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第2話(9)

「あお……い?」



俺がオウム返しをすると、麻弥は俺を一瞥したのちもう一度写真に目をやり、そして確信したように強く頷いた。



「やっぱり葵だよ、この子」



「誰だっけ、全然覚えてないな」



俺がはて、という恐らく間抜けな表情で麻弥の持つ写真を覗き込むと麻弥は「びゃっ」と尻尾を踏まれた猫のような声を出してのけ反った。




「なんだよ今更顔近づけたくらいで」



「ち、違っ! さっき走り回って汗かいた頭で来られたから!」



「……それはお互い様じゃないか?」



「そ、それは……」



麻弥は口をつぐみ、うつむき加減に赤くなる。俺もそうは言ったものの次に浮かんだ言葉を口にするか否かでガシャガシャとルービックキューブを回すように思考をあっちへこっちへ巡らせており、なんとも居心地の悪い沈黙が俺の部屋を侵略していた。



しかしまだ夕方というこの時間帯に我が家に押し入ってきたということは、察するに世話になるのは寝床だけではないという結論に達し、俺も少々顔が熱くなるのを感じながら提案した。



「……風呂、入るか」



麻弥は何故か俺を睨むような目をしたが、すぐに折れたようで、斜め下に視線を落とし拗ねるような声で「うん……」と呟いた。

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