表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/16

第1話(1)

じりじりと蒸した校庭からサッカーをする生徒たちの甲高い声が耳を打つ。しかしそんなエネルギッシュな声など今の俺にとってはアブラゼミのユニゾンとたいした差異はなく、集中を妨げるという域を快速急行で通り越し、昼休みの放送並みに空気と同化した存在でしかなかった。



教科書を読み上げる教師の声にも、もはや覇気たるものを感じない。かくいう俺も頬杖片手に暑さでうだっているのだが。もう産業革命だかフランス革命だかなんだか知らんが、とりあえずこのコンディションでは頭に入るはずがない。それよりこの教室に冷房装置を取りつけるべく革命を起こそうではないか。まあ田舎の公立高校だ、千歩譲ってクーラーとは言わん。だが扇風機くらいはあってくれてもいいじゃないか。周りの小中学にはあるぞ。納得行かん。なんて、思ってはみても行動に移すのはめんどくさい。



サウナ状態の教室でも唯一のオアシスであるはずの窓際に座る俺ですらこのテンションだ。廊下側の連中には俺が視線で暑中見舞いを送っといてやるぜ。




窓際の一番後ろの俺の目の前には、丸まった背中がある。この暑さにも拘わらず幸せそうに爆睡しているこの男子生徒は、中学からの悪友、恭介。ちらと寝顔を伺うと、ふむ、実に殴り飛ばしたくなるような顔してやがる。そのまま永眠させてやりたい。



だが本日の授業もこれが最後。あともう少しの辛抱だ。俺はふと右隣に目を移す。すると俺の予想通り、そこには背筋をすっと伸ばして、暑さにドメイン指定拒否を設定したかのように涼しげな顔でノートをとる少女がいた。



鶴崎麻弥つるさきまや。生まれたときから一緒にいるってくらいの、幼馴染。まあ俺たちの関係はそんな甘美な響きのモンではないがね。せいぜい腐れ縁ってとこさ。



クリアファイルをうちわにしつつ教師も半ばやっつけで叩き付けるように殴り書きしている。俺はもうだめだ、指に力が入らない。今度隣のこいつから借りよう。そう思うと急に荷が軽くなり、残りの時間を寝て過ごそうと腕を組んで顔を埋めたが、扇ぐのをやめた瞬間に待ってましたとばかりに汗が噴き出したために、断念せざるをえなかった。




――これで7月上旬だというから気が滅入る。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ