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第2話(3)

テスト前だろうが猛暑だろうがネムネムさんは通勤してきたようで、やはり俺は今日も半分寝ながらの授業消化となった。途中、何度か前と右隣からちょっかいを受けたが。



そして放課後、掃除を終えて教室に戻ってきた俺を麻弥はちょこんと机上に座って律儀に待っていた。



「待たせた。じゃ、行くか」



麻弥はソフトクリームがとろけるように微笑んで、うん! と頷いた。



学校から図書館に行くとなると、俺や麻弥の家とは逆方向に位置する駅前まで向かうことになる。この一帯は無駄に広い土地がありながら川と田畑以外何も無く、最寄り駅といってもここから歩いて30分はかかる。


この炎天下の中歩き倒すだと……普段ロクに運動しない俺では、文字通りぶっ倒れちまうぜ。こんなときに自転車があれば……


下駄箱で靴を履き替え、嘆息ひとつ外に踏み出し、まぶたに差し込むような光を浴びて俺が一瞬ふらつきかけたときである。後方から地面を擦る音がして、自転車が猛スピードで俺と麻弥を追い抜き、急ブレーキで二人の前を塞ぐようにして止まった。


「ぜえ、はあ、間に合った……よおご両人。駅前に、行く、なら、このチャリン、コを使うと、いい、ぜ」


アゴから汗水たらし、身体にビッチリとワイシャツをへばりつかせた恭介が、息急き切って何とかいい終え、眼鏡を外して実に無駄に上手いウインクをかましてみせた。最期のは余計だがなんだこのサワヤカな感じ……イタキャラブチメガネのくせして、キラキラしてやがる……!



我が校には自転車置き場が無いため皆歩行通学を強要されているわけであったが、どうやらこいつ、一旦帰宅して俺たちのためにチャリを持ってきてくれたらしい。いやはや、俺の掃除時間がせいぜい十数分だったことを考えると、相当ガンバッたなこいつ。……何をたくらんでんのかは知らんがな。でもまあここはありがたく使わせていただこう。


「助かるわ」


「気にすんなよ。それより……きっちりキメてこいよな」


恭介は瞳を花火のようにキラつかせ、親指を立ててみせた。


「決めるって、何をだよ」


すると恭介はニマ~~っと目を細めて俺に歩み寄り、


「またまたトボけちゃってえ。図書館てのはカモフラージュだろ? こないだ駅前にできたあの店に行くんだろ? 休憩か? それとも……ご、ご宿泊!? それならチャリは明日返してくれれば、ゴボwぁッ!!」





☆  ☆  ☆(しばらくお待ちください)




…………よし、これでしばらく動けないだろ。



手を払って、麻弥を見ると……




……ってお前も顔赤らめてもじもじスカートの裾とかさわってんじゃねえよっ!

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