0章 序曲
天宮が前線に居た頃のサイドストリーみたいなものです。
旧中国エリア。対エネミー連合国軍『核の眼』計画基地のヘリポートには3人の人影があった。
「ご足労頂きありがとうございました。指令部へ案内しますのでこちらまでどうぞ」
少年、と言える年頃の者達が無言でうなずき案内人の後を追った。
○○○ ○○○ ○○○
「あんなガキくさい奴らに我々人類は生かされているのかっ」
既に禿げあがった頭をわしわしとかきむしる初老の男性。軍の会議に出席するほどだから、幹部クラスなのだろう。
「そういうな少尉。この作戦が成功すればここら一帯は当分、殺神の脅威からは逃れられる。弱音なんか履いている場合じゃない。」
はっ、失礼しました。と言い口を噤んだ。 幹部を余所に司令と呼ばれた男は
(あんなやつらに・・・ただの子供じゃないかっ そんな者どもにわしらは劣るのか・・・?)
「・・・令、司令?聞こえますでしょうか?」
(む、考え過ぎておったか・・・)
ミーティングの準備が整いました。と報告をうけて会議に出ていた者達は、皆一斉に退出していく。
(今に観ていろ。わしらだってまだまだやれるということを)
○○○ ○○○ ○○○
「…ということだ。本作戦はP32まで進出している奴らをこの基地に併設されている核融合炉間で誘導、集まった大群を一気に叩くと言うモノだ。配置等は部隊長がしっかり伝えるように。 以上」
会議に出席した軍人たちが退出するのを見届けてから司令が言った。
「新人類の諸君には後方で核融合炉が臨界点に達するまで施設の防衛に当たってもらう。 以上だ。休んでいいぞ」
もう話はすんだとばかりに司令は退出しようとするが、
「そりゃないだろ! 三将がわざわざ来たっつうのに後方待機だと?・・・っとそういやもう一人おまけが居たな」
今まで口を開かなかった少年がわめきたてる。どうやら彼は短気ならしい。
「・・・おまけじゃない。天宮だ」
おまけ、と呼ばれた彼はぶっきらぼうに言い放つと、虚空へかき消えた。
「あーあ、拗ねて転移しちまったよ。口だけは一人前だな」
「そういうお前だって三将のうち一番下っ端じゃない。あなたも口だけは立派よ」
続けて、すみません司令。と少女は頭を軽く下げる。
「そうか、では諸君の働きに期待する。」
(何なんだ子のガキどもは? 急に消ええるだと!? …まぁいい。せいぜい彼らにはこの作戦の贄となって貰うとしよう)
天宮が前線に居た頃のサイドストリーみたいなものです。
旧中国エリアでの連合軍敗退をうけて、本編の舞台となる旧日本が最前線となった。みたいなカンジです!
この話では三将と呼ばれる人物のうち2人が登場していますが、名前が判明するのは本編の後半になります。