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黄金魂  作者: 天野東湖
第05話 子供たちへ
30/65

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 その爆発騒ぎは、現在も警察の手によって慎重な捜査が進められているらしかったが、具体的な内容については一切公開されていなかった。そして報道側も、後日の放送で不発弾が原因だと報じたきり、真相究明への着手には消極的な姿勢をとっている。


 そうした大人たちの――真実を暴き出す者として専門家であるはずの――あまりに拙速とした進捗状況を振り返るたびに、本多国雄は人目をはばからず憤慨せずにはいられなかった。本館の屋上、またしても仙道彰の秘密の技術で強引に鍵を開けた立入禁止のこの場所で、彼は唾する憤怒を持てあましている。


 九月十日。岸沢東方高校も二学期に突入し、これから体育祭や文化祭などの催し物で、やにわに活気付く時節に入っている。しかし国雄は、そんな催し物などにうつつを抜かす心境ではない。


「畜生め! 先輩が死んでから一か月が経つんだぜ! なのに原因が不発弾だと? 冗談じゃねえ! 市街地のど真ん中にたまたま不発弾が埋まってて、そこを偶然通りがかった瞬間に爆発しましたってか? 常識的に考えてありえねえだろ! くそ、一体どんな節穴してやがるんだ、警察もマスメディアもよォ!」


 放課後の屋上には国雄の他に、親友とアシュレイの姿があった。しかしまだ一人、新田新一の到着が遅れている。

 三名とも、仙道彰が招集した面々だった。一堂に会した人選には、やはり能力者という共通点から、彼独自の思惑を感じ取らずにはいられない緊張感がある。


「連中はきっと、何かを隠してやがるんだ。あの爆発原因が不発弾じゃなくて、あるいは誰かが仕掛けた爆弾だったら、大混乱が起こるからな。――なァ彰。お前には俺の考えが、的外れに見えるか?」


 だが親友は、何も応えてくれなかった。屋上に忍び込んでからずっと金網の前に立ち、国雄たちに背を向けている。

 代わりに溜息をついて反応したのは、アシュレイのほうだった。


「全く、沈黙に耐えられない男というのは、見ていられないね。国雄、君たちの国には確か、慎ましさとかいう美意識があるんじゃなかったのか?」

「ふん、貞淑を求める相手が間違ってるぜ。お前さんの国の言葉を借りるなら、あんまり紳士すぎるのも気持ち悪いってもんさ」

「そんなことはない。紳士は、困っている人の重荷を代わりに背負ってあげられる強さがある男のことだ。弱者の代わりに戦える強者こそ、真の優しさの在り方に決まっている」

「そりゃ、たんに舐められてるだけだろ。なんでもかんでも背負っちまう奴は怖くねえし、何をしたって許されそうだから、いつでも甘えることができるってだけのことだ。負担を軽くしてもらえるなら、別にそいつじゃなくても代わりが利く。優しさだろうが紳士だろうが、本当の信頼ってやつはそういうもんじゃねえだろ。――なァ、彰」


 その時、仙道彰が振り返ったので、国雄は咄嗟に口を(つぐ)んだ。しかし彼は何も言わずに、国雄を見るだけだった。それで少し落胆してしまう。彼が、その頭脳で考えていることが、国雄にはわからない。国雄は彼のことを親友だと思っている。しかし仙道彰はどうだろう。せめてもっと打ち明けてくれる言葉があれば、不安など即座に鎧袖一触できるのに。


 それが今の二人にある距離感なのだと、本多国雄はまざまざと見せつけられている気がした。ようやく思い知らされたと言っても過言ではない。夏休みの間、彼は家庭内事情も相まって、親友と接する機会をことごとく奪われていたのだから。


 唯一の息抜きだった、一か月前の夏休みの旅行を思い出す。

 あちらで起きた殺人事件を、わずか三日で解き明かした男。

 その男、仙道彰は、まさに別人の如くに変貌を遂げていた。


 ただし外見は変わらない。ざっくばらんに後頭部へと流した黒い髪、どちらかというと痩せ形なのに無駄のない筋肉質の体――ただし夏休み中にできたらしい無数の傷痕は今もなお残っている――は、まだ公園で対峙した頃の面影を留めている。


 異変が起きているのは『眼』だった。誤解から始まった喧嘩の時以上に気迫のこもった眼光には、国雄でさえ忌避を覚える冷徹さが備わっていた。それが夏休み明けの仙道彰に生じていた、途轍もない予感のする変化である。その変化をうまく言葉にすることはできないが、そう、たとえば心構えのようなものだろうか。なんらかの一線を踏み越え、その先の領域に身を投じたからこその緊張感――その距離感が、仙道彰と本多国雄を絶対的に分断していた。生きる世界が噛み合わなくなったと言ってもいい。


 友達なら。

 友達なのに。

 友達のくせに。


 信頼し合っていると思っていた。その親友が、国雄の知らないうちに、どこか遠くへと歩き出そうとしている。ならば二人の友情は一方的な幻想だったのか? いや、そうではないはずだと彼は意地を張る。せめて睨み返すことが、今の国雄にできる精一杯の強がりだ。しかしそれも、親友は涼しげに受け止めるばかりで。


 屋上へと通じる階段前の扉が開く。それでようやく視線を外すことができた安堵感に、国雄は思いきり舌打ちしたい自嘲衝動に駆られた。


「すみません、遅れました!」


 現れたのは、やはり新田新一だった。階段を駆け上がってきていたのか、残暑の厳しい体感温度で汗がしたたっている。


「遅えぞ。一体何をちんたらしてやがったんだ」

「じつは、どうしても屋上に案内してほしいという人がいまして」


 言ったそばから顔を見せたのは、白衣を着た謎の女性だった。年齢は二十歳前後だろうか。なんとなく気さくな人柄を連想させる、たおやかな容貌の美女である。


「お久しぶりね、仙道彰くん」

「あなたと再会できる日を、本当に待っていた」


 謎の女性がつかつかと歩み寄り、親友と握手を交わす。そして彼はなぜかレンズ部分が黒く塗り潰されている眼鏡を女性に渡した。


「ありがとう。大切に持っていてくれたのね」

「身分証明は、これだけで充分のはずですね」

「ええ、文句ないわ。フレームのでたらめな名前も見事に一致。やっぱり、適当に調べてみたりとかしたのかな?」

「チタン製のアンダーリムタイプ。ボクシングシステムの規定によれば、五〇の一七、一四二の眼鏡サイズ。ポムトンクラブ社製で、販売していたのは駅前の直営店。店員からは購入者の記憶なし。指紋からは前科の照合なし。判明したのはこの程度でした」

「……前言撤回。大切に保存していてくれたのね」

「これだけが唯一の接点でしたから」


 意味不明のやり取りだった。目前の女性が何者で、親友とどのような関係にあるのか、次から次へと疑問が湧いてくる。


 しかし彼が質問を挟む前に、仙道彰がこちらに眼を向けた。何かが動き出す気配があり、何かが始まる予感がした。


「待たせてすまなかった。今回みんなに集まってもらったのは他でもない。黒木凛先輩が死んだ事件の真相を突き止めるため、その協力者を紹介する」

「協力者って、まさか」

「そうだ。この女性は、その事件の真相を知っている」


 国雄は新田とともに、驚きに眼を見張って彼女を見た。女性はにっこり微笑んだ。


「皆さんとは初めての顔合わせよね。だから初めまして。あと、彰くんのことを責めないであげてね。この子もまた、私のことを何一つ知らないから」

「あんた、何者だ」

「私はただの道先案内人(ナビゲーター)。ナビと呼んでもらって結構よ。どのみち、私に残された時間はもうほとんどない。一刻を争うの。だからその前に、彼の心構えが完成してくれて本当に助かった。アルフレッドには申し訳ないことをしたけれど」

「アルフレッド? あの爺さんも何か関係があるのか?」

「もうなくなった。彼は二人目の教師で、私は三人目の教師。だけどそれもすぐに終わる。その時こそ、あなたたちもやっと実感できるはず。どれだけ現実離れしていても、これが現実なんだってね」


 実感も何も、あまりに突然すぎて思考の切り替えすらうまくできないのが本音だった。アルフレッドが二人目の教師で、ナビゲーターと名乗る眼前の女が三人目の教師だという。


 だがしかし、それは一体なんの教師なのだ? そもそも一体、誰の教師だというのだ――?


「ナビ、早速だが話を進めるぞ」

「ふふ、せっかちさんは相変わらずか。そういうところが御父上にそっくりだけど、でも時間がないのは同意するわ。だからよく聞いてね。あなたたちの先輩と、彼女に関わってしまった二人の子供を殺した殺人鬼の正体を」


 殺人鬼という言葉で、国雄はある符合を思い出した。七月の『地図にない私邸』騒動で、不本意ながら病室に移送させられた時のことだ。仙道彰がなぜ何も告げずに去ったのか、そしてなぜアシュレイたちが編入してきたのかは、仲良く病室にいた頃にすでに告白してもらっている。


「殺人鬼って、まさか狐憑きとかいう、九年前のあれか?」

「彼の正体は『神霊』なの。あなたたちは国家神道を知っているかな?」


 わからない、というのが国雄の率直な感想だった。古くから国内で浸透しているらしい宗教という程度の認識しかない。


「神社に祀られているのは神様なの。でもね、その神様は一人じゃない。昔は神仏習合があったから、今では八百万(やおよろず)というけれど、どちらにしても神様は、日本人にとってとても身近な存在だったわけ。無数の閉鎖社会――簡単にいえば昔の村ね。そうした昔の村々は、豊作とか豊漁とか、とにかく生活に密接に関わる大事な運勢を、祖先の魂を崇めることで祈ってきたの。珍しい縁起物もそう。山の神様、田の神様、海の神様、まあいろいろね」


 有名なのは、えびす様だろう。それが漂着物を神格化させた、海の神様ぐらいの知識は国雄も持ち合わせている。彼は家族に内緒でビールをたしなんでいるのだ。


「神道が面白いのは、人間も神様になっちゃうってところかな。明治天皇は、今の京都市上京区にある白峯神社に、神としてお戻りくださいと崇徳上皇の魂を慰めたの。なぜなら、鎌倉幕府が始まる前から天皇家は、崇徳上皇の呪詛によって直接的な権力がもてない血統にさせられていたから。だから強い意志を持つ人の魂って、本当に莫迦にできないのよ?」

「歴史のおさらいはわかったが、それが狐憑きとかいう殺人鬼と、どういう関係があるんだ?」

「そうね。ここで重要なのは、国内の神様の特徴が、守護と呪詛が表裏一体になってるということ。だから恵みもするし、祟りもする。そもそも神様が祟るなんて発想は、日本にしかないの。だってほら、国外で災いを起こす存在って、怪物か悪魔しかいないから」

「妖怪は――って、あれも神様じゃねえわな。立派な悪霊だわ」

「そゆこと。つまり神道では、神様の魂には二つの側面があると言い伝えられてきたのね。一方の片割れを荒魂(あらみたま)、もう一方の片割れを和魂(にぎみたま)といって、簡単にいうなら、荒魂は怒り、和魂は喜びを表す力だと解釈してくれて構わないわ。天候でいえば、大嵐と青空ぐらいの差があるでしょうね」


 おや、と国雄の脳裏に不吉な閃きが走った。神様の魂とは即ち、神霊ではないのか?


「……まさか、狐憑きの正体は」

「あなたたちの先輩を殺した殺人鬼は、この荒魂なの。その能力名を『禁じられた遊び(インテリジェント・デザイン)』といい、あらゆる全ての魂に憑依してその肉体の支配権を無条件で奪う力がある。しかも彼は、それから派生した付随効果で、自己の魂を分裂させる力を手に入れた。でも分裂を繰り返すと、その分、魂の力が弱まり続けるけれどね」

「いや、いきなりそんなこと言われてもな。こちらとしちゃ、信じろっつうほうが無理があるぜ」

「そうね。でもこれが真実なの。そして私は、彼の能力によって分裂させられた半身の、和魂なのよ。だから私は、憑依能力に加えて、彼に関わる全ての人間の運命を読み取ることができる。そしてあなたたちの先輩は、読み取った運命そのままの末路を辿っていった」


 頭が混乱し始めていた。このナビとかいう女は、じつは狐憑きとかいう殺人鬼と一緒で、神様だったということか。そして良い魂と悪い魂とに分裂して、悪い魂が、黒木凛先輩を殺害した――。


「……あんた、先輩と会ったことがあるのか」

「黒木凛は、ある事件の一連を追っていたの。岸沢市で連続している少女暴行殺人事件。その犯人たちは事件発覚後、たった一週間という短期間のうちに警察に逮捕されている。もちろん完璧な証拠が揃っているからこその正当な逮捕よ。だからこそ彼らが犯人であることに疑いの余地はない。でも彼女は、その犯人たちに共通している不自然さに注目してしまったの。そして不幸な運命が、交錯してしまった」

「例の、不発弾騒ぎか?」

「不発弾は、警察によって作られた偽情報よ。すでに別件で逮捕した犯人たちが撒き散らした、おそるべき時限爆弾の一つが偶然ここで作動しただけ。だから警察は、じつは今も秘密裏に、各所に散りばめられた時限爆弾の処理と回収に東奔西走しているの。毎日毎日、体力と神経を極限まですり減らす仕事が山積みなのよ。まるでお医者さんみたいにね」


 国雄は下唇を噛んだ。ナビが言わんとする皮肉に眼を向けられない。


「わかった、わかったよ! 信じればいいんだろ、信じれば!」

「ありがとう。素直になれる人って、好きよ」

「あんたに好かれたって嬉しくねえよ。――でもまさか、殺人鬼の正体が神様なんてのはな。それってつまり、彰の宿敵が神様だってことと同じだろ? 冗談きついぜ」

「黒木凛を殺した犯人と、少女暴行殺人事件の犯人は、狐憑きという同一人物と通底して繋がっているわ。今までも、そしてこれからも、彼は生まれ持ったその嗜好で半永久的に、法律と道徳を超越した予防不可能犯罪を楽しむでしょうね。もしかしたら、本多有希子もいつか、彼の毒牙にかかってしまうかもしれない」


 即座に『神風(レジェンド)』を臨戦態勢に移行させる。


「テメェ……」

「お願い、自分を見失わないで。彼にとって、あらゆる人間は消耗品なの。たんなる使い捨ての道具以下なのよ。不自由な玩具で遊べなくなったら、また次の玩具に憑りついて、その体に飽きるまで無責任に遊び続ける。でも彼の犯行を証明できるものは何一つない。なぜなら犯行を証明するものは全て、荒魂が憑依した無関係の人間だと特定しているもの。それに荒魂の憑依を分析しようとしても、ずっと悠長に憑依しているとは限らないから、やっぱり異変を証明することはできない。だから本人が必死に無実を訴えても、あらゆる証拠が揃ってしまっているから勝ち目もない。それを彼は――狐憑きは、まるで他人事のように眺めて笑い続けるわ。だって彼は荒魂。狂気と死を弄び、破壊と混乱を蔓延させる、純然たる『悪の化身』なんだから」


 その瞬間、金網が悲鳴を上げた。仙道彰が掴んだ箇所のそれが、途轍もない握力により変形させられたのだ。

 そして親友のおそろしい形相もまた、国雄を戦慄させるのに充分な効果をもたらした。彼は怒っている。どす黒い感情――深く暗い、殺意と呼ばれる意志を瞳に宿して。


 親友は、その冷たい眼差しを彼女に向けた。


「どうすれば奴を止められる?」

「酷な話だけど、イタチごっこしかないでしょうね。彼が憑依している人間を逮捕するか殺すかして犯行を止めて、また次に憑りついた人間の足取りを追う。実際、恭一郎はそうした。事あるごとに私から彼の行方を訊き出して、なんとか『魂』だけを捕まえる方法がないかどうか調べていたけれど、それも九年前に志半ばで倒れて以来、途絶えてしまってる。だから、やっぱり方法はないのでしょうね」

「……奴の行方を父さんが訊き出していたということは、少なくともあなただけは、奴の移動を把握できると解釈していいのか」

「ええ、そうよ。さっきも言ったように、私の正体は、彼の半身の和魂なの。だから彼に関わる全ての人間の運命を読み取ることができるし、逆に、彼の運命の断片をも読み取ることができる。でもそれは、彼の生存を裏付ける証明にしかならないけど」


 頭痛のする話だった。真犯人がいるという内容だけならともかく、相手が『魂』だけの存在だと真面目に語る彼女の狂気を疑わずにはいられない。

 しかし一方でこうも思う。本多国雄の能力は『神風』――祖霊を召喚して使役する摩訶不思議ではなかったか。


「……本当に、神様が敵なんだな」

「さて『戦うか逃げるか』――それを決めるのは私ではないわ。彼を知って立ち向かうも良し、知らんぷりを決め込むも良し。でも幸い、恭一郎の忘れ形見である彰くんは、彼と戦う意志を固めているみたいね。成功するかどうかは未知数だけど」


 親友は頷いた。その眼には一寸の迷いもない。


「とにかく、狐憑きが今も街に留まって暗躍していることは間違いない。その目的はまだ不明だが、連続した事件の裏で糸を引いているところを見ると、奴はおそらく機を熟した混乱に乗じて表舞台に出てくるはずだ。その能力と性格上、狐憑きは人の不幸を特等席で楽しまないと気が済まない。それは俺が、この身を持って経験している」


 九年前、仙道彰は狐憑きによって父親を殺された。その経験は、不謹慎だが、この世のどんな証言よりも信頼性がある。


「だが俺一人では、狐憑きを葬ることができない。しかし奴を野放しにすることは絶対に許されない。奴を世にのさばらせている限り、百万人近い岸沢市民の夢と未来が踏みにじられてしまう。だから、みんなの力を借りたい。俺が最も信頼できるのは、母さんと茜、アステリアと、今この場にいる三人だけだ」

「そしてもっと悪いニュースがあるわ。彼はつい最近、二人の暗殺者を雇ってる。でも、私の力じゃ片方の名前を調べるだけで精一杯だった。連中の標的まで調べるのには、私の時間が少し足りなかった」

「教えてくれ」

「アウラ・ミラ・ファウストラップ。性別は女性で、孤高の暗殺者だって聞いたけど」


 なっ、と眼の色を変えたのはアシュレイだった。その表情がひどく青ざめているので、国雄は怪訝に眉をしかめる。


「アシュレイ、知ってんのか」

「知ってるも何も、諜報の世界では『死神』として最高機密に分類された別格の暗殺者だ。生年月日、年齢、国籍、経歴、素性、どれをとっても正体不明の超一流で、時空の支配者だという笑えないジョークまで飛ぶほどのフリーランス・スナイパーだと聞いている」

「そう、それほどの暗殺者が――」


 その時、ナビの眉間に黒点が生じた。

 それを、本多国雄は見逃さなかった。


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