自己紹介がしたい・・・
待合室と言われプレハブ通された少年がいた。彼、只並徹は、かなり読み込んだと思われるマーカーで整理された彼の配属先についての資料を、再び読み返していた。
旧日本地区関東エリアにおける最重要 晶衛拠点―――「ミネルバ」 今や世界に三か所しか残ってないだろう、未侵略地域(安全地帯)の一つである。
先月、殺神と呼ばれる侵略者と人類における戦争の最前線基地であった旧中国地区の大型拠点が陥落した。 前線が大きく後退した今、進行してくるであろう奴ら(コロシガミ)を迎撃すべく「ミネルバ」は増員に踏み切った。
部屋には1人の少年がいた。ここ、ミネルバでは決して珍しくない黒い目に黒い髪。しかし、その眼には底の見えないなにかがあった。
待合室のドアが開いた。ドアの前には2人の男がいる。1人は徹と同じぐらいの少年。もう一人は、軍人にしてはやや頼りない体格の30代半ばといったところのおじさんがいた。
「やぁ、只並徹君だね?部隊長の天宮。天宮威司だ。第三機動部隊へようこそ」
どこか、気の抜けた挨拶をかます部隊長。天宮と名乗った男は右腕の端末を操作しながら言う。
「あー、あと一人ちょっとやかましいの来るから待ってろなー 挨拶だけさせるから」
ラルフ君も挨拶しとけ。といって天宮は手元のファイルに目を通し始める。
「…ラルフ・ウィズアート。只並といったな? どんな奴かとおもえば…魔術も使えないクォーターまでいるのか?ミネルバ(ここ)は」
クォーター。新世代型の人間の四分の一程度の仕事しかできにためそう呼ばれる旧世代型の人間に対する蔑称のことだ。初対面なのに思ったことを口に出してしまうのは、彼が純粋だからか、もしくは只ひねくれているだけだからか?
「お前、ラルフって言ったよな?この事前調書見るからには、さぞ立派な水鉄砲をなんだろうなーお前の能力はっ 」
どうやら幼いピュアなボーイは1人ではなかったらしい。むしろバカ2人というべきか。
「若いっていいなー うしお前ら。次、俺の前でケンカしたらボコすから」
そうたしなめる天宮。しかしあまり気にしてないのか徹は自己紹介を始めようとしていた。
「んじゃ、おれ只並徹です。よろ・・・「やばい、マジやばい。初日の集合時間遅刻とかあれじゃん。ごめんねー遅れちゃった」
入室してきたのは、20代も半ば。 手入れの行き届いた栗色の長い感の毛を後ろで縛ったポニーテルの髪形に、どこか活発そうな目が印象的で、小柄でスレンダーな体型に機能美な軽鎧を纏っていた。
そんな彼女があたりを見渡して言った。
「むぅ、これがわが第三部隊に配属されるのか?アマミヤーっ!」
一同、何者かの突然の襲撃に沈黙すること約三秒。
もういい 自己紹介だけやってどっか行っててくれ。 といち早く再起動した天宮が自己紹介を促した。
彼女は胸に手を当てながら
「おうともさ! フレア・オルバリーだ。一応第二新世代の人間だし、君たちの先輩にあたる。よく私を敬うようにっ。ついでにサイズは上から94、57、88だ。襲うなよ? 以上」
(この女は・・・ しかもナイチチのくせに94なんてそうそう・・・) と天宮。
(クォーターの次はバカ女か?バカしかねぇな) とラルフ。
(俺のあいさつ忘れらたのかな・・・。はぁ・・・) と徹。
「よし。バカ丸女!いい紹介だった。 さて、真に残念ながら君たちの上官だ。見ての通りこれから報告等は俺に回すようにな?いいか」
ウダーっ!! バカ丸女ってなによっ? と叫ぶフレアを無視して天宮は続ける。
「よーし、フレアは紹介終わったなら出て行くように。 今新人に厳しい規律叩き込んでるから邪魔するなー」
「うんー。そうするーあとで話し聞かせてねっ」
彼女はそう言い残して部屋を後にした。
うし。と天宮
「ほんとは能力判断とか色々やんなきゃいけないんだけど、めんどいから割愛。 とりあえず二個中隊呼んどいたから実戦形式の訓練な。 でこっちが判断するわ。 じゃ、グッドラック!」
瞬間、彼らがさっきまでいたプレハブは爆撃音につつまれ大爆発を起こした。