつの間に寝てたんだろう。

「今は朝?」

「そうだよ」

 朝なんだ。

 確か、報告書を書き上げて……。

「クララさんは?」

「隣の部屋に居るよ」

 ここ、クララさんの部屋じゃないんだ。

 宿の部屋ってどこも同じ造りになってるから、見た目だけじゃちょっとわからない。

 確か、クララさんの部屋のベッドで、うとうとしてたのは覚えてるんだけど……。

 もしかして、私が寝ちゃったから連れて来てくれた?


 ※


 着替えて、エルと一緒に朝食を食べに行く。

 隣の部屋がクララさんの部屋だよね。

「クララさん、起きてるかな」

「まだ寝てるんじゃないか?」

「起こさなくて良いの?」

「良いよ」

 遅くまで勉強してたのかな。

 エルはそんなに眠くなさそうだけど。


 焼きたてのパンはすごく良い香り。

 この宿の朝食は、大きなテーブルに並べられたパンやハム、チーズだとかを自分で選んで食べる形式らしい。自家製のジャムもとっても美味しそうで、どれも組み合わせに迷ってしまうぐらい種類豊富だ。

 何とか選んでエルの居るテーブルに着くと、卵料理が置いてある。

「こんなのあったっけ?」

「卵料理は別で頼むんだよ」

「そうなんだ」

 とっても豪華な朝ごはん。

「いただきます」

「いただきます」

 甘酸っぱくて、すごく美味しいジャムだ。

「リリーに頼みがあるんだけど」

「うん」

「朝食を食べたら、俺は一度冒険者ギルドに行ってくる。クララが起きたら、一緒に居てやってくれないか?」

「良いけど……。一人で出かけるの?」

「報告だけだから、すぐ戻るよ」

 本当かな。

「これを渡しておく」

 エルが目薬を出す。

「瞳の色が変わる目薬?」

「あぁ。クララに渡してくれ。片目につき二滴まで使って良い」

「エルは使わないの?」

 フードを被ってるけど、今日は瞳の色を変えてない。

「昼に変装をしなくちゃいけないからな。今から使ったら元に戻らない」

 確か、半日ぐらい持つんだっけ?

「元に戻す目薬はないの?」

「ないよ。……使い過ぎれば失明の危険もあるんだ」

「そんなに危ないものなの?」

「薬ってのは、用法用量を守るのが鉄則だからな」

 二滴以上は絶対に使っちゃだめって言おう。

「それから、これ」

 エルが分厚い封筒を出す。

「これは?」

「リリーが書いた報告書」

 まとめてくれたんだ。

「ありがとう」

「これ、本当に三日分か?」

「そうだよ」

 二十日、二十一日、二十二日の分。

 今日の分は、また後で書かなくちゃいけない。

 帰るまでにどれぐらいの量になるんだろう?

 アレクさん、本当に全部読むのかな。


 ※


 朝食を食べて、エルを見送って。部屋に戻る為に階段を上る。

 冒険者ギルドは宿からそんなに遠くない場所だったと思うし、用事が済めば、本当にすぐに戻って来ると思うんだけど……。

 何をしてようかな。

 シャワーを浴びたら戻って来てるかな。

「あ」

『どうしたの?』

「クララさんの部屋って、ここだよね?」

 私とエルが泊まっている部屋の隣。

『そうだけど。起こす気?』

 起こすつもりはないんだけど。

「そろそろ朝食の時間が終わっちゃうから、食べるか聞いておこうと思って」

 小さくノックしてみる。

「クララさん、起きてる?」

 しばらく待ってみたけど、反応はなさそうだ。

 起きてないのかな。

 部屋に戻ろうとしたところで、なんだか大きな物音がして、扉が開いた。

「おはよう、ございます」

「おはよう。……大丈夫?」

「はい」

『ベッドから落ちたのよぉ』

「えっ?……あの、無理に起こしてごめんね、お腹空いてるか聞こうと思って……」

「エルは、どこですか?」

「冒険者ギルドに行ったよ。すぐに戻るって」

―『今は出かけてるみたいねぇ』

「あの、見て下さい」

「え?」

 何を?

『部屋に入ってくれるぅ?』

「うん?」

 何かあった?


 部屋に入ると、クララさんが机の上に置いていた紙を掲げる。

「これ、読めますか?」

 同じ文字がずっと書いてある。

「クララ・ドラジェ?」

 ドラジェって、お菓子?

「はい。私の名前です」

 名前だったんだ。

『一日で随分上達したね』

『クララは真面目なのよぉ』

 上達?

 そういえば、昨日は現代語を全然話せなかったのに、今日は普通に話してるよね。

「リリー、聞いてください」

「うん」

「私の名前はクララです。よろしくお願いします」

 クララさんが頭を下げる。

「私はリリーシア。よろしくね」

「リリーシア?」

「あ、リリーで良いよ」

「はい。私も、クララで良いです」

 一晩でこんなに話せるようになるなんて、すごい。

「お腹は空いてる?」

「空いてないです」

 朝は食べない人なのかな。

「これからシャワーを浴びに行くんだ。クララはどう?」

「シャワー?……あび?」

『クララはシャワーを知らないのよぉ』

『昔はなかったんだろうね。教えてあげたら?』

 そっか。

「わかった。一緒に行こう」

「はい。……待ってください」

 クララが机の上の眼鏡をかける。

「あ。エルから目薬を預かってるんだ。使う?」

「すみません。もう一度、言ってもらえますか」

「えっと……」

 エルから預かった目薬を出す。

「これは、瞳の色を変える目薬なの」

「瞳の色を変える……、薬?」

『昨日、エルが使ってたのって、それだったのぉ?』

「うん。片目につき二滴ずつ、使って良いみたい。使い過ぎはだめだって」

―『クララ。その薬を二滴、瞳に使って』

「はい」

 クララが眼鏡を外して、目薬を使う。

『鏡持ってるぅ?』

「あるよ」

 手鏡を出して、クララの前に掲げる。

「わぁ……」

―『これで、外を歩くのも楽になるわねぇ』

「ありがとうございます」

 クララが微笑む。

 良かった。


 ※


 クララと一緒にシャワーを浴びて、部屋に戻る。

「他の服は持ってないの?」

「ほかの……。はい。持っていないです」

 クララが着られそうな服、あるかな。

 荷物の中を探して、ワンピースを出す。

「!」

「これ、着られそう?」

 身長は私より少し高いぐらいだし、大丈夫だと思うんだけど……。

―「どこから出したんですか?」

『どこから出て来たのぉ?』

「え?」

 そっか。こんなに小さな袋から大きなものが出てきたらびっくりするよね。

「この袋って色んなものが入るんだ。エルが作ったの」

「すごいです」

『あいつ、何者なのぉ?』

「エルは天才錬金術師なんだ」

『薬を開発しただけのことはあるってわけねぇ』

「これ、着てみる?」

「着てみます」

 クララがワンピースに着替える。

 サイズは問題なさそうだよね。ワンピースの後ろのリボンを結ぶ。

「可愛い」

『似合ってるわぁ』

「ありがとうございます」

 クララが一回転して柔らかく微笑む。

 良かった。気に入ってくれたみたいだ。

「お礼……」

 机の上に置いてあった肩掛けバッグの紐をクララが引くと、バッグの口が開いて、中のものが床に散らばった。

「大丈夫?」

―『もーぅ。だらしないんだからぁ』

「ごめんなさい」

『なんていうか、ドジだよね』

『そういう子なのよぉ』

 色んなものがばらばらに散らばってる。

 普通、こんなに散らかるかな?

 お金に、良くわからない布や草。

 それから……。カビの生えた、乾燥パン?

「これ、もう捨てた方が良いと思う」

「捨てるのは……」

『食べたらお腹が痛くなるんじゃない?』

『そうなのぉ?』

 リースにはわからないのかな。

―『クララ、言われた通りに荷物の整理をした方が良さそうよぉ』

「でも……」

「そうだ。これをあげる」

 ライーザから貰ったビスケット。これも保存食だよね。

「これはまだ食べられるから」

「ありがとうございます」

 袋に入ったビスケットを、クララがバッグの中に仕舞う。

 そっか。

 小分けにする袋が一つもないから、こんなに散らばっちゃったんだ。

 何か使えそうなもの……、あった。

「これにお金をまとめたら良いと思う」

「はい」

「この草は何?」

「薬草です」

「薬草?」

「転んだ時に、怪我をした時に使います」

 えっと……。

『薬草なのは間違いないわよぉ。クララってよく転ぶからぁ』

 そうなんだ。

「なら、この薬をあげる。怪我をした時に塗ると良いよ」

『それも、エルが作ったの?』

「うん」

『薬草より効きそうねぇ』

 後は……。

『あなたたちって、本当に面倒見良いのねぇ』

『むしろ、良く今まで無事だったね』

『クララのドジには慣れてるものぉ』

『リースが過保護になるのもわかる気がするよ』

『あなたってぇ、なんだか人間みたいねぇ』

『……もう、良いよ』

 できた。

「必要なものはまとめ直したし、荷物の整理はこれで完了かな」

「ありがとうございます」

『すっきりしたわねぇ』

「あの、リリー」

「何?」

「出かけたいです」

『えぇ?出かけるのぉ?』

「はい」

『エルを待ってなくて良いの?』

 すぐ戻るって言ったけど。全然、戻って来そうにないよね。

 それに。

「出かけちゃだめなんて言ってなかったよ」

『そうだけどさ』

「散歩ぐらいなら良いよね?」

「散歩?」

―『散歩よぉ』

「はい。わかりました」

 細かい単語はまだ苦手なのかな。

『迷子にならないでよ?』

「わかってるよ。でも、ちょっと部屋を片付けて来るから待っててくれる?」

『待ってるわぁ』

「はい。待ってます」

 エルのことだから、戻ってきたら、すぐに出かけるって言いそうだよね。


 ※


 部屋を片付けて、宿の人に鍵を預けてから外に出る。

『大きな通りを歩きなよ』

「この通りをまっすぐ歩いて、あの広場まで行ったら戻ってくるつもりだよ」

『それなら大丈夫だろうけど……。あ!』

 先を歩いていたクララが誰かにぶつかる。

『クララ!』

 よろけたクララを、相手の人が支える。

「ごめんなさい」

「こちらこそ、失礼しました」

 会釈をして通り過ぎた相手を、クララがじっと見る。

「大丈夫?クララ」

「はい。大丈夫です」

『普通の反応されるのが、新鮮なのよねぇ』

 今は金髪碧眼だから?

 ……なんだか複雑。

「リリー、音楽です」

 広場じゃないのに、通り沿いには楽器を持って演奏してる人がたくさん居る。

『流石、音楽の国だね』

「音楽の国?」

『リリー。クエスタニアは宗教音楽をはじめとした、様々な音楽が作られる音楽の都だよ』

 大陸史で勉強したような気もする……?

『大陸史じゃないよ。音楽の勉強だからね』

「……うん。覚えてるよ」

 演奏が終わった場所では拍手が鳴っていて、皆がお金を投げている。

 大道芸人みたいな感じで、音楽活動をしている人がたくさん居るみたいだ。

「リリー、果物が売ってます」

「果物?」

 本当だ。

 お休みなのに、果物屋さんがやってる。

「あそこは果物屋ですか?」

「うん。看板に果物屋って書いてあるよ」

『文字を読むのはまだ苦手なのよねぇ』

 そうなんだ。

 果物屋さんなら、きっと林檎も売ってるよね。

『ちょっと、どこ行くの?』

「マリーに林檎を買おうと思って」

 食べたがってたから。

「マリー?」

「一緒にクエスタニアに来てる私の友達なんだ。えっと……。マリー、ローズさん、ローグの三人だよ」

 詳しい名前は、まだ言わない方が良さそうだよね。

『ユールはその三人と居るのぉ?』

「うん。ローズさんと一緒に居るはずだよ」

 正確には、セシルと交代でローズさんの元に残ってるんだけど。

 セシルは今、エルと一緒に居るはずだ。


「いらっしゃい」

 林檎がたくさん並んだ果物屋さん。

 色んな種類があって、どれにしようか迷ってしまう。

 あ。でも、酸っぱい林檎もあるんだっけ。

「そのまま食べて美味しい林檎はどれですか?」

「こいつが一番美味いぜ」

 良い匂い。

「一袋で銅貨一枚だ」

 皆も食べるかな。

「じゃあ、一袋下さい」

「少しサービスしておくぜ」

 銅貨を払ってもらったのは、紙袋いっぱいの林檎。

「ありがとうございます」

 思ったよりもたくさん入ってる。

 食べきれる、かな?

「リリー、私も買い物がしたいです」

「欲しいものがあるの?」

「えっと……」

 悩んでるみたいだ。

 買い物……。

 そうだ!

「すみません、この辺りにショコラトリーってありますか?」

「ショコラトリーなら有名なのが表通り沿いにあるぜ。ここから西にまっすぐ進んでいればすぐに見つかる」

「ありがとうございます」

 お店の人が指した方向に、クララと一緒に歩く。

『一体、どこまで行く気?』

「どこに行くんですか?」

「ショコラトリーって言って……。ココアはわかる?」

「ココアって、ココアですか?」

『そうよぉ』

 これは、昔と名前が変わってないのかな。

「それを使ったお菓子を売ってる店なんだ」

 クララがすごく驚いた顔をしてる。

―「神さまの食べ物ですか?」

「神さまの食べ物?」

 ロザリーも、ココアはとても贅沢な飲み物だって言ってたけど。

「そこまで仰々しいものじゃない、かな?」

「仰々……?」

―『今の時代なら普通に手に入るのよぉ』

「そうなんですか?」

「うん」

 ロザリーも好きだったし、きっとクララも好きなんじゃないかな。

『ねぇ、その林檎はさっきの袋に仕舞わないのぉ?』

「食べ物は入らないんだ」

『ビスケットだって、別の袋に入れてただろ』

『万能ってわけじゃないのねぇ』

 でも、こういうのに食べ物を入れちゃったら、忘れて腐らせちゃいそうだよね。


 教えてもらったショコラトリーへ。

 味見をさせてもらいながら、気に入ったショコラを選んで注文する。

 ショコラトリーと言っても、ケーキだとか色んなお菓子も売っているお店だ。お勧めされた菫の花の砂糖漬けはキャロルとロザリーへのお土産にしよう。マカロンは、マリーと一緒に食べようかな。

 クララはショコラを気に入ってくれたみたいで、厳選して選ぶのに苦労していたみたいだ。

「こんなに美味しい物がたくさんあるなんて、信じられないです」

「お褒め頂き光栄です。こちらのショコラもおまけしておきますね」

「あっ……、ありがとうございます」

『得しちゃったわねぇ』

 次はどこに行こうかな……。そうだ。

「クララ、お腹は空いてる?」

「少し、空いてるかもしれません」

 クララは朝ごはんを食べてないから、少し早めのお昼を食べても良いよね。

「じゃあ、お昼ご飯を買いに行こう。すみません、この辺りにパン屋さんってありますか?」

「お勧めのパン屋が裏通りにありますよ」


 お店の人に聞いた場所に向かって、クララと一緒に歩く。

『裏通りなんて入って大丈夫?』

『この辺なら少しはわかるけどぉ。……って、どこ行ってるのよぉ!ここを曲がらなきゃだめでしょぉ?』

 あっ。そうなんだ。

「ありがとう」

『リリーは方向音痴なんだよ』

『それ、もう少し早く言って欲しかったわぁ』


 ※


 目的地まではちょっと迷ってしまったけど、リースの案内で見つけたパン屋さんで買い物を済ませたところで、鐘の音が聞こえた。

 クララと一緒に音のする方に行くと、大きな教会のある広場に出る。

 今の、この教会の鐘の音だったんだ。

 あれ?ってことは、もう昼?

 急いで戻らないと……。

「捕まえた」

 後ろから抱きしめられて、声の主を見上げる。

「エル」

 迎えに来てくれたんだ。

「え?エルですか?」

 変装してるから、見ただけじゃわからないよね。

 声はそのままだけど、黒髪に、淡い緑色のカラーレンズの眼鏡をかけてる。

「今は変装中なんだ。この姿の時はクロエって呼んでくれ」

 眼鏡越しにエルの目は見えるのに、瞳の色はわからない。瞳の色を隠すには、これぐらいの色で十分なのかな。

『どぉして、わざわざそんな恰好する必要があるのよぉ』

『いろいろ事情があるんだよ』

 リースが肩をすくめる。

―『エルで間違いないけどぉ。しばらくクロエって呼んで欲しいみたいよぉ』

「はい。わかりました」

「宿のチェックアウトは済ませて来たから、昼を食べたら真っ直ぐ教会に行くぞ」

「あ。お昼ご飯にパンを……」

「メロンパンはあったのか?」

「あったよ。コーヒーのパンも買ったんだ」

 いつの間にか、エルが私の荷物を持ってる。

「果物屋とショコラトリーにも行って来たんだろ?」

「どうして知ってるの?」

 エルがため息を吐いて、私の額を指でつつく。

「良いか。出かけるなら伝言を残していくこと」

「……はい。ごめんなさい」

 ちょっと散歩するだけのはずだったんだけど。

 結構、時間かかっちゃったよね。

「クララ」

「はい」

「真空の精霊に頼みがあるんだけど、良いか?」

「頼み?」

『何よぉ』

「これから俺の仲間と合流する。そのついでに、クララを預ける予定の相手にも会うことになったんだ」

 その為に朝から冒険者ギルドに行ってたのかな。

「そいつと話す時は俺について来てくれないか?そいつにクララを預けて良いか判断して欲しいんだ」

―『クララと一緒じゃだめってことぉ?』

「私は、一緒には行けませんか?」

「無理やり連れて行かれる可能性もあるから、話し合いの場には連れて行きたくない。その間、クララにはリリーと一緒に居てもらう。他にも要望があるなら受けるよ」

―『そぉねぇ。少しぐらいなら付き合ってあげても良いけどぉ。その相手ってどんな奴なのよぉ?』

「その人は、どんな人ですか?」

「俺も初めて会うから知らない。クララをどう扱うつもりなのかもこれから聞く。だから、一緒に話しを聞いて欲しいんだ。答えをその場で出す必要はないけど、そいつについて行きたくないなら、もうしばらく俺と行動してもらうことになる」

―『了解よぉ』

「わかりました。リースをお願いします」

「助かるよ」

 エルが封筒を出す。

「リース。この手紙を出した時には俺について来てくれ」

―『わかったわぁ』

「わかりました」

『リリー、クララを頼むわねぇ』

「うん。まかせて」

『……大丈夫よねぇ?』

「リリー。話し合いの間は出かけるのは禁止だからな。どれだけ時間がかかろうと、クララと一緒に待ってること。良いな?」

「言われなくても、ちゃんと待ってるよ」

『そぉかしらぁ?リリーって、学習しないって言われなぁい?』

『すぐにふらふら居なくなることで有名だからな』

 セシルまで。ひどい。

 そんなことないもん。

 


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